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最強の投資手法「ヘッジファンド」とは何か? をわかりやすく解説

2016.12.09

1 ヘッジファンドとは?

 投資の手法として最近よく名前を聞くようになった「ヘッジファンド」
 よくわからないもの、投機、実体のつかめないもの、ハイリスク・ハイリターンで儲けは大きいが損もでかいと言われていることが多い。
 ヘッジファンドとは何なのか、なぜあまり知られていないのかも含めて、どのようなものかを解説する。

目次

1 ヘッジファンドとは?
 1-1 幅広い「公募」とヘッジファンドなどクローズドな「私募」の違い
 1-2 投資資金はどのくらい必要?

2「リスクをヘッジする」高いリターンをもたらす様々な投資手法と意味
 2-1 手法1.一気に利益を大きくする「レバレッジ」
 2-2 手法2.下げ相場でこそリターンを生む「空売り」
 2-3 人気の高いFXとは何が違う?

3 ヘッジファンドって悪いもの? 為替を動かすヘッジファンドと規制
 3-1 税金逃れ? パナマ文書とヘッジファンド
 3-2 サブプライム問題の影にヘッジファンド?
 3-3 ヘッジファンドがリーマンショックを引き起こした?
 3-4 この先ヘッジファンドって儲かるの?

4 ヘッジファンドは証券会社で買う?
 4-1 日本で買えるヘッジファンド
 4-2 海外のヘッジファンドを購入するには

5 こんなに幅広い! ヘッジファンドの運用戦略
 5-1 代表的な「売り買い」戦略、ロングショート
 5-2 世界の経済や政治を見極めるグローバル・マクロ

6 ヘッジファンドのスケールメリットを活かした運用戦略たち
 6-1 スケールメリットでマーケットタイミングをフル活用
 6-2 ヘッジファンドが市場を操作するストップ狩り
 6-3 マネージドフューチャーズは今やコンピュータが主体の戦略

7 イレギュラーな事態を投資のチャンスに!
 7-1 企業の合併、買収に目を光らせるイベント・ドリブン
 7-2 破綻企業を復活させる! ディストレス戦略

8 ヘッジファンドで儲けを得られるのはいつ?
 8-1 ヘッジファンドの決算時期が大事
 8-2 購入・売却のタイミングはいつがいい?

9 ヘッジファンドに関するランキング
 9-1 ヘッジファンド、資産運用額ランキング 
ブリッジウォーター、AQRキャピタル、マン、etc...
 9-2 最大17億ドル ヘッジファンドマネジャー 年収ランキング
 9-3 募集はある? ヘッジファンドに就職、転職するには

10 まとめ


1-1 幅広い「公募」とクローズドな「私募」の違い

 そもそも「ファンド」とはどういう意味か? 日本語の元々の意味は「資金」で、一般的には資金を運用して利益を出す、投資信託などを扱う会社を指している。

 ヘッジファンドとファンドの違いは何か? 最も大きな違いは、ファンドは公募であるのに対し、ヘッジファンドはほとんどが私募の形で資金を集めていることだ。
 公募と私募の違いは以下のようになる。

公募:多くの人に投資方法等を広告し資金を集める形。投資信託がこれに当たる。多くの人から資金を集めているので、投資単価も数万円~と、一般の人も手が届く範囲のことが一般的。

私募:募集を公にせず、少ない人数から資金を集めて運用する形。投資単価も最低1億円 など大きい。規模を大きくせず、すでに取引のあるところとの狭く深い付き合いであることが多い。

 ヘッジファンドの特徴は「絶対的収益の追求」にある。これは市場に左右されず、どんな状況でも常に利益を出すことを目指す、ということだ。その方法は様々だが、ヘッジファンドだからこそのものが多々ある。

 ヘッジファンドは、1949年にアメリカ合衆国の社会学者,アルフレッド・W.ジョーンズが始めたファンドが起源とされる。
 割安の投資商品を買い,割高の投資商品を同時に売るという投資手法によって,市場変動リスクを極小化(ヘッジ)することからヘッジファンドと呼ばれるのだ。

1-2 投資資金はどのくらい必要?

