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庄子素史代表

節税目的での安易なシンガポール移住には要注意!/庄子素史

2015.03.05

CROSSCOOP SINGAPORE PTE LTD

代表取締役 庄子素史

庄子素史代表

【事業内容】

  • ・シンガポール進出企業に対するアドバイザリー業務
    ・レンタルオフィスの提供
  • 【URL】

  • CROSSCOOP SINGAPORE PTE LTD
  • http://www.crosscoop.biz/


  • 【シンガポールへの移住と海外進出の現状】

    日本は少子化と高齢化の波の中で、増税を余儀なくされている中、富裕層や企業オーナーの資産保全を目的とした移住先で人気の高いシンガポール。ご存知の通りに法人税17%、所得税20%(25%に改定)、生前贈与・相続税なし、資産運用による所得税なし、配当非課税というタックスヘイブン国としても知られます。

    そのような背景の中、多くのメディア関係者から、シンガポールに移住している富裕層や、現地でキャピタルゲインや資産運用狙いの起業する若者の取材をしたい、という相談を良く受けます。その取材背景には、大増税により日本の富裕層がシンガポールなどの税制優遇国へ移住して相続をしている、若い起業家が日本ではなく税制優遇国で起業して節税、キャピタルゲイン非課税を狙っている、というものなのだろうと推測します。

    ただ、ここで整理しておきたいのは
    (1)日本から相続税回避を目的にシンガポールに移住している富裕層
    (2)法人税回避、キャピタルゲイン税回避を目的の起業家
    の2種類のパターン共にほぼいらっしゃいません(一部の資産家は抜きに)。

     「いやいや、隠れているだけで、実際には相当数がいるでしょう?」 と言われても、ごく少数なのでメディアが取材するべきトレンドや流行とはほど遠く、日本と対比させた安易な取材目的を変更いただき、シンガポールに移住している方々の背景や目的を改めて調べて欲しいと感じています。

    確かにシンガポールにおける相続・贈与税はありませんので、日本と比較すれば魅力的ではありますが、シンガポールで相続/贈与できる前提条件として、
    (1)親子(相続する両者)が5年間は日本の非居住者(即ちシンガポール在住者)となること
    (2)相続を受ける側(多くは子ども)が、日本国籍ではなくなる(シンガポール国籍や永住権)こと
    のどちらかが求められ、(2)については、以前は約12億円以上の資産を持つ方であれば永住権の獲得が出来たのですが、現在、この制度は表向きは廃止されたため、一定の期間シンガポールに居住し、シンガポール経済に貢献した上で永住権の申請をしないといけません。永住権の認可は、ここ最近は厳しくなっており、20%程度しか合格しないと言われています。

    永住権を獲得するには、シンガポールでの所得(所得税納付の実績)や、シンガポールで働いているポジションや職種(経営者やエンジニア、医者、弁護士などの求められている専門職は有利)、シンガポールにおける経済貢献(雇用、法人税、資本金など)などで総合的に判断されます。このようにシンガポールという国にとって、永住して欲しい人かどうかを判断する訳で、リタイヤした富裕層や相続だけを目的にした方にとってはハードルが高いと思います。

    では、5年間をシンガポールで贈与者と受贈者が生活するパターンはどうでしょうか? この場合は、相続/贈与税の対象は、国内資産のみとなり、シンガポールにある資産には課税されません。但し、年老いた親が言葉も通じない国で5年間もの間、医療や介護サービスを受けること、老後を一緒に楽しむはずだった仲間や親戚と離れるのは、なかなか大変なことであり、且つ相続を受ける子ども達も5年以上も海外で生活するのは、よほどの自由な職業ではないと現実的には困難です。サラリーマンで会社から離れて5年間も海外で生活することは非現実的ではないかと考えられます。

    この相続/贈与非課税の2つのパターンから考えられる対象者としては、
    (1)圧倒的な資産を保有する資産家
    (2)親が企業のオーナーで、受贈者が後継ぎで、東南アジアに進出する計画がある
    (3)子どもはその企業のNo2とかで海外責任者を任せられる
    (4)子どもは海外で経済活動で貢献してPR(永住権)を獲得できそう
     といった要素が揃えば、相続を海外で行うことはできるでしょうし、実際にオーナー企業の息子さんがシンガポールに移住して、海外事業を統括しているケースはあります(相続まで意識しているかは別として)。

    ここまでは、富裕層、すなわち資産をいかに減らすことなく、次世代にバトンタッチするか、ということに興味のある方々のケースを書きましたが、結論としては簡単ではありません。資産家の方は合法的に移住して資産運用益や5年滞在することで資産を保全することは出来るかも知れませんが、それはごく一部の方であり、ほとんどは今も仕事を継続してフローの収入がある方が多い日本においては、対象者が限られてきます。

    逆に移住をお勧めできないのは、資産はあまりないが、既にそこそこ稼いでいる高所得者の方ではないでしょうか。確かにシンガポールの所得税は最大20%ですし、住民税もありませんので、日本で40~50%近くを所得税と住民税で支払っている方には移住メリットがあるように見えますが、生活コストが外国人には高いのを忘れてはいけません。

