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ヘッジファンドのリターンを巡る懸念―インデックスとサバイバーシップ・バイアス

2008年の最初の月が終わり、2007年のヘッジファンドの運用成績や資産状況などが各メディアで報じられた。しかし、それらを元にヘッジファンドが投資対象として適しているかを判断するのは困難といえる。英エコノミスト誌に掲載されたコラムでは、ヘッジファンドのリターンを巡る懸念について言及している。
個々のヘッジファンドが示すリターンはまちまちだが、ヘッジファンド業界全体の平均リターンについては、どちらかといえば評価される傾向が見られる。例えば、2008年1月のヘッジファンド全体のリターンは、調査会社ヘッジファンド・リサーチ(HFR)のインデックスによるとマイナス1.8%だったが、同期のS&P500指数のリターンはマイナス6%で、ヘッジファンドのヘッジ機能がワークしたととらえる報道が少なくない。

だが、ヘッジファンド・インデックスとS&P500指数では、そもそも指数のあり方が大きく異なる。ヘッジファンド・インデックスは、S&P500指数ほど包括的なものではない。エコノミスト誌によれば、ロンドン・ビジネス・スクールの研究者が、調査会社5社が公表するヘッジファンド・インデックスの構成ファンドを調べたところ、5つのインデックスで共通するファンドはわずか3%に過ぎなかったという。

いわゆる「サバイバーシップ・バイアス」によって、成績の悪いファンドは報告をせずにそのまま除外され、成績のよいファンドがより多く、プラスリターンの報告をすることから、ヘッジファンド・インデックスは誇張されたものになる可能性を否定できない。

では、ヘッジファンドは損失を隠しているといえるだろうか。ヘッジファンド業界は隠し事が多いといわれるが、人目に付くほどの大損失を隠すことはできないだろう。昨年から続く信用収縮によって、投資銀行は大きな損失をこうむったが、ヘッジファンドの損失は比較的小さなレベルにとどまっている。

ヘッジファンドが隠れた損失を抱えており、投資家からの償還を求めらて初めて表面化するという可能性も否定できないが、それならば、より多くのヘッジファンドがもっと早い段階で破綻していてもおかしくない。

HFRのデータによると、2006年には717本のヘッジファンドが取引停止となった。1日2件のペースとなる。2007年はまだすべてのデータがそろっていないが、9月末までの段階で409本が取引停止となっている。破綻のペースは、2006年よりもやや落ちついている。今年は、多くのファンドが破綻すると予想されるが、その一方で新規資金の流入量は依然として高いレベルで推移している。



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