 ヘッジファンドは元々、アメリカやヨーロッパのお金持ちの資産運用の方法としてスタートしている。

 そのため、ヘッジファンドに投資するために必要な金額は大きく、100万円や200万程度では投資できないことがほとんどだ。資金としては最低でも500万は欲しい。

 その性質から、ヘッジファンドの購入者は現在多くの資産を持っている資産家、自社の収益が多く出ている社長などになる。

2「リスクをヘッジする」高いリターンをもたらす様々な投資手法と意味

 ヘッジファンドに投資するうえで、金融資産の運用の仕組みと、ヘッジファンドがどのような方法で利益をあげているのかを知ることは大切だ。
 ヘッジファンドでよく使われる手法を解説していく。

2-1 手法1.一気に利益を大きくする「レバレッジ」

 レバレッジとは「レバー(てこ)」から派生した言葉で、てこの原理、つまり小さい力で大きいものを動かすことに由来している。
 投資におけるレバレッジとは、自己資金から上げられる以上の収益を得ることを言う。

 例えば資金が300万円あり、300万円分の株式を購入したとする。その株式の価格が10%上昇したならば、価格は330万円となり、30万円の利益が出る。

 資金にレバレッジをかけ、10倍の3000万円の資金にして株式を購入したとする。同様に株式価格が10%上昇すると、株式価格は3300万円となり利益は300万円。資金と同額の利益を得られた。

 少ない資金でも多くの利益をあげられる、これがレバレッジだ。

 レバレッジは得られるものが大きい半面、リスクも大きくなる。
 もしレバレッジをかけている状態で株式価格が上がらずむしろ10%下がった場合、先ほどのケースでは300万円の損失となる。
 そうなれば元の資金は全てなくなり、それ以上下がった場合は証拠金として損失金額を上積みする必要が出てくる。
 レバレッジはうまくいけば大きく儲かるが、失敗すると、大きな損失が生まれる可能性があるのだ。

 レバレッジをかけるべきか、やめるべきか。これを見極めるが、投資のスキルだ。

2-2 手法2.下げ相場でこそリターンを生む「空売り」

 空売りとは、株式を持っている人や会社から株を借りて売却し、その株が値下がりしたときに買い戻して持ち主に返却し、利益を得る投資手法のことを言う。

 例えば現在1万円の株式を空売りすると、1万円が手に入る。その株を株価が9000円になったときに買い戻して返却すれば、差し引き1000円の利益になる。

 一般的な株式市場では、値下がりすると損してしまうが、空売りは株式市場が値下がりしている局面で儲ける手法だ。
 なお、空売りには生命保険会社など「貸株」と呼ばれる株を借りる必要があり、貸株料という手数料等の支払いが必須だ。

 投資信託の公募債では規制があり、これらの手法を利用することはできない。私募債で規制のないヘッジファンドはデリバティブや空売りを活用して、値下がりの局面でも利益を追求することが可能だ。

 むしろ、「値下がりする」と狙いをつけた株を空売りすることで、下げの局面で利益を出していくことができる。

2-3 人気の高いFXとは何が違う?

 FXがヘッジファンドの手法として用いられることはまずないが、似たものとして考えられることも多いため、説明をしておきたい。

 外国為替証拠金取引(通称FX)とは、外貨投資の1つ。証拠金取引とは手持ちの資金を証拠金として預け入れ、その何倍、何十倍もの金額の取引を行うことで、前述したレバレッジ効果を狙ったもので、投資の手法として人気が高い。

 大きく儲けられる可能性がある一方、元本割れした場合に証拠金を追加で入れなければ、全て売却されるハイリスク・ハイリターンなところが、投資と言うよりももはやギャンブルとして人気の理由だ。

 外国為替証拠金取引は、市場が休む株式投資と違い24時間リアルタイムで行えることが特徴だ。
 海外とは時差があるので、多くの国の通貨を扱えば、自分の保有している通貨価格は常に変動していることになる。
 見方を変えれば、寝ている間に大きな変動があったりする可能性もあり、24時間気が休まる暇がないとも言える。

 FXもその仕組み自体は株式と変わらず、投資する対象が違うだけと考えることができる。
 ただしその気軽さに対してレバレッジで失敗したときに失う金額も大きい、実は極めてハイリスク・ハイリターンのもののため、よくわからないままに手を出して痛い目を見る人がたくさんいる。

 ヘッジファンドをハイリスク・ハイリターンのものと思っている人はFXと同義のように考えることもあるが、まったく異なるものだ。

 ヘッジファンドにもハイリスク・ハイリターンのものがあるが、ローリスク・ローリターンのものもあり、その種類は様々だ。

 また、運用機関も数年から数十年に及ぶものが多く、FXのように数分、数秒単位で売り買いすることもない。

 むしろ「いかにリスクをヘッジするか」という発想から生まれたのがヘッジファンドなので、しっかりとした運用を目指し、ギャンブルとは正反対に位置するものがほとんどだ。

3 ヘッジファンドって悪いもの? 為替を動かすヘッジファンドと規制


 ヘッジファンドには時々、悪い噂が流れる。「市場をコントロールしている」「経済を混乱に陥らせている」といったものだ。それらの声は本当だろうか?