    住宅は家族で住む前提だと、毎月45~60万円程度はかかりますし、子どもの教育費もインターナショナルスクールに通わせると、毎月20万円はかかるでしょう。子ども2人をインターに通わせて、通常の外国人向けのコンドミニアムに住むだけで、年間1,000万円近くが支出される計算になります。

     また、当然ですがシンガポールに移住しても変わらずに稼げるということが前提ですから、国や土地、会社、国内法に縛られた働き方をしていると難しいでしょう。ただ、意外に移住している方々の理由のひとつには、子どもの教育を挙げている方が多いのは、相続税や所得税などの税メリットばかりが注目されるシンガポールにおいて、意外な結果かも知れません。

    資産運用や相続ありきの移住ではなく、その国で、そして成長する東南アジアで、どのような事業を展開して、どのような成長戦略を描いているのか、ということを整理した上で、シンガポールへの移住を計画して頂きたく思います。その結果、海外で稼いで日本法人が潤う、そしてそこで適切な所得をオーナーが得る、その過程で可能なのであればシンガポールという国の税制を上手に活用するという考え方の優先順位を間違えないようにして頂ければ幸いです。

    【海外事業で発生する困難を乗り越えられる人材とは】

    私は仕事柄、シンガポールを中心に東南アジアに視察に来る方や、これから赴任する方と多くお会いします。90%以上は東南アジアで事業を立ち上げるために来る方々です。では、どのような方がアジアで事業を立ち上げるのに向いているのか?多少は、主観とはなりますが、少し感じていることをお話してみたいと思います。

    1. 変な人
     何か日本にいたら浮いているんだろうなぁ、という変な人。ある意味、日本式の考え方や行動が障壁になることが多いため、縛られていない人が良いのだと思います。日本の常識は海外では非常識のこともあり、逆も然りになり、ここで身動きが取れなくなる方は厳しいでしょう。

    2. おしゃべり
     海外では実直さ重視の日本とは異なり、自己主張しないと意見がない、提案がないという判断をされるので、おしゃべりくらいがちょうど良いと思います。価値観や様式が違うので、黙っていても分かるでしょ、的な都合の良いマネジメントは通用しません。言うべきは言う、とにかく片言でも伝えることが重要です。  また、インド人などは一方的に話してくるので、最後まで黙って聞いていると、全て同意していると勘違いされるので、相手が話している最中でも違和感があれば、はっきりと話を止めて論点を整理しましょう。  交流会や会議でも話さないことには何も始まりません。メールを返信しないことには事業はスタートしません。話したり、メールしたりするのが好きな方が良いと思います。

    3.ブライドが高くない
     上記の2に関連するのですが、英語が話せないから商談に行きたくないような方は論外でしょう。私も英語には自信がありませんでしたが、一人で各地に立ち上げに行き、超ブロークンイングリッシュとジェスチャー、下手したらイラスト描いて(絵も下手なんですが)、コミュニケーションを図り、何とかやってきました。オフィスの原状回復とか、会社の設立の手続き、各種税金とか、英語の専門用語バンバン出てきますが、正直、その場では分からない事も調べながら対応しました。

    4. 突破力がある
     とにかく小さくても結果を出すことにこだわる方。言い訳やその国を否定することばかり考えて、いつまでも結果を出せないパターンはNGです。良く陥りやすいパターンですけど。チャンスを嗅ぎつけたら、どんな手を使っても突破する、営業、パートナー探し、人材採用、仕入や物流など、あらゆる局面で突破力が必要になります。  突破して、そこからグイグイと自分のペースを作り、最終的には成果物にしてしまう能力が求められます。成熟した日本の社会とは異なり、ルールや前例がなかったりすることが多いので、自分がルールメイカーや前例になることが大切です。

    5. クレーマー
     少し言い過ぎましたが、正確にはハードネゴシエーターという意味です。全て契約書が中心に進むことが多く、最初から条件面のネゴシエーションが必須です。外国人だと思って舐めた条件を出して来たら痛い目に合うよ、というのを最初から見せておかないと、相手の思うがままに吸い取られます。  支払についても、こちらが納得のいく役務を相手から受けていないのであれば頑として支払わない、という姿勢も必要です。  

    6. 巻き込む力
     最初の事業の立ち上げは、少人数、資金も有限、人脈もない、知名度もない状態からスタートします。どんどん、自分のミッションや、会社のビジョンに共感いただける人達を巻き込み、小さな資本で大きな成果を生み出すレバレッジをきかせていきましょう。

    7. マルチタスク
     立ち上げは常にマルチタスクです。会社設立や銀行、会計、税務、採用、ビザ、購買、オフィス探し、営業、資料作り、資金繰り、契約書などパラレルで進みます。優先順位ですか?ないです、立ち上げ時にそのような賢いものは(笑)。全部を同時に進める必要があります。

     私がお会いさせて頂いた方々を見ていて、立ち上げに活躍している方々は、こんなタイプの方が多い気がします。皆様の会社で海外事業をお考えの際には、人選が事業の成否を決めると言っても過言ではありませんので、是非、上記の要件を参考に慎重に人選頂ければと思います。

    庄子素史(しょうじ もとふみ)
    ソーシャルワイヤー株式会社 取締役副社長 海外事業担当。 2011年より、日系企業向けのレンタルオフィス「CROSSCOOP」海外拠点(シンガポール、インドネシア、ベトナム、フィリピン、インド)を管掌。シンガポール在住。


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