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リーマンショックから5年:次なる危機の可能性

2013.09.17
2008年9月のリーマン・ブラザーズ破綻は過去80年間で最大の金融危機だった。政府と中央銀行による大規模な救済によって第2の大恐慌の到来は避けられたものの、大きな景気後退が起き、先進国の大半はまだ完全に立ち直ったとはいえない。世界金融危機から5年を経た今日、グローバル金融はより安全なものになったと言えそうか? また新たな危機の可能性はあるのだろうか?

 

さしあたり、この2つの問いに対する答えはいずれも「イエス」だ。金融業界の諸改革により、グローバル金融の耐久性は向上し、リーマン・ショックの発信地米国では過剰債務をはじめとする経済の不均衡の解消が進んでいる。2008年9月の危機の背景には、①住宅バブルによってもたらされた金融部門の債務拡大、②金融機関同士の取引によって生じた複雑な債権債務関係と相互連関性、③政府による個別企業の救済の是非とモラルハザード--の3つの問題があった。

このうち、①と②は改善が進んでいる。新バーゼル規制で金融機関の資本規制は強化され、複雑なデリバティブの取引関係によって生じる信用リスクは、中央清算機関への取引集中に向けた制度変更で透明性向上が図られようとしている。また、危機時に救済されるべき巨大金融機関についてのグローバルなルールの整備も進んでいる。

米国の金融リスクは低下している。巨大金融機関の不良資産の償却は進み、自己資本比率は危機前よりも6割程度、高くなっている。住宅価格の調整は終わり、家計の債務削減も進んだ。景気は回復し、財政赤字は減少傾向にある。社債市場や学生ローン、公的部門年金運用などの分野でバブルの様相が見られるものの、米国が今すぐ危機の発信地となるとは思えない。

英国と日本には米国ほどの変化は見られない。アベノミクスで日本経済の見通しは改善したものの、同国の公的債務の対GDP比率は依然250%近くもある。英国は歳出削減を実施中であるうえ民間投資は低調であり、景気回復を牽引しているのは相変わらず住宅価格の上昇である。

一方、ここ数年、債務が急増中の新興国のリスクはどうだろうか? 世界第2位の経済大国である中国では、2008年以降政府債務が急増し、その規模は対GDP比200%に到達していると見る向きもある。国内完結の度合いが高いとはいえ、中国の金融部門は2008年当時の米国と同様、債務規模と信用リスクの把握が難しくなっている。また、中国では「金融危機に対する政府の姿勢」が必ずしも明らかではない。とはいえ、中国は貯蓄率の高い債権国であり、銀行システムは大部分、国内貯蓄で賄われている。また政府には不良債権に対処するだけの財政余力がある。突然、中国に危機が勃発してそれが世界に波及するリスクは低い。

現在、苦境に陥っているブラジルからタイまでの他の新興国も、2008年以降はクレジットブームを謳歌した。これらの国と中国との違いは、これらの国は経常赤字国であり、グローバルな資金の流れに脆弱だということである。今日、外資の枯渇のせいでインド・ルピーなどの通貨が下落し、これらの国の経常赤字のファイナンスが困難になっている。こうした状況は1990年代のアジア通貨危機を想起させる。とはいえ、当時と比べると危機が起き難くなっているのも事実だ。これらの国の通貨の為替は変動制となっており、債務に占める自国通貨建ての債務が高くなっている。外貨準備も比較的、潤沢である。

今のところ、依然としてグローバル・メルトダウンの震源地となる可能性があるのはユーロ圏である。1年前と比べると状況は改善しているものの、債務問題は解決に向かうどころかむしろ深刻化している。欧州の銀行の自己資本のバッファーは米国の銀行よりも薄く、不良債権の償却も遅れている。不況に沈むユーロ圏周縁諸国では債務をこれ以上、減らしにくい状況にある。高い失業率を背景に、域内全体を不安定化させかねない政治リスクが起きる可能性も高い。銀行同盟の設立をはじめとした必要な改革を行うスピードは遅く、「何があってもユーロを救う」という意思と能力が欧州中央銀行にあるかどうかは依然、未知数である。

近い将来、新たなリーマン・ショック級の大災厄が起きる可能性は低い。だが、世界のさまざまな場所でミニ危機が生まれているのは事実であり、大きな危機につながりかねない火種が欧州にある。今後5年間のグローバル金融は安全と言い切るには程遠い状況といえよう。

ソース:エコノミスト(2013年9月7日付)

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