3-1 税金逃れ? パナマ文書とヘッジファンド

 2016年、ニュースに何度もその名前が出た「パナマ文書」は、パナマの法律事務所が作成した機密文書だ。

 この法律事務所はタックス・ヘイブンに関する手続きを主として行っており、顧客である世界中の企業や個人名がパナマ文書には記載されている。

 タックス・ヘイブン(租税回避地)とは、税金が現地でかからないケイマン諸島 などの地域のことを言う。
 タックス・ヘイブンは犯罪や資産隠しの温床のように言われているが、税金が現地でかからないだけで、日本企業は税金をきちんと支払っている。

 タックス・ヘイブンは世界に50以上あるとされ、ルクセンブルグ、バミューダ諸島、ケイマン諸島、マン島、バージン諸島などが有名だ。

 それらの小さな国や島は収入を得る手段が限られているため、金融特区のような税制優遇措置を提供することで資金を集めている。

 タックス・ヘイブンのメリットとして、同じような金融サービスが集まっているため、シリコンバレーや秋葉原のようなクラスター(集合体)による強みが生まれることが考えられる。

 世界の富裕層が所有する金融資産のうち約30~40%がタックス・ヘイブンの地域にあるとされ、また取引されている。

3-2 サブプライム問題の影にヘッジファンド?

 2007年に発生したリーマンショックとヘッジファンドの関係はどんなものだったのか。リーマンショックの原因になったサブプライム問題の引き金になったのは、ヘッジファンドといわれている。

 全体の説明をする前に、まずはサブプライム問題とは何かを解説する必要がある。 アメリカにおける住宅バブルとサブプライムローンが起こしたバブル崩壊と、その後の世界金融危機のことだ。

 サブプライムローンとは、返済能力の低い人たちに、不動産価格の上昇を前提に住宅を担保として高い金利でお金を貸し付けるローンのことだ。
 本来ならば住宅ローンを組む場合、返済能力があるかを銀行が審査して能力があると判断すれば銀行はローンを組み、能力がなければローンを組まないものだが、サブプライムローンは購入した住宅を担保にして、最初は低い金利で、数年経つと高い金利を支払う仕組みだった。

 数年経って、高い金利になった時には住宅価格が上昇していれば、住宅ローンを借り換えることで、高い金利を支払うことなく、住宅を保有することができた。

 リスクはあったものの、当時のアメリカは住宅バブルで、住宅価格が高騰していた。

 返済能力に問題があっても、そのとき高値になっている家を差し押さえれば残りのローンの金額以上で売却できる、そう見込んで、銀行はローンを組んでいた。

 だが住宅バブルは崩壊、銀行は家を差し押さえてもローン残債の回収ができなくなり、銀行が抱える不良債権は急速に増加したのだ。

3-3 ヘッジファンドがリーマンショックを引き起こした?

 このサブプライムローンは証券化され、金融商品としても販売されていた。
 そのためサブプライム証券の価格も崩壊し、不良債権が増加、金融市場では資金を引き揚げる動きが活発化した。

 サブプライム証券の暴落をきっかけに投資銀行のリーマン・ブラザーズが倒産し、世界的な金融危機につながったと言える。

 その事態を重く受け止めた金融当局は2009年4月に行われた会合において、ヘッジファンドの規制を決定した。


3-4 この先ヘッジファンドって儲かるの?

