競馬のはずれ馬券の経費性を巡って、6年間で総額78億3800万円の払い戻し金を受け、追徴、延滞税なども含めて5億円以上の支払い義務が発生したのは違法だとして、北海道の男性が国を相手取って処分取り消しを求めて訴訟の判決が14日東京地裁で行われ、増田稔裁判長は請求を棄却した。
馬券であげた利益の申告額が過少だそてい大阪の男性が起訴されていた脱税事件では、大阪医地裁~同高裁~最高裁でもはずれ馬券を経費に算入することが認定された。こちらは、予想ソフトをアレンジして自動的に購入を繰り返して、3年間で累計約28億7000万円を馬券購入につぎ込み、累計約34億7800万円の払い戻しを受けていた。
純利益は差し引き約1億5500万円だが、実際に大阪国税局から課された金額は、地方税、延滞税も含めて10億円を超えた。インターネットで継続的に自動購入を行っていたこともあり、こちらは経費性を認められた。また、男性の担税力をはるかに超えるという点なども考慮された。
一方で、今回の北海道の男性の件では認められなかったことになる。男性はソフトではなく様々な要素を加味する独自の予想法で買い目を出して、全レースを購入する。「コンピュータソフト以上に正確な分析を行っていたことは明らかだ」などと主張していた。
国は、「ほぼ全レースを買うという客観的な証拠を出していない」「結果には偶然性があり一時所得に該当する」などと主張してきた。
男性による平成17年から同22年までの税務申告額と、処分庁の更生額は次のようになっている。
◆男性が申告した雑所得と給与と税額
平成17年 2118万円 456万円
18年 6211万円 1972万円
19年 1億2509万円 4663万円
20年 1億921万円 4021万円
21年 2億1182万円 8125万円
22年 5949万円 2029万円
※1000円以下は切り捨て
◆処分庁による更正金額と税額
平成17年 4670万円 1401万円
18年 8595万円 2854万円
19年 2億9041万円 1億1276万円
20年 1億9692万円 7529万円
21年 2億6012万円 1億54万円
22年 1億2313万円 4574万円
※1000円以下は切り捨て
男性は、本訴の前に、国税不服審判所にも審理を申し立てているが、源泉性を認めるに足りるだけの継続性はないとされていた。