もはや家電メーカーには用無しの1社提供TV番組

家電メーカーには用無し

 「フジテレビ系『サザエさん』も東芝1社の提供番組だったが、平成10年秋に同社を含む複数社提供になった。1社スポンサーの形態は、花王やライオンなど、社名を消費者に浸透させたい消費財メーカー向き。機能で選ばれる家電類では必要なくなった」(広告代理店関係者)

 「パナの津賀一宏社長は、BtoB(企業向け)ビジネスの比重を高めることを宣言している。広告料が高いテレビのゴールデンタイム番組を1社で提供する意味はないと判断したのだろう」(電機メーカー関係者)

 パナのテレビCMといえば、同社の新型テレビのCMが民放各社に拒否されたことが記憶に新しい。初期画面にネットも表示する機能があることから、電波を利用する民放各社が自己否定につながるCMを扱えないと判断したためだった。パナは、拒否された問題のCMをネットで使用している。

 あるテレビ局関係者は「テレビCM拒否問題も、単独スポンサーの降板も、時代の流れから予測できることばかり。だが問題は、こうした方針転換をテレビ局側に伝えるパナの態度が明らかに変わったことだ」という。

 かつてのパナであれば、テレビ局に対しあらかじめ打診し、根回ししてきたはずだが、「今回の2件とも、『決定事項』として通告があっただけ」という。

 事業の立て直しを急ぐパナは、企業風土そのものを変革しようとしているといわれている。CM戦略の根本からの見直しも、風土改革のひとつなのかもしれない。

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