 世界のヘッジファンドの運用資産総額は約310兆円に達している。
 ヘッジファンドは運用資産にレバレッジをかけていることも多いため、実際の金融市場に出回っている金額は、その何倍にも達すると予想される。

 2016年のヘッジファンドを取り巻く状況はどのようなものだったかを見てみよう。金融市場は中国発の世界株下落と原油価格の急落から、大きく荒れる展開で始まった。どちらもそう落ちることはないだろうと考えられていたものだ。

 ヘッジファンドでは、運用不振から巨額の解約が相次いだ。
 1つあたりの金額が大きいヘッジファンドは、解約が続くとその額もかなりのものになる。2016年の解約ラッシュが、世界の金融市場をさらに混乱させたとも言えるだろう。

 2016年1~3月の世界のヘッジファンドの解約は、リーマンショックの年以来の高水準に達した。
 ヘッジ・ファンド・リサーチ(HFR)社によると解約額は150億ドル(約1.5兆円)となり、運用総資産額は2.90兆ドルから2.86兆ドル(約286兆円)に減った。
 解約額は、リーマンショックの起きた2009年の4~6月期の430億ドル以来の規模となっている。

 ヘッジファンドが解約される大きな理由は、ヘッジファンドマネジャーの手数料の高さにある。
 投資家はヘッジファドに運用成績の20%程度を手数料として支払うのが一般的で、そのヘッジファンドマネジャーへの高い手数料を差し引いても充分な利益を投資家にもたらすことで投資をしてもらえる形になっている。

 ここ最近の運用成績から、高い手数料を補ってあまりあるメリットのあるヘッジファンドが少なくなっているとされた。

 著名ヘッジファンドマネジャーのファンドを見てみよう。
 HFR社のヘッジファンド・インデックスによると、ヘッジファンドの2016年1~2月のパフォーマンスは2.6%の下落となり、2015年の1.1%のマイナスからさらに続落した。
 特に運用総資産の大きいグローバル・マクロ戦略のファンドが苦戦した。「カリスマファンドマネジャー」と呼ばれるような著名ヘッジファンドファンドマネジャーのファンドも、軒並み1~3月は大幅な損失を計上している。

 世界一のグローバル・マクロのファンドであるレイ・ダリオのブリッジウォーターは▲7%、リーマンショック時にサブプライム危機で巨額の富を築いたジョン・ポールソンのイベント・ドリブン戦略のポールソン・アンド・カンパニーは▲15%。 チェース・コールマンが運用するグローバル・マクロのタイガー・マネジメントは▲22%、タイガー出身のアンドレアス・ハルボアセンのバイキングは▲9%、バリュー投資のビル・アックマンのパーシング・スクエアは▲26%となっている。

 著名ヘッジファンドマネジャーも苦戦しているが、クレディ・スイスはヘッジファンドに関してHFR社とまったく逆の見解を示している。

 同社は多くのヘッジファンドが解約された事実を 認めながらも、調査した200以上の機関投資家の89%がヘッジファンドへの追加投資を考えていることに言及する。

「ヘッジファンドの解約は個別のファンドのパフォーマンス低迷が原因で行われたもので、解約されたヘッジファンドの資産はほとんどが別のヘッジファンドに投資されている」としている。

4 ヘッジファンドは証券会社で買う?

 ヘッジファンドをどのように購入したらよいのか。ほかの金融商品のように、証券会社など金融機関で買えるものと、買えないものがある。  

 主に日本で販売しているもの、海外で販売されているものとがあり、割合で言うと後者のほうが圧倒的に多い。

4-1 日本で買えるヘッジファンド

 日本にあるヘッジファンドはどのようなものが存在するか。
 GCIアセット・マネジメントの扱うものなどが、一部にヘッジファンドの組みこまれている金融商品だ。

 同社の扱う「GCIエンダウメントファンド」は楽天証券、SBI証券、新生銀行、高木証券(投信の窓口)などで購入することができる(申し込みは平成28年12月21日まで)。

 アメリカの名門大学基金が実践してきた運用手法を模範とし、本格的な長期投資、徹底したグローバル分散投資を行い、効率的な運用を目指す。

 リスク資産は多いが成長率の高い「成長型」と、リスクを抑えた「安定型」があり、投資家は自身の投資スタイルに合わせて選ぶことができる。

 日本の会社が扱うヘッジファンドは最低投資単価も低く、誰でも買いやすいのがメリットだ。

4-2 海外のヘッジファンドを購入するには

 そのほかにも、海外の会社が扱っているヘッジファンドについては、プライベートバンク(外資系証券会社の日本支店)を通じて購入する、ヘッジファンドを扱う会社そのものに直接申し込みをするなどして投資することが可能だ。

