中村悟社長インタビュー
無限の可能性を秘める中小企業の事業承継型M&A仲人業/中村悟
2014.09.16
【我が社の成長と拡大の展望】
M&Aキャピタルパートナーズ(東証マザーズ上場)
M&Aキャピタルパートナーズの成長と拡大の展望を中村社長に伺いました。
後継者がいない高齢社長の企業が急増
――御社の業務の概要をお話し下さい
弊社は、友好的なM&A仲介の専門会社です。全従業員37名の約7割が銀行・証券出身で、残り約3割が事業会社出身です。おかげさまで業績は順調に拡大しており、累積成約件数は2008年9月期の14件から2014年6月末には116件まで増えました。弊社の取り扱うM&Aは新聞紙上を賑わすような大規模なものではなく、全体の76%が中堅・中小企業の事業承継に伴うものであることが特徴です。
現在、国内企業の社長の平均年齢は58.9歳(2013年時点)で、60歳以上の企業が半数を超えています。これらの社長に後継者がいるかどうかを伺うと、「後継者がいない」という回答が5割以上を占めています。今、日本の企業の4分の1以上は、社長が高齢で、かつ、後継ぎがいないという状況になっているわけです。
こうした社長の86%は事業承継が大きな経営課題と考えていますが、実際に事業承継の計画を進めている会社はまだ32%と、ここに50%以上の大きなギャップがあります。そういった背景で、M&Aを事業承継の解決策として活用する企業が増えており、当社に多くのご相談をいただいているわけです。
――どうしてM&Aを事業承継に使うケースが増えているのですか?
世代交代期を迎えた企業がとりうる資本承継の手段は実はパターンがあまりなく、「後継者への承継」「株式公開」「M&A」の3つしかありません。後継者への承継は息子の場合が多いのですが、息子がいない、継いでくれない、あるいは経営能力が不足していることもあります。企業規模が大きくなればなるほど、息子だからといって後を継ぐのはむずかしくなります。
では株式公開はというと、大きなコストを負担して上場する意義のある会社がそんなに多いわけではありません。昨年、新規上場した企業は58社ありますが、創業家の売りだした株式は3.8%に過ぎません。上場してもあまり創業家の利益につながらないのです。
そういう中で弊社がお手伝いをしている事業承継型M&Aは、株式の大半を譲渡することになりますので、オーナー個人は上場とは比較にならないほどの創業者利益を手にできます。個人保証も解除されます。大きなキャッシュを用意できる企業が買収するわけですから経営は安定し、雇用も安定します。事業承継に悩む企業の解決策としては、創業家にとてもメリットのある方法なわけです。
幾度も乗り越えた倒産の危機
――2005年の創業当初から業績は順調でしたか?
最初は私一人で、資本金300万円で始めましたが、オフィスは借りず、知り合いの会社に月5万円で間借りしました。机ひとつと電話を借りてそこへ通い、アポが取れれば出向き、ないときは実務本を読んで勉強をするという日々。あまり仕事はなく、実績がないとM&Aの仕事ができないという点を甘く見ていたところがありました。
――最初は、どうやって事業承継に悩んでいるお客様を探してきたのですか?
非常勤で関ってくれていた役員の紹介が主でした。経営者の交流会などにも参加しましたが、これは効率が悪かったですね。そういう中で何人か成約して、プロジェクトごとにM&Aの実務者や弁護士や会計士と組んで進めていきました。やっと2件成約したところで、自前でオフィスを借りて、社員を雇ったのです。実績やブランドの不足を補うために、金融キャリアの役員をそろえ会社の外見を立派にしました。
――事業が軌道に乗り出したわけですね
ところがその後、固定費の増加に加え、金融不安などの影響もあり思うように成約件数が伸びず、資金繰りが悪化、2度倒産しそうになりました。その際、金融キャリアの方々は足早に会社を去っていきました。1度目はベンチャーキャピタルからの投資で、2度目は古参のメンバーの成約で何とか乗り切りました。
事業が軌道に乗り始めたのはようやく5期目になってから、上場以降はおかげさまで、金融機関等のセミナー講師にも呼んで頂けるようになり、またホームページからの問合せや、電話でご相談下さるお客様が圧倒的に増えています。
仲人は婚約が成功するまでおカネは頂きません
――御社は事業承継を望む企業と買い手企業の仲人をされるわけですね
そうですね、まさに私たちは結婚の仲人のようなものです。売り手と買い手の間に立っていろいろな論点を整理し、出会ってから成約まで売り手買い手それぞれに50回~70回くらい訪問します。成約までの期間は、平均8か月程度、中には1年~3年かかるケースもあります。
――御社はなぜそんなに手数料を安くできるのですか?
