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世界最大級ヘッジファンド創業者とスティーブ・ジョブスの共通点

2013.06.18
トレーディング・フロアを住処として生まれてきたような無作法な若者。コミュニケーション不能の数学オタク。肉食系の強い個性とエキセントリックな私生活。人を煙に巻く神経質で気難しい性格……。ヘッジファンド・マネージャーといえば、かなり個性的なキャラを想像するのではないだろうか?

レイ・ダリオ氏(65歳)は違う。地味なスーツを着てレポーターの質問に誠実に折り目正しく答えるその姿は、高校の教師や大企業の中間管理職のようでもある。

だが、レイ・ダリオ氏はただの人ではない。

ダリオ氏の運用会社、ブリッジウォーター・アソシエイツの旗艦ファンドの「ピュア・アルファ」は、規模の大きさにもかかわらず、過去20年の平均リターンが14.7%と業界最高水準のトラックレコードを叩き出してきた。「アルファ」というファンドの名前が示すとおり、このファンドは市場動向(ベータ)に左右されない超過収益(アルファ)を追求してきた。

ダリオ氏は、精緻なマクロ分析に基づく投資で、どのような市場環境下でもプラスのリターンを上げ続けた世界最強のヘッジファンド・マネージャーなのだ。現在、年金基金などの機関投資家がヘッジファンドに投資するのは当たり前となっているが、保守的な投資家からヘッジファンド業界が信用を得るようになったのも、そもそもダリオ氏の功績による部分が大きい。

このダリオ氏、一体、どんな人物なのだろうか?

 

特異な企業文化

ダリオ氏は、1949年にジャズ・ミュージシャンの父と専業主婦の母の一人息子としてニューヨークに生まれ、12歳で株式投資を始めた。ハーバード・ビジネス・スクールを卒業後、証券会社での先物トレーダー経験を経て、1980年に商品と商品デリバティブに特化したヘッジファンドを立ち上げた。

その後、同氏のファンドは運用対象を株式等に広げ、1985年に世界銀行の年金基金500万ドルを受託したのを皮切りに、機関投資家の資金に限定して運用資産を積み上げ、中長期的に安定したリターンを上げる手法で成功した。

今日、同氏のファンドの運用規模は1,420億ドル(約14兆円)に上り、ヘッジファンドとしては世界最大級だ。世界経済に対するダリオ氏の発言の影響力は極めて大きく、その一挙手一投足に世界中が注目している。

一方、1,000人を超える社員を擁するブリッジウォーター社は一説に「カルト集団」と呼ばれるほど特異な企業文化を持つことで知られている。この企業文化の要となるのが、ダリオ氏自身が作成した企業マニュアル『原則(Principles)』である。この100ページを超える冊子は、ブリッジウォーター・アソシエイツの社員にとって文字通りの聖典であり、その一言一句に注釈が加えられているという。

ちなみに、この『原則』はPDF形式でウェブに無料公開されている。 120ページ程度の平易な英語の文章で、誰でも気軽に読める。

ダリオ氏の『原則』

ダリオ氏は、この冊子で原則の大切さと真実追究の大切さを説く。真実とは何か? それは現実を正確に理解することにほかならない。ダリオ氏は、まず何よりも現実を正確に理解することが成功に不可欠で、それは市場でも人生でも同じだという。

たとえば、ハイエナが鹿を餌食にするため殺すシーンは残酷で、一見、ハイエナは悪のように見える。しかしハイエナが鹿を捕食することは、鹿の過度の増加を防ぎ、生態系の均衡に寄与しているという面もある。だから表面的に悪と見えるものを一面的に悪と判断していては物事の本質を掴むことは出来ない。真実は表面的な事実を見ているだけでは分からないのである。

ダリオ氏にとって、人が真実に近づくための最善の方法は間違いを犯すことである。人は失敗によって痛みを覚え、その痛みを通じて考えることを学び、そうした思考によって進歩するからだ。進歩のためには失敗に直面することを恐れるべきではない。一方、ダリオ氏は、人間の集まりである組織も個人と同じと考えており、失敗を発見し、分析し、改善につなげる文化を組織は積極的に醸成するべきだとする。

ブリッジウォーター社では、投資の是非、社員食堂のメニューからトイレで手を洗い忘れたことまで(!)、あらゆる事象がオープンにされ、議論の対象となるという。

ダリオ氏と東洋の英知

透明性や真実の追求を妨げるものがエゴである。「自分こそは……」「自分が……」という気持ちは自分と他人の間に壁を作り、現実をありのままに見る目を曇らせる。エゴの制御のため、ダリオ氏は若いときから超越瞑想法(TM)を実践しており、必ず一日20分以上の瞑想を行うという。

『原則』を読んでいくと、ダリオ氏の考え方は、エゴの滅却を説き、世界や心の成り立ちを理性的に理解することの重要性を説いた仏教思想に似ていることに気づく。だからこそ、ダリオ氏はカルトの教祖ではないかと訝る向きも出てくるわけだ。これに対し、「盲目的な信仰を強制するなら確かにカルトだ。しかし私は社員に自分の頭で考え、判断することの正しさを『信奉』させようとしているのだ」とダリオ氏は強調する。

ちなみに、アップル社の祖、故スティーブ・ジョブズ氏も学生時代から禅に傾倒し、それが経営や製品思想に大きな影響を与えたことで有名だった。1970年代に青春時代を送った同年代のジョブズ氏とダリオ氏は業界に革命を起こしたという点で共通していることから、ダリオ氏は「ヘッジファンド業界のスティーブ・ジョブズ」と呼ばれることもある。アップル社がPC家電業界や通信業界のゲームのルールを変えたように、ブリッジウォーター社はヘッジファンド業界の常識を変えつつある。

ジョブズ氏とダリオ氏--「東洋的英知」に深い影響を受けたアメリカ人が現代資本主義の最前線で世界を動かしているという事実は極めて興味深くないだろうか?

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