5 こんなに幅広い! ヘッジファンドの運用戦略

 ヘッジファンドは絶対的利益の追求というその性質から、様々な運用手法を持っている。それぞれのヘッジファンドが、いろいろな手法を駆使してどんな状況でも利益を出すことを目指すのだ。
 ヘッジファンドが使う投資・運用手法についていくつか紹介する。


 ヘッジファンドの特徴の1つが「絶対的利益の追求」どんな相場状況でも必ず利益を出すことを意味する。
 本来銀行にお金を預けたり、国債を購入したりする際は、銀行や国が元本を保証している。これはつまり、預けた側は損をすることはないということだ。

 とはいえあくまでも運営元が保障しているだけであり、国や銀行自体が破綻してしまえば価値はなくなる。その意味ではリスクはゼロではなくあくまでも「低い」、すなわちローリスク・ローリターンだ。

 それに対し投資信託やファンドは、最初から元本が保証されていない。「損をしても自己責任」ということになる。
 とはいえ、お金を預けた結果損をしたとなると、そのファンドに投資する人はいなくなるので、どのファンドも利益を追求する。

 それでも日経平均の暴落、金融危機など予期せぬ事態が起こり、保持するすべての株式が値下がりといった事態に直面するなどして、損することもある。

 しかし、どんな状況でも必ず利益を出す、それを目指すからこそ、資産家はヘッジファンドに出資する。そして、それを可能にする確かな実力に裏付けされたものがなければ、絶対的利益の追求はできないと言える。

5-1 代表的な「売り買い」戦略、ロングショート

 ヘッジファンドの代表的な運用手法の1つだ。「ロング(買い)」と「ショート(売り)」を組み合わせることからこの名前がついている。

 現在の価格が割安なA社の株(今後値上がりしそうな株)を買い、同時に割高なB社の株(今後値下がりしそうな株)を空売りする。

 読み通りにA社の株が値上がりして売れば利益が発生し、B社の株が値下がりしたときも買い戻して返却することで、利益が発生する仕組みだ。

 このように株が値上がり、値下がりしたどちらの場合でも利益を目指せるため、値上がりだけを求めて投資する方法より、一度に2倍の量の投資が可能となる。
 ロングショート戦略を効率的に扱うことで、徹底した利益追求をヘッジファンドは行っている。

5-2 世界の経済や政治を見極めるグローバル・マクロ

 世界の国や地域の経済状況・政治状況をリサーチし、株式、先物取引、為替など様々な金融商品を組み合わせて利益を求める戦略だ。

 例えばある国の経済が上向きと読むのであれば株式や為替、この先原油価格が下落しそうであれば原油先物といったように、様々な視点で将来予測を行っていく。

 グローバル・マクロを活用するために必要なのは、常に世界各国の情勢を知っておくことであり、情報を押さえていることだ。
 個人投資家では得られる情報の量に限界があるため、ヘッジファンドのようなプロ集団でなければ活かしにくい手法であると言える。

6 ヘッジファンドのスケールメリットを活かした運用戦略たち

 ヘッジファンドの運用の特徴の1つに、スケールメリットがある。扱う金額が大きいからこそできる方法を駆使するのだ。

 少額の投資ならば儲けたと言わないようなリターン率でも、運用金額が大きければ充分に儲けたと言えるようになる。

 200円を運用した結果10%儲けても利益は20円だが、200億円を運用していれば10%の儲けは20億円だ。

6-1 スケールメリットでマーケットタイミングをフル活用

 マーケットタイミングは和訳すると市場機会、その名の通り株価が上昇傾向のときは安いタイミングで株を買い、下落傾向のときは安全な価格をキープし資産を守ることだ。

 手法自体は一般的な株式投資と同じだが、異なるのは、その資産規模だ。
 先述の通り、量は力で運用を行っていく。

 ヘッジファンドが扱う金額の大きさを活かして、、市場の情勢を見て動くだけでなく、資金力を活かしてタイミングを自ら作り出すことが可能だ。それが次に紹介するストップ狩りという手法だ。

6-2 ヘッジファンドが市場を操作するストップ狩り

 現在1000円の株式を大量に売却、もしくは空売りするとする。
 売りが殺到したことで価格は800円まで下がり、他の投資家は価格が下がった今が買いのタイミングと思い、800円で株を購入する。

