すわ、到来!冷たい麺の季節!!
コロンブスの卵的発想から生まれたパスタ

以降、夏が近づく頃ともなると、がぜん「冷たいパスタ」に食指が動く習性となった。フルーツトマト、鮎、桃、サクランボ……。さまざまな食材を使った冷製パスタが、ちまたでつぎつぎと流行し、かたっぱしから食べ歩いた。そして、巡りあったのが、麻布十番「イルマンジャーレ」の鵜野秀樹シェフが作るこの一皿。断トツのインパクトで冷パスタ愛好家たちを魅了する「生ハムと滋養卵を添えた冷製カルボナーラ トリュフ風味」だ。
「既存の冷たいパスタと、似たり寄ったりのものを作っても意味がないと思いました」と鵜野シェフが話すように、これぞまさにコロンブスの卵的な発想で生まれた、エポックメイキングな冷やしパスタ。両若男女に愛される我らがカルボナーラを、大胆にも冷やし、巧みなアレンジを施して、まったく新しいバージョンに発展させた。
独特なのは、その軽快感。鵜野流「冷カルボ」は定番カルボにつきものの、どっしりとした重さを払拭し、卵やチーズのまろやかな風味に包まれた、ヴィネガーの酸味が効かせてある。そこに重なるのが、妖艶濃厚なトリュフ香。品の良い爽やかさと、キケンな艶やかさが共存する冷製カルボナーラだ。