2.4兆円を株からヘッジファンドと国債へ(米カルスターズ)、保有アップル株は300億円下落
運用資産総額約1910億ドルのカルスターズは全米2位の規模を誇る公的年金基金。米LAタイムズなど
地元メディアが伝えたところによると、同基金が海外株式を中心に運用資産の12%にあたる約200億ドルを長期債券やヘッジファンドに振り向ける方針を固め、下落を想定した局面に入ったようだ。最終決定は11月になるという。
2009年から約6年続いているNYダウの持続的な上昇は史上最高値を超え、1万8000ドルを突破してから今夏、1万6000ドル台に急落している。日々、下落と上昇を激しく繰り返すようになり、ボラティリティは上がっている。そうした市場環境の中での方針の転換となる。
前回の大暴落、2008年9月のリーマンショックを教訓に、カルスターズは2010年に今後5年間の中期計画を発表している。その中にはより多様化することを明言しており、プライベートエクイティにも10%の資金を振り向けるなど、以前よりも多様性が増してきていた。ただ、皮肉にも株式市場が絶好調で、パフォーマンスもそれに連動するかのように回復局面の恩恵を受けた。下図は米コンサルティング会社ウィルシャー・トラスト・ユニバース・コンパリゾン・サービスがまとめた92の米公的退職年金基金の総資産額だが、昨年までに約6割も増加していることがわかる。各年金とも多様性も効果を生んだが、やはり株式市場の回復はこの上なく大きかった。

カルスターズのここ3年のパフォーマンスは年平均12.3%、5年で12.1%、10年で7.0%、20年で7.8%とどれも優秀なもの。特にここ3年間は優れたものとなった。
株式全体で全ポートフォリオ中の約57%を占めるまでになっている。日本のトヨタ自動車の大株主でもあり、トヨタ種類株AAの発行においては反対意見を表明するなど、存在感を示す機関投資家でもある。その保有株式の中でも最大のものは、米アップル株で1700万株以上。次いで、マイクロソフト株2319万株以上、エクソンモービル株1176万株以上をそれぞれ保有する。
ちなみにこれは今年6月30日時点のものだが、アップル株の時価は21億3706万ドルだった。それが9月3日終値時点では18億8055万ドルとなっている。アップル株だけでも、わずか2カ月程度の短期間で、2億5000万ドル以上(約298億円)の損失を出していることになる。


◆『ヘッジファンド』から『慶応幼稚舎』まで。「ゆかしメディア」は日本最大級の富裕層向けメディアで、月間30万人以上にご利用いただいております。なお、純金融資産1億円以上の方は、富裕層限定オンライン・プライベートクラブ「YUCASEE( ゆかし)」にご入会いただけます(書類審査並びにスタッフによるインタビュー審査がございます)。 著作・制作:ゆかしウェルスメディア株式会社