 800円の時点で買う人が増えることで、価格は元の1000円に戻っていくのが普通だが、ヘッジファンドはそこでさらに大量の売却、空売りを行う。

 すると、800円で買った投資家は今が割安、今後は上がるだけと思ってその株を買ったのに、さらに価格が下がったためこれ以上持ち続けるのは損になると判断、ストップオーダー(損切り)を出し、株を売却する。
 またレバレッジ取引であれば株価下落の損失に証拠金が追い付かず、強制的に売却されることもある。

 売却が加速し、その株式価格は600円まで落ちたとする。そのときにヘッジファンドは600円でその株式を買い戻せば、大きな利益を得ることができる。

 このように、自分で価格を操作することによって利益を出すことが可能なのだ。

 株価の乱高下が、ヘッジファンドがストップ狩り目的で株を売却したことによるかどうかは、一般投資家にはわからない。
「突然値下がりして大損した」と思う一般投資家も多くいる。
 株価を操作してまで利益を追求するヘッジファンドならではの投資手法と言え、「ヘッジファンドが金融危機を引き起こしている」と言われる理由の1つでもある。

6-3 マネージドフューチャーズは今やコンピューターが主体の戦略

 マネージドフューチャーズとは、先物取引で利益を追求する手法で、株式や為替から、原油、大豆やとうもろこしなどの穀物を含めた先物商品に投資する。

 グローバル・マクロと近いと言えるが、その違いとしてマネージドフューチャーズは先物、グローバル・マクロは流動性の高いものは投資対象のため、現物株なども投資対象となる。

 先物取引は世界中で行っており、また中東で内戦が発生した結果原油価格が上がり、燃料価格が高騰してアメリカの農作業に影響が出た結果日本に入ってくる果物が値上がり、逆に最近は原油が安いのでそれに伴い増産し取引が増え~というように、目の前のことにも世界中がつながった結果の影響があるので、先物取引を行うためには常に世界動向を把握する必要がある。

 それだけ膨大な情報処理の必要から、もはや人間の頭脳だけでは追い付かず、コンピュータープログラムによる取引が中心となっているところが主流だ。

7 イレギュラーな事態を投資のチャンスに!

 ヘッジファンドが絶対的利益を追求するうえで、企業の株価が上がった、下がった以外を投資の機会にすることもたくさんある。それが以下のような方法だ。

7-1 企業の合併、買収に目を光らせるイベント・ドリブン

 会社間の合併や買収などのイベントが起きた際、株価が大きく動くことを見越して投資をする手法だ。
 合併と言っても、会社の力関係や両社の出資比率等を見れば、実質的には買収であったりと、主導権を握っているのはどの会社かは判断できる。

 その合併は相乗効果を生むのか、その持ち分比率によってその会社の未来を投資家がどう判断するかによって、株価は変動する。

 ヘッジファンドはヘッジファンドマネジャーが経験や知識に基づいて、最終的な収束価格を予測する。
 その価格より安ければ買い、高ければ空売りする。そういったイベントによるチャンスを見て利益をあげていく手法をイベント・ドリブンと呼ぶ。

7-2 破綻企業を復活させる! ディストレス戦略

 主に破綻企業の債券への投資で、破綻で価値を下げた会社の株式を扱い、その後の収益改善や資金注入等で価格が元に戻ったときに利益を得る戦略だ。
 価格が元に戻るにはかなりの期間がかかるため、他のヘッジファンドの戦略と比べて長期間の投資となる。

 また、ヘッジファンドやヘッジファンドマネジャーが自ら倒産企業の経営に関与し、立て直すこともある。
 ヘッジファンドが、破綻はしても充分にその後復活できると判断した会社の価値を、自らの手で上げていくのだ。決して市場の動きを待つだけでないヘッジファンドの力がある。

8 ヘッジファンドで儲けを得られるのはいつ?

 ヘッジファンドの手法やどのように儲けを出していくかをお伝えしてきた。投資するだけでは意味がない。そのあとどのように儲けを得るのかを説明する。

8-1 ヘッジファンドの決算時期が大事

 常に市場の動向が価値を左右する株式市場において、決算期は株の値段が変動する要因が多くある時期だ。

 日本の企業は3月決算企業が多いため、3月の株式相場の変動は大きくなる。

 決算とは企業活動の年間締めの意味で、決算期で締めた業績で決算書が作成される。
 決算書は銀行の融資や取引等、企業の信用度を示す局面で多く利用される。黒字であれば銀行からの融資は受けやすくなり、自己資本が多ければ健全経営と見なされる。
 上場企業は決算書もIR情報として公表する義務があるため、株価にも大きな影響を与える。

 決算対策として保有している株式を売却したり、自社の評価額を上げるために自社株式を購入したりと、企業が起こすお金の流れは投資家に新たな判断材料を与え、それが株価に影響する。
 ヘッジファンドから見ても、決算期の相場を読むことは重要だ。

8-2 購入・売却のタイミングはいつがいい?