時間も労力もかかるので、この業界ではまず着手金をもらうのが一般的です。結婚相談所でいうと、入会のときに払う入会金のようなものですね。私たちはそれをゼロにしています。M&Aでは「基本合意」といって、結婚でいえば婚約に当たりますが、両者が価格と条件で折り合って調印する局面になって初めて手数料を頂く仕組みにしているのが特徴です。
どうしてかというと、初めは仕事がなくてそうせざるを得なかったわけです。着手金200万円ください、300万円くださいと言っても、「それだったら銀行や証券に頼むよ」と言われてしまいます。なんとか特色を出そうということでそのような手数料体系が生まれたのです。
昨年、上場した段階で、機関投資家などから「着手金くらいもらったらどうですか」というアドバイスも受けましたが、私たちがターゲットにしている中堅・中小企業のオーナーというのは、決まるか決まらないかわからない話におカネを出すのを嫌がります。まだまだ事業承継のためにM&Aを使うのは一般的ではありませんので、この手数料体系を維持することでM&Aのすそ野を広げていきたいと思っています。
――その中で利益を急速に伸ばされている秘訣は?
それは多くのM&Aを決めているからです。当社は成約しないと手数料が頂けない訳ですから。中堅・中小企業に特化していることも強みになっているのだと思います。
――同業他社はマネできない?
やろうと思えばできなくはないでしょうが、コストが〝先出し〟になることを覚悟しなければなりませんね。そして、一回の成約で何億、何十億円の手数料が入るわけではないですから、やはりこの業態に集中、特化しなければむずかしいのだと思います。
――今後の展望をお聞かせください
高齢化の進行でこれからますます必要になる分野ですから、業務を拡大していきたいと思います。毎期20%業績を伸ばしていくのが目標です。そのためには人員を拡大していかねばいけませんから、採用活動も活発にやっていきます。幸い、上場してから非常に優秀なメンバーが参加してくれていますので、戦力も上がっています。株主の皆様も、これから中堅・中小企業のM&Aが伸びると見ていらっしゃるのでご支持を頂いているのだと思います。
【企業データ】
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社
M&Aキャピタルパートナーズ(東証マザーズ上場)
中村 悟 社長

――御社の業務の概要をお話し下さい
弊社は、友好的なM&A仲介の専門会社です。全従業員37名の約7割が銀行・証券出身で、残り約3割が事業会社出身です。おかげさまで業績は順調に拡大しており、累積成約件数は2008年9月期の14件から2014年6月末には116件まで増えました。弊社の取り扱うM&Aは新聞紙上を賑わすような大規模なものではなく、全体の76%が中堅・中小企業の事業承継に伴うものであることが特徴です。
現在、国内企業の社長の平均年齢は58.9歳(2013年時点)で、60歳以上の企業が半数を超えています。これらの社長に後継者がいるかどうかを伺うと、「後継者がいない」という回答が5割以上を占めています。今、日本の企業の4分の1以上は、社長が高齢で、かつ、後継ぎがいないという状況になっているわけです。
こうした社長の86%は事業承継が大きな経営課題と考えていますが、実際に事業承継の計画を進めている会社はまだ32%と、ここに50%以上の大きなギャップがあります。そういった背景で、M&Aを事業承継の解決策として活用する企業が増えており、当社に多くのご相談をいただいているわけです。
――どうしてM&Aを事業承継に使うケースが増えているのですか?
世代交代期を迎えた企業がとりうる資本承継の手段は実はパターンがあまりなく、「後継者への承継」「株式公開」「M&A」の3つしかありません。後継者への承継は息子の場合が多いのですが、息子がいない、継いでくれない、あるいは経営能力が不足していることもあります。企業規模が大きくなればなるほど、息子だからといって後を継ぐのはむずかしくなります。
では株式公開はというと、大きなコストを負担して上場する意義のある会社がそんなに多いわけではありません。昨年、新規上場した企業は58社ありますが、創業家の売りだした株式は3.8%に過ぎません。上場してもあまり創業家の利益につながらないのです。
そういう中で弊社がお手伝いをしている事業承継型M&Aは、株式の大半を譲渡することになりますので、オーナー個人は上場とは比較にならないほどの創業者利益を手にできます。個人保証も解除されます。大きなキャッシュを用意できる企業が買収するわけですから経営は安定し、雇用も安定します。事業承継に悩む企業の解決策としては、創業家にとてもメリットのある方法なわけです。
幾度も乗り越えた倒産の危機
――2005年の創業当初から業績は順調でしたか?
