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ブラックスワン理論で運用するヘッジファンド、10月はプットオプションで高リターン

ベストセラー作家、ナシーム・ニコラス・タレブ氏の投資理論を実践しているヘッジファンドが、10月だけでプラス65-115%と驚異的なリターンを上げ、一人勝ち状態となっている。【3日 ウォールストリート・ジャーナル】
このヘッジファンドはユニバーサ(Universa Investments)で、空前のベストセラーとなった『ブラックスワン』の著者、ナシーム・ニコラス・タレブ(Nassim Nicholas Taleb)氏の投資理論を実践していることで知られる。運用しているファンドは「Black Swan Protection Protocol」という名称。タレブ氏は、CBOT(シカゴ商品取引所)のオプション・トレーダーの出身で、その後、ニューヨーク大学の数理ファイナンスの教授に転身。昨年5月に『ブラックスワン』を出版している。ブラックスワンは、従来、すべての「スワン」が白色と信じられていたが、のちにオーストラリアに黒鳥が生息していることが分かったことを金融市場の世界にたとえたもので、タレブ氏は、一般に投資家は相場が堅調なときにはダウンサイド・リスク(ブラックスワン)を考えないと指摘する。タレブ氏は、昨年初め、この理論に従って資産を運用するユニバーサの創立に参加している。ユニバーサの運用方法は、株式市場が順調なときに先物市場で特定銘柄、あるいは、株価指数のプットオプションを安価な値段で買うというシンプルなものだ。このブラックスワン理論は、株価が上昇しているときは、だれもプットオプションには目を向けないことに着目するものだ。ただ、プットオプションは、最初はアウト・オブ・ザ・マネーなので、小幅な損失が発生する。しかし、いざ10月のように株価が暴落すると、投資家はリスクヘッジのため、プットオプションに殺到するため、オプション価格が急騰。ユニバーサはそのオプションを売って利益を上げるという仕組みだ。このファンドが購入するプットオプションは、行使価格が原資産の市場価格から大きく離れているため(ファー・アウト・オブ・ザ・マネー)、株価が1ヶ月で20%以上急落すると大きな利益が上がる。S&P500指数は9月下旬の1,200ポイントから10月10日に850ポイントにまで約30%急落したときは、同指数のプットオプションは1契約当たり0.9ドルから約67倍の60ドルにまで急騰。このとき、ユニバーサはプットオプションの大半を50ドル台で売り抜けている。また、ユニバーサは、7月下旬に世界保険最大手AIG(American International Group)の株価が25ドルを割り込めば利益が上がるプットオプションを、1契約あたり1.29ドルで取得。その後、予想通り、9月にAIGは経営危機に陥りオプション価格が急騰したため、ユニバーサは購入時の約16倍の約21ドルで売りさばいている。タレブ氏はかつて自身が運用していたヘッジファンドのエンプリカ・キャピタル(Empirica Capital)にて同じような戦略を取っていた。しかし、そのファンドを運用していた時期は相場のボラティリティが低く、リターンの不振が数年間続いたため、2004年に閉鎖されている。今後、金融市場の混乱が沈静化するときがブラックスワン理論にとって正念場を迎えるときと言えそうだ。


Dow Jones
03 Nov 2008 00:19 GMT
WSJ(11/3) October Pain Was `Black Swan' Gain

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