 日々価格が変動している金融資産を購入・売却してヘッジファンドは利益を生んでいる。
 ヘッジファンドは投資ではなく投機集団とよくいわれる。投資は比較的長い期間資産を保有し、企業の成長とともに配当益などを受けることに対し、投機は短期間(短ければ数分)で変動した価格との利ざやを収益とする。

 投機には悪いイメージがあるが、安いときに買い高いときに売るのはビジネスの基本中の基本、大原則である。

 また、ディストレス戦略のように株を買った先と長期の関係を築くこともある。
 ヘッジファンドが立て直したことで会社が復活した、雇用を守れたというケースもあり、その関わりが会社にとってよい効果であることも少なくない。

 ヘッジファンドのように高い収益をたたき出すためには、情報のリサーチ以外にセンスも必要になってくる。購入・売却のタイミングは経験やそれに裏打ちされたカンの世界と言っても過言ではないかもしれない。

9 ヘッジファンドに関するランキング

 世界のヘッジファンド「資産運用額ランキング」TOP10(2015年版)

 ヘッジファンドの運用資産はどれくらいなのだろう。ヘッジファンドは私募債であるため、正式な統計はない。

 そのため、会社の開示や、米国で登録しているファンドが四半期毎に義務づけられている「13Fファイリング」などをベースに、調査会社によってそれぞれのランキングが作られている。

9-1 ヘッジファンド、資産運用額ランキング
ブリッジウォーター、AQRキャピタル、マン、etc...

 英調査会社プレキンが集計した2015年上位10社は以下の通り。著名ファンドマネージャーのレイ・ダリオ率いるブリッジウォーターが世界一で約18兆円の資産を運用している。ダリオの旗艦ファンドはグローバル・マクロ戦略が2本だ。

 2位のAQRキャピタル・マネジメントは、クオンツ系のモメンタム系のファンドが旗艦ファンドだ。

 3位のマンはCTA(商品投資顧問会社)で有名なファンド。為替、債券、株式市場だけでなく商品市場でも大きなプレーヤーだ。

 ヘッジファンドには株式ロング・ショートのような戦略のものも多いが、200億ドル以上の規模になると、それのみでは運用が難しくなるためグローバル・マクロ戦略か複数戦略を組み込んだマルチ・ストラテジー戦略が多くなる。

 運用総資産ごとのランキングは以下の通りだ。
(順位/運用会社/運用総資産/所在地/主力戦略)

1.ブリッジウォーター・アソシエイツ/1695億ドル/アメリカ/グローバル・マクロ
2.AQRキャピタル・マネジメント/649億ドル/アメリカ/グローバル・マクロ
3.マン・インベストメンツ/500億ドル/イギリス/CTA
4.オクジフ・キャピタル/472億ドル/アメリカ/マルチ・ストラテジー
5.スタンダード・ライフ・インベストメンツ/353億ドル/イギリス/マルチ・ストラテジー
6.ブラックロック・オルタナティブ・インベスターズ/318億ドル/アメリカ/マルチ・ストラテジー
7.ウィントン・キャピタル・マネージメント/311億ドル/イギリス/CTA
8.バイキング・グローバル・インベスターズ/303億ドル/アメリカ/グローバル・マクロ
9.ミレニアム・マネージメント/292億ドル/アメリカ/マルチ・ストラテジー
10.ローン・パイン・キャピタル/290億ドル/アメリカ/株式ロング・ショート


9-2 最大17億ドル ヘッジファンドマネジャー 年収ランキング

 2015年にもっとも稼いだファンドマネージャーの報酬額は17億ドルだった。
「Institutional Investor`s Alphamagazine」が2016年5月10日に発表した2015年のヘッジファンドの報酬ランキングでは、シタデルの創業者であるケネス・グリフィンとルネサンス・テクノロジーズ創業者のジェームズ・シモンズが17億ドルでトップを分けた。
 日本円にして約1700億円という報酬額だ。

