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個人投資家が株式投資で勝てない本当の理由

2012.12.18
「羊」は「羊」

渡辺教授は「個人投資家が市場で勝つためには、まず市場そのものを知らなければいけない。しかし、投資理論とまでは言わずとも、ものすごく基本的なことも知らずに証券会社の勧めるなりになっている個人投資家があまりにも多い」と語る。

はっきり言ってしまえば機関投資家やヘッジファンドvs.個人投資家は、弱肉強食の世界でプロと素人が真剣勝負するようなものだ。両者には「情報の非対称性」の問題があり、商品情報に関して想像以上に大きな差がある。証券の将来価格は不確定なため、結果的に投資家、特に資金力に乏しい個人投資家が、多大な損失を被ることはよくあることだ。

しかし、個人投資家の中には、ひょっとしたら自分だけはマーケットに勝てるかもしれないという〝幻想〟があることが、結果として、市場の流動性を保証するとともに、真の価格を知っている裁定取引業者に利益を与え、最終的に証券価格を適正水準に引き戻す皮肉な役回りをしている。

こうした現実に対して渡辺教授は疑問を投げかける。「自己責任原則の下では、損をした投資家の方が悪いということになるが、私はそもそも、証券知識に乏しい個人投資家に株式投資を勧めること自体が間違っていると思う。投機の存在が、流動性を提供しているのは事実だが、何も長期的には負けるとわかっている役割を、個人投資家に負わせる必要はないと思う」。

アクティブ・ファンドの源泉が、実際の証券価格と理論値の差だとすれば、理論値を知らないで取引してくれる人間が多いほど、リサーチに基づいた投資が勝つのは当然。「政府が国民の金融資産を証券投資に向けさせようとしているのは、企業の持ち合い解消の受け皿にするためであり、貯蓄から投資への掛け声の名のもとに行われている『羊』の大量生産だ。短期投資はギャンブルと変わらない」(渡辺氏)。いずれにしても、個人投資家は市場を出し抜けないというのが事実なのだ。

長期、分散が原則、積立投資も有効

「効率的市場仮説が正しいかどうかには議論もあるが、私は基本的には正しいと考えている。仮説が意味するところは、まず、すべての事象は株価に織り込まれているので『株価を予測することには意味がない』ということ。第二に、投資においては、長期に持てば持つほどリスクは減少するので、『短期で回転売買をすることは最悪の結果をもたらす』こと。第三に『複数銘柄を持つ方がリスク分散になる』ことだ」(渡辺氏)。

これは現代の投資理論の常識であり、証券会社の人間が知らないわけがない。しかし、証券会社は、相変わらず短期の回転売買を推奨するのが現実。「証券会社の立場に立つと、顧客が銘柄選びを放棄してインデックスファンドを買い、長期で持たれると営業が成り立たない。日本の証券会社の営業スタンスは最悪。そして銀行も例外ではない。日本人は銀行員の言うことを信用してしまいがちだが、実際には素人が素人に営業しているようなものだ」(渡辺氏)。

日本では投資教育を受ける機会が少ないし、仮にあったとしても、証券を売る側からの一方的な情報であることが多い。「残念ながら今の日本では投資教育がほとんど行われていない。日本のような金融資産が多い国にとって投資は重要。投資教育は非常に重要だ。短期で投機的な投資には賛成できないが、中長期的な投資をするにしても、まずある程度は投資の勉強をしてから行うべきだ」(渡辺氏)。

また、少なくともこの20年間を見る限り、日本株投資で儲けるのは至難の技だったと言ってもよい。「日本株は魅力がない。配当を含めて企業が投資の方を向いていない。日本の潜在的な成長余力にも疑問がある」(渡辺氏)。

最後に渡辺氏は、日本株に代替する投資先として、「リスク許容度の問題や時間分散効果、定額投資によるドルコスト平均法の効果などを考えると積立投資は勧めることができる。新興国を含めたグローバル投資は、高い成長率のメリットを享受できるので良いと思う。株や債券などに分散投資をするのはさらに良い」と指摘した。

(参考図書)『個人投資家がマーケットで勝てない本当の理由―ファイナンス理論が証明する投資の真実』(渡辺信一著、ダイヤモンド社刊)

渡辺信一(わたなべ・しんいち)
東京国際大学商学部教授。1982年一橋大学法学部卒業。同年安田火災海上保険入社。88年ジャーディン・フレミンク証券会社入社。91年住友信託銀行入社。2001年熊本学園大学経済学部助教授、02年同教授。『金融工学 理論と現実』(2001年 ダイヤモンド社)、『金融工学と日本の証券市場』(2007年 日本評論社)など著書多数。

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