最初は私一人で、資本金300万円で始めましたが、オフィスは借りず、知り合いの会社に月5万円で間借りしました。机ひとつと電話を借りてそこへ通い、アポが取れれば出向き、ないときは実務本を読んで勉強をするという日々。あまり仕事はなく、実績がないとM&Aの仕事ができないという点を甘く見ていたところがありました。
――最初は、どうやって事業承継に悩んでいるお客様を探してきたのですか?
非常勤で関ってくれていた役員の紹介が主でした。経営者の交流会などにも参加しましたが、これは効率が悪かったですね。そういう中で何人か成約して、プロジェクトごとにM&Aの実務者や弁護士や会計士と組んで進めていきました。やっと2件成約したところで、自前でオフィスを借りて、社員を雇ったのです。実績やブランドの不足を補うために、金融キャリアの役員をそろえ会社の外見を立派にしました。
――事業が軌道に乗り出したわけですね
ところがその後、固定費の増加に加え、金融不安などの影響もあり思うように成約件数が伸びず、資金繰りが悪化、2度倒産しそうになりました。その際、金融キャリアの方々は足早に会社を去っていきました。1度目はベンチャーキャピタルからの投資で、2度目は古参のメンバーの成約で何とか乗り切りました。
事業が軌道に乗り始めたのはようやく5期目になってから、上場以降はおかげさまで、金融機関等のセミナー講師にも呼んで頂けるようになり、またホームページからの問合せや、電話でご相談下さるお客様が圧倒的に増えています。
仲人は婚約が成功するまでおカネは頂きません
――御社は事業承継を望む企業と買い手企業の仲人をされるわけですね
そうですね、まさに私たちは結婚の仲人のようなものです。売り手と買い手の間に立っていろいろな論点を整理し、出会ってから成約まで売り手買い手それぞれに50回~70回くらい訪問します。成約までの期間は、平均8か月程度、中には1年~3年かかるケースもあります。
――御社はなぜそんなに手数料を安くできるのですか?
時間も労力もかかるので、この業界ではまず着手金をもらうのが一般的です。結婚相談所でいうと、入会のときに払う入会金のようなものですね。私たちはそれをゼロにしています。M&Aでは「基本合意」といって、結婚でいえば婚約に当たりますが、両者が価格と条件で折り合って調印する局面になって初めて手数料を頂く仕組みにしているのが特徴です。
どうしてかというと、初めは仕事がなくてそうせざるを得なかったわけです。着手金200万円ください、300万円くださいと言っても、「それだったら銀行や証券に頼むよ」と言われてしまいます。なんとか特色を出そうということでそのような手数料体系が生まれたのです。
昨年、上場した段階で、機関投資家などから「着手金くらいもらったらどうですか」というアドバイスも受けましたが、私たちがターゲットにしている中堅・中小企業のオーナーというのは、決まるか決まらないかわからない話におカネを出すのを嫌がります。まだまだ事業承継のためにM&Aを使うのは一般的ではありませんので、この手数料体系を維持することでM&Aのすそ野を広げていきたいと思っています。
――その中で利益を急速に伸ばされている秘訣は?
それは多くのM&Aを決めているからです。当社は成約しないと手数料が頂けない訳ですから。中堅・中小企業に特化していることも強みになっているのだと思います。
――同業他社はマネできない?
やろうと思えばできなくはないでしょうが、コストが〝先出し〟になることを覚悟しなければなりませんね。そして、一回の成約で何億、何十億円の手数料が入るわけではないですから、やはりこの業態に集中、特化しなければむずかしいのだと思います。
――今後の展望をお聞かせください
高齢化の進行でこれからますます必要になる分野ですから、業務を拡大していきたいと思います。毎期20%業績を伸ばしていくのが目標です。そのためには人員を拡大していかねばいけませんから、採用活動も活発にやっていきます。幸い、上場してから非常に優秀なメンバーが参加してくれていますので、戦力も上がっています。株主の皆様も、これから中堅・中小企業のM&Aが伸びると見ていらっしゃるのでご支持を頂いているのだと思います。
【企業データ】
M&Aキャピタルパートナーズ株式会社

中堅・中小企業の事業承継支援に特化した完全独立系のM&A仲介専門会社。業界ごとに経験豊富なプロのアドバイザーを配置し、豊富な情報量で最適なマッチングを実現。着手金なし、負債を勘案しない顧客本位な成功報酬体系を採用。大規模セミナーの開催エリアを拡大、全国の地銀、会計事務所とのネットワーク拡充が功を奏し、紹介や問合せ増加。
http://www.ma-cp.com/
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無限の可能性を秘める中小企業の事業承継型M&A仲人業/中村悟2014.09.16


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