 そのあとは3位のブリッジウォーターのダリオとアパルーサ・マネジメントのデビッド・テッパーが14億ドルと続く。テッパーはポールソンとともにリーマンショックで稼いで有名になったトレーダーだ。

1.ケネス・グリフィン/シタデル/17億ドル
1.ジェームズ・シモンズ/ルネッサンス・テクノロジーズ/17億ドル
3.レイ・ダリオ/ブリッジウォーター・アソシエイツ/14億ドル
3.デビッド・テッパー/アパルーサ・マネジメント/14億ドル
5.イスラエル・イングランダー/ミレニアム・マネジメント/11.5億ドル
6.デービッド・ショー/D.E.ショーグループ/7億5000万ドル
7.ジョン・オーバーデック/ツーシグマ・インベストメンツ/5億ドル
7.デビッド・シーゲル/ツーシグマ・インベストメンツ/5億ドル
9.アンドレアス・ハルボーセン/3.7億ドル/バイキンググローバル
10.クリストファー・ホーン/3億ドル/ザチルドレンズインベストメント
10.ジョン・エデルマン/3億ドル/パーセプティブアドバイザーズ


 上位陣はほとんど毎年変わらない顔ぶれであるものの、ランキングトップ8人のうち6人がクオンツ系のコンピュータ運用のファンドマネージャーだ。

 クオンツ系ファンドマネージャーが報酬を増やす傾向が加速して起きており、ランキングの上位25人で見ても半数以上がコンピュータを使ったシステムトレードの運用者で占められている。

 たとえば2015年の7位にツー・シグマ・インベストメンツのジョン・オーバーデックとデビッド・シーゲルの共同創業者が2人揃って初めてランクインした。

 2人はもともと6位に入っている有名ヘッジファンドのD.Eショーから独立した。コンピュータによるCTA戦略をとるファンドの運用者だ。

9-3 募集はある? ヘッジファンドに就職、転職するには

 このように高い報酬を得ているヘッジファンドマネジャーの姿に触れると、ヘッジファンドにお金を預けるだけでなく、ヘッジファンドに就職する、自分自身が運用する側になりたいという人もいるだろう。

 ヘッジファンドマネジャーには、どのようにしたらなれるのか。

 先ほどのランキングには入っていないが、実は日本人のヘッジファンドマネジャーも存在する。ヘッジファンドジャーナルは女性のヘッジファンドマネジャーランキングを発表しており、その中にも日本人がいる。

 ヘッジファンドは金融資産運用のプロ集団であり、ヘッジファンドマネジャーに求められるのはとにかく成果であり、運用成績が悪ければクビの世界だ。
 そのため、入ってきた未経験の若い人を育てようなどと悠長なことを考える発想がなく、新卒採用を行っているところはまずない。

 まず国内外の投資銀行、ファンドで経験を積み、高い実績を残した上で、即戦力として移ることが必須だ。
 公募債で高いパフォーマンスを納め、有名になることで、ヘッジファンドからオファーが来るのを待つ、それが最も可能性の高い方法だ。

10 まとめ

 最後に、もう一度ヘッジファンドとは何かを簡単に整理しよう。
 ヘッジファンドは投資はなく投機であり、ハイリスク・ハイリターンというイメージがあるが、必ずしもそうではない。
 ヘッジファンドは絶対的利益を追求し、ローリスクハイリターンを提供している。
 そのため紹介した投資手法も、目的はリターンを得ることだがリスクを避ける(ヘッジ)する手法でもある。

 ヘッジファンドへの投資は昔に比べしやすくなってはいるものの、大切なのはきちんと投資のビジョンを持つことだ。
「いつまでにいくら投資で確保したい」という、期間と金額をはっきりさせることが投資では欠かせない。闇雲にやってうまくいくことは絶対にない。ヘッジファンドに限らず、投資で必要なのはビジョンだ。

「リスクを恐れず大きく勝てる投資をしたい」ならばハイリスク・ハイリターンなものを選ぶべきであり「損失を抑えて着実に勝ちたい」ならばローリスク・ローリターンを目指すことになるだろう。

全体の運用イメージは、どのくらい運用資金があるか、運用の期間はどのくらいにするかなど、決めた上で投資をしていこう。

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