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メードフ容疑者のヘッジファンド運用戦略の虚構と実態(後編)

メードフ容疑者の運用戦略を書き記したメモによると、同氏が運用するファンドのポートフォリオは、S&P100種株価指数を構成し、かつ最も相関性の高い30-35銘柄のロング・ポジションと、同インデックスのアウト・オブ・ザ・マネーのコールの売りと、プットの買いから構成されていた。【20日 バロンズ】 
コールオプションの売りは、オプションの売却から得られるプレミアムの収益を得ることが目的だ。しかし、原資産となる株式の価値が権利行使価格+プレミアムを上回った場合には、損失を被ることになる。他方、プットオプションの買いは、コールの売りで得たプレミアムを充当し、ポートフォリオの価値低下を限定的にする。これらのオプションと原資産の買いを組み合わせた戦略は、「スプリット・ストライク・コンバージョン(split-strike conversion)戦略」と呼ばれている。メードフ容疑者に投資していたフェアフィールド(Fairfield Greenwich)のヘッジファンド「Fairfield Sentry Limited Fund」は、まさにこの戦略のおかげで、1989年のローンチ以来、月次リターンがマイナスになったのは過去4回しかない。1990年にはプラス27%を記録、その後の10年間の年率平均リターンは11%弱で、2007年は11.55%だった。異常とも言える優れたリターンのおかげで、ウォール街の関係者の間では、メードフ証券(Madoff Securities)は、本業で得た手数料をファンドの運用成績に還元したり、ファンドのリターンを不正に安定化さるために利用していたのではないかという憶測を呼び起こし始めていたのも事実だ。また、メードフ氏はファンドの運用手数料を取っていなかったという事実も疑問点の1つだ。メードフ氏は「取引の決済手数料を得るだけで十分満足している」と述べていた。それでは、なぜメードフ証券が本業の利益をファンドに還元しているとの憶測が生まれたのか? それは、ファンドに巨額な資金を確保することによって、メードフ証券は殆どリスクを取らずに大きな賭けに出ることが可能になるからだ。つまり、メードフ証券のトレーダーは、膨大な売買注文の仲介を通じて、数秒先に大口注文の中身を知ることが可能となり、株価トレンドに優位に乗ることでき、効率的に利益を確定できるという筋書きが描ける。こうしたシナリオに対して、メードフ容疑者は「こっけいな話だ」と一蹴する。しかし、一部のウォール街の関係者は、オプション取引だけで、これほどの驚異的なリターンを上げられるとは見ていなかった。オプションのストラテジストはバロンズ誌とのインタビューの中で、この戦略だけで2ケタの高いリターンを上げられるとは思えないと述べていた。メードフの元投資家も、「ベテランのヘッジファンド投資家なら、だれでもスプリット・ストライク・コンバージョン戦略だけで高リターンのすべてを説明することは出来ないと認識している」と語った。メードフ容疑者の投資家は、どういった運用を行っているのかも知らずに、彼のパフォーマンスを激賞していた。ある投資家は「運用戦略に詳しい人でさえ、実際に彼が行っていることを説明することはできない」と語っていた。また、メードフ氏は投資家に対し「私があなたのお金を運用していることを明かさないで欲しい」と念を押していたという。

Dow Jones
20 Dec 2008 05:07 GMT
Barron's(12/22) What We Wrote About Madoff

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