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クレジット市場危機でプライム・ブローカーの業界再編が加速

ファイナンシャル・ニュースは9日付の記事の中で、昨年夏のクレジット市場危機を契機に、プライム・ブローカー業界は、業界再編の新時代に入ったと報じている。
ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレー、ベア・スターンズの3大手投資銀行は、プライム・ブローカーの先駆者として、長く業界シェアを独占してきたが、昨年夏以降は、10年以上ぶりといわれる大きな地殻変動に見舞われ始めている。

プライム・ブローカーの最大の顧客であるヘッジファンドは、必要な事業資金の調達先をプライム・ブローカーから、より財務状況が安定している普通銀行にシフトし始めている。特に、この動きに拍車をかけているのが欧州勢の銀行だ。

また、プライム・ブローカー部門を持っている普通銀行でも、財務状況の早期改善の必要性やプライム・ブローカー事業での顧客獲得競争の激化で手数料収入が低下する見通しから、経費削減は避けられない状況になっている。

このため、バンク・オブ・アメリカは、1月に、プライム・ブローカー部門を売却する方針を明らかにしている。業界関係者も、今後、業界の統廃合が進む可能性が高いと指摘している。ただ、当面は、プライム・ブローカー事業の拡大を図る銀行の方が、縮小路線の銀行を上回り続けるだろうと見ている。

投資銀行にとって、最大の顧客であるヘッジファンドは、金融工学を駆使して開発した実験的なデリバティブなどの複雑な金融商品を提供する相手としてだけではなく、それ以上に大きな収益源として期待されている。

実際、クレディスイスの調査によると、ヘッジファンドは2006年に610億ドル(約6兆2000億円)をプライム・ブローカーである大手投資銀行に支払っており、これは投資銀行の収益全体の21%に達している。

また、バーンスタインリサーチによると、ベア・スターンズは1998-2006年のプライム・ブローカー事業は収益全体の16%を占め、ゴールドマン・サックスは7%、モルガン・スタンレーは5%となっている。

ドレスナークラインワートによると、昨年2月の調査時点で、ドイツ銀行とクレディスイス、UBSの3行の投資銀行部門の収益合計の約25%がヘッジファンドからの収入で、個別ではドイツ銀行が17%、クレディスイスとUBSはいずれも約10%となっている。

投資銀行自体もクレジット市場危機の間も、市場シェア拡大を積極的に進めている。ゴールドマンとモルガンは依然、市場シェアで最大グループを構成。リーマン・ブラザーズも今年第1四半期(1-3月)に、新たに60のヘッジファンドを獲得するなど攻勢をかけている。

また、ヘッジファンドもプライム・ブローカーの複数化を進めており、業界再編を助長している。この傾向は3年前からあったが、特に、今夏以降は2つ以上のプライム・ブローカーとビジネス関係を築く傾向が強い。

プライム・ブローカー市場の競争激化で、普通銀行はプライム・ブローカー事業を別会社として分離するよりも銀行本体に取り込んで、ヘッジファンドに、スワップなどのシンセティック商品や非流動性資産に対する金融などさまざまなサービスを提供する方向に変わりつつある。



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