何億円積まれても転ばない金メダリストの意地
金の匂いを嗅ぎつける周辺
8月11日。日本のアマチュアボクシング史上において金字塔が打ち立てられた。ロンドン五輪のボクシングで、日本人選手によるグ金メダルは1964年東京五輪のバンタム級、桜井孝雄さん以来48年ぶりだったからだ。しかも、日本選手の出場すら16年ぶりで、世界では最も層が厚いミドル級だけに、どれほど価値が大きいか判るというものだ。
プロが手ぐすねを引いていた。協栄ジム、ワタナベジムなどプロの名門ジムが、契約金1億円などと手を挙げ、「今の村田選手なら、すぐにでもペイできる金額です」(スポーツ紙記者)。それだけでなく「芸能プロでも契約したい所がある、という話も聞いている」(同)というから、金メダリストとは、かくも「金の匂い」がするものなのか、と考えさせられる。
だが、それらの話の実現性は、ほぼゼロに近い。なぜなら、アマ関係者によると、村田選手は「アマチュアボクシング」に、誰よりも誇りを持っているという、からだ。