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1300億円を消失したMRIに実態がないことは業界では有名だった

2013.04.26
被害者の大半が個人

米金融業者のMRIインターナショナルが、資産の一部を消失した疑いがあることが、証券取引等監視委員会の調査でわかった。同社が販売していたのは、「診療報酬請求権債権投資(MARS投資)」と呼ばれる商品。主に日本の顧客から投資資金を集めており、顧客資産の総額は1365億円に達すると見られる。日本の顧客数は約8700名にのぼる。金融庁は業務停止命令などの処分を出す方針。

 

消失規模は今後の調査を待たねばならないが、1365億円の資産の大半が失われているとすれば、昨年発覚したAIJ投資顧問の年金消失問題に匹敵する規模となる。AIJ事件の主な被害者は企業年金だったが、今回は個人が大半とみられ、顧客の被害範囲はより広範にわたる。

常識的にあり得ない元本保証

同社は診療報酬を基にした金融商品で、年6~8.5%の高利回りが得られることを謳い文句として投資家を勧誘していた。しかし、その実態はほぼ自転車操業で、業界では以前から怪しい金融商品として懸念する声が強かった。「診療報酬請求権債権投資(MARS投資)」(商品名:「MRIシリーズ セレクトA」)と言われるもっともらしく聞こえ、さもありそうな気にさせられる。

同社は「アメリカでは医療機関が診療報酬請求債権の回収期間が長いため、回収を早めるために債権を投資商品化して割り引いて売却し、それを引き受けて回していく」と説明していたようだが、その具体的な投資スキームは闇の中だ。

さらに、この手の詐欺事件で多いケースと同様、同社も元本保証を謳っていた。元本保証で固定・高利回りの金融商品など、金融業界の常識としてはあり得ないが、日本人は特にこの「元本保証」という謳い文句に弱いといわれる。今回も同じ手口が繰り返された可能性が高い。

詐欺事件の常套手段

「診療報酬請求権債権投資(MARS投資)」は、最初はきちんと投資家に元本と利息を戻すことで、この商品は本物だという噂が広がっていき、信頼性を高めていった。実際に、円建てで150万円投資し、5年後の満期に元利合わせて206万円が戻ってきたという例もある。しかし、一皮むけば裏では自転車操業が繰り返されている。よって、途中解約はできない。これも、詐欺事件の常套手段だ。

MRIインターナショナルは、「MRIシリーズ セレクトA」で満期償還を選択した投資家はたったの5%で、全体の95%は再投資を希望したと説明している。これが事実だとすると、同社が支払ったのは配当のみであり、本体の返還は5%足らずだ。新規の資金流入があれば、投資の実態がなくても、いくらでも自転車操業は可能ということになる。

仕掛けられたさまざまな罠

それにしてもどうしてこのようなMARS投資などという詐欺まがいの商品に、1300億円もの資金が集まったのか?

同社の商品を購入した投資家の動機を見ると、「『円建てコース』があるので、為替リスクがなくて安心に感じた」という声が多い。為替リスクがないのに高金利。これが今回、診療報酬請求権債権投資の被害を拡大した背景の一つにあるようだ。甘い言葉の裏には罠が潜んでいる一例だ。

さらに、同社の投資家説明会では、ホテルで豪華な食事が振る舞われた。また、投資家は格安で本社(ラスベガス)ツアーに招待されたという。いったいこの資金はどこから出ているのか? 当然、疑うべきポイントだ。ローリスク・ハイリターンどころか、運用の実態がないのではと、当然疑うべきだった。

ただし、同社の広告はネットが中心で、雑誌や新聞などは軒並み広告掲載を拒否していた。

絢爛豪華なパンフレット

診療報酬請求権債権投資は美味しい投資であることを謳うパンフレットなどはもちろん日本語で、絢爛豪華な装丁。もっともらしい投資スキームや保全の仕組みが詳しく載っており、安心感を誘うものだった。円建ての場合、一口150万円からで6~8%の利回り、ドル建てだと一口1万ドルからで利回りは6.5~8.5%と謳われていたようだ(円建ての商品とドル建ての商品の利率差が0.5%しかないのも謎)。

「MRIインターナショナルのMARSに基づいた、エスクロー管理下のロックボックス・アカウントで保全されたビジネスです!」などと横文字を並べられるとそれらしく見えるが、実際のところ目くらましにすぎない。

生きない過去の教訓

MRIインターナショナルは米国のバブル初期の1995年に設立された、まだ歴史の新しい会社。日本に支店はなく、窓口レベルの出張所が置かれていた。

そもそも、米ネバダ州のラスベガスに本社を置く会社が、米国での活動実態がないのに、日本で投資家を集めているということが常識的に考えて怪しい(米国の優良企業なら、短期プライムで低金利資金調達できるはず)。ちなみにアメリカではMARS関連のリテールファンドなどというものは売りだされていない(S&PやモーニングスターにもMARS関連の商品情報はない)。

MARS投資は手数料がないというのもおかしい。口数が大きくなるほど大幅に運用時の利回りが高くなるという説明もまったく意味不明だ。

「診療報酬請求権債権投資(MARS投資)」。どうしてこんな常識的に考えればおかしい商品に投資してしまう人が絶えないのか?どうしたら、騙されないのか?

「いつかはゆかし」を提供している投資助言会社アブラハム・プライベートバンク株式会社のコンサルタントに聞いてみた。

「アブラハム・プライベートバンク社は、“一流の機関投資家が買っている海外一流ファンドを個人投資家にも”をモットーにアドバイスとサポートしている。つまり、世界の表舞台で客観的な裏づけがある有名ファンドしか推奨していない」

「その立場から言わせて貰うと、MRIのようなファンドは運用業界では聞いたことがなかったから、正直、このファンドはポンジー・スキームに違いないと前から思っていた。理由は、機関投資家向けのファンド情報のデータベースに当然MRIなんてファンドはなかったからだ。個人のためだけに組成されたファンドには問題があるタイプが多く注意が必要だ。MRIについては、自社の顧客から相談された時には、あんなものに投資するなとアドバイスをしていた」

そもそも、あぐら牧場も、MRIも、AIJも運用会社としての商品に実態がなかったわけだが、そのような虚偽商品を見抜くために基本的なポイントのチェックが必要。

参考 AIJ事件の本質:虚偽業者・虚偽ファンドを見分ける3つのチェックポイント

もし自分にチェック能力や専門知識がないと思うなら、全く投資をしないのが良い。もしくは、運用会社から独立・中立の投資助言会社に相談して、評価分析結果をもらってから、投資判断をするべきだっただろう。やはり、投資判断の前には、ちゃんとお金を払って、ファンドの評価分析を本業にしているコンサルを絡めた方が良い。AIJ事件も、投資コンサルタントがいない年金基金を狙い撃ちして騙していた。投資コンサルタントを雇うお金をけちったばかりにすべてを失ったわけだ。

イギリス人では70%以上が独立した投資アドバイザーの助言に頼り金融商品を購入する。日本では数%に過ぎない。つまり、単に販売会社(銀行・証券)や運用会社のセールストークを鵜呑みにして買ってしまう日本人が大半ということ。そんな金融後進国からの脱出のためには、まず個人投資家の金融リテラシーの向上が必要だ。

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