パナソニック「追い出し部屋」報道はメディアによる復讐劇の狼煙
朝日新聞の怨念か
昨年12月28日、パナ広告部隊は代理店関係者などを集めた恒例の納会を開き、部長職がこう挨拶したという。「当社はご存知のような業績で、広告は減らさざるを得ませんが、どうか石で追うような真似をなさらないでください」。新聞や雑誌関係者は、この発言を白けて聞いたという。長いこと「記事をやめないと広告を止めるぞ」と脅されてきたからだった。そして3日後、大晦日の朝日新聞の一面。「働き盛り社内失業」と題した記事で、横浜にあるパナ子会社の「追い出し部屋」の実情が詳らかに報じられた。
この記事を帰省先で見たパナ子会社の男性社員(50)は、父親から「おまえの会社、大丈夫か」と聞かれた。「事実だけど、ゲーム会社や証券会社などで、古くからやっていたことだよ」と答えたがが、心の中では「人を大切にした松下幸之助の会社に入ったはずなのに」と嘆いた。
事実を事実として報道するのだから、仕方ないとはいえ、「とくに朝日新聞のパナに対する牙の剥き方には、怨念を感じる」(新聞他社の経済記者)という声も。
例えば11月中旬の「朝日中学生ウイークリー」のニュースウォッチャー欄。パナとシャープの大赤字について、中学生にわかるようにQ&Aで解説する記事で、円高により韓国のテレビメーカーに勝てなくなったことを指摘しながらも、両社には「10年以上も権力を手放さないで居続けている相談役という肩書きのおじいさんがいる」と批判した。