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国際化するヘッジファンド―当局が抱えるジレンマ

ヘッジファンド規制では誰をどのように規制するのか、何を保護するのかといった問題がある。国際化した現在のヘッジファンド業界の現状を英フィナンシャル・タイムズ紙が伝えている。
本拠地はカリブのタックスヘイブン、最高責任者はカナダ人、業務はロンドンで行い、住居はドイツに構え、弁護士にはスイス人を雇う―そんなヘッジファンドが不正な投資家勧誘で米国当局から訴えられている。レイク・ショア・アセット・マネジメントは、虚偽の情報を与えて不正に投資家から1,100万ドルを集めたとして米商品先物取引委員会(CFTC)から起訴されている。レイク・ショアは事実を否認。金融当局は1998年のロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)事件以来、ヘッジファンド対し目を光らせてきた。しかし、こうした国際的な分業によってヘッジファンドへの取り締まりは非常に困難なものとなっている。一つの意見としては、ヘッジファンドの業務は規制を殆どかけなければ市場の形成と流動性の確保に一層の寄与をするというものがあるが、ヘッジファンドは情報を閉ざしているため透明性が問題となる。金融当局が抱えるジレンマは、規制を強化しすぎれば機敏なファンドはより規制の緩い地域に逃げてしまうし、逆に緩めすぎればLTCM事件の二の舞になったり、ファンドが投資家の資金を詐取する恐れがある。当局がジレンマに陥っている中で最新の試みとして出てきたのが自主規制の実施である。英国では大手ヘッジファンド運用会社14社が今年末に自主規制を施行する予定。米国のファンドや投資家も今後数週間以内にガイドラインを出す見込み。各国の当局は犯罪摘発のため、今まで以上に連携を取っており、国際的な詐欺事件を取り締まる意欲も高い。しかし、法制度は統一されておらず、タックスヘイブンでは殆ど規制が無いのに対して、ロンドンなど欧州では金融当局の監視がある。米国においては14以上のファンドを持つ運用会社の登録が義務付けられており、最大手のヘッジファンドは必ず監視される。投資家保護の問題に関しては、ヘッジファンドの世界では「買い手責任」が共通の認識であり、リスクは投資家が負うものだとされている。それゆえ多くの国では、適切なデュー・デリジェンスを実行できる富裕層や機関投資家のみがヘッジファンドに投資することが出来る。一方、金融システムの保護の問題では、当局が直接ヘッジファンドを監視すべきだという立場もあるが、殆ど全ての当局はヘッジファンドを規制するよりも貸出を行った銀行を監視するほうが有効だと考えている。だが、米政府説明責任局(GAO)は先月議会に提出したレポートで、大型ヘッジファンドは複数のプライムブローカーを使っており、どの銀行も単独ではファンドのレバレッジ全体を把握することが出来ないため、間接的にヘッジファンドを規制するのは危険ではないかと報告した。更に、現在の金融危機において明らかになりつつあるのは、ヘッジファンドよりも強い規制を受けている銀行自身がサブプライム問題で大きな損失を生んでしまったことである。あるヘッジファン・マネージャーは「ヘッジファンドが銀行の財務の安定性を監視すべきだ」と冗談ながらに述べた。レイク・ショアの問題で皮肉なのは、同ファンドが透明性を高めるためにウェブサイトを開設したのがきっかけとなってCFTCとの争いが生じたこと。レイクショアは虚偽の事実で投資家を勧誘したと訴えられているが、「銀行機密法」という別の国際的な法的問題を理由に、当局への詳細の開示を拒んでいる。

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