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超富裕層が10億円でも喜んで託した「兜町の風雲児」

 「兜町の風雲児」とも呼ばれた伝説の仕手筋・加藤暠(かとうあきら)容疑者(74)が株価を不正に吊り上げ、約60億円の利益を得ていたとされ、金融商品取引法違反(相場操縦)の疑いで東京地検特捜部に逮捕された。各界の超富裕層を顧客に持ち、多い時は数百億円を動かしたとされカリスマ化していた。ただ、晩年は糖尿病を患い「年金の手続きもしていない」と語るなどかつての精彩を欠いた上に、顧客の多くが鬼籍に入り、インターネットに相場の主戦場が移ったことで活躍の場が事実上消滅。今回、最後の大勝負を挑むも当局の包囲網にかかり、相場師人生としての最後を迎えることになった。

◆推奨翌日にストップ高

加藤あきら
 特捜部の調べによると、加藤容疑者は2012年2月から3月にかけて、往年の仕手銘柄「新日本理化」の株価をつり上げようとして高値で買い注文を出していた疑いが持たれている。妻と長男も同容疑で逮捕された。

 その仕込みとして、自身の公式サイト「時々の鐘の音」で2011年11月1日に具体的な銘柄名は出していないものの、「LED関連のテーマ株でもあり、業績も著しく回復し、来年3月には5円の復配が予定されているとの事です」と、ヒントをにおわすことで推奨した。この程度の記述でも投資家には具体的にはどの銘柄を指しているかはわかるため、同社の株価は翌11月2日にいきなりストップ高となった。

 その後も上昇を繰り返して、12年2月には1280円という高値を付けた。他にも「日本カーバイド工業」など複数の銘柄を推奨していき、総額で60億円の利益を出したともされている。実はこれこそが、伝説の仕手・加藤容疑者の投資家心理を読む「妙」なのだ。
新日本理化
新日本理化のチャート(ヤフーファイナンスより)
 大手証券関係者は「オールドファンのお客さんはみな、その名を知っていますが、今の若い証券マンは誰も知りません。2011年にサイト上に書き込みがあった時には、自分の顧客からも問い合わせがあって、年配の投資家には人気があるな、と感じました。投資家心理が落ち込んでいるところでの投稿タイミングは絶妙だと改めて感じましたね」と話す。

 1995年の阪神淡路大震災の後に株式市場が低迷した際にも、200円台に低迷していた「兼松日産農林」を会員向けの媒体で推奨。株価はあれよという間に、4ケタに乗り、5000円台に乗るという大相場を演じたのだった。2011年に推奨した新日本理化についても、その大相場の再現を期待して追随した個人投資家が多かったのではないだろうか。

 その加藤流に言う株で財を成すための教訓について、過去、ロッキード事件のフィクサーとしても名前が登場した米国在住大物投資家と対峙した際に述べているのだ。

◆「相場は作れない」と自己否定
 加藤容疑者は2007年、ロッキード事件にも名前が出た米投資家シグ片山氏の資産を信託する米信託銀行から訴えられている。争いとしては、投資運用資金として加藤容疑者に預けた10億円は「金銭消費賃貸借契約」(契約書有り)によるもので、返還の義務があるかどうかというものだ。結果的には加藤容疑者は一審、二審ともに敗訴している。

 自身の手口の本質的な部分として、法廷で語ったところは主に次のようなものだ。ちなみに、当時は証券口座を自分名義ではできないことや、取引そのものを行っていないことも明らかにした。

・「自分が買った後に必ず誰かが上を買ってくれなければ儲からない」
・「優良株というのはみんなが最大公約数で良いと思ったから買う」
・「(自分に)影響力が出たのは、300円のものが予告した通りに、1000円とか1500円とか上がってさらに影響力を増して、さらに上がっていった」
・「全体が下り坂の時になるほど、逆により高くなる確率が高い株を選ぶと集中して出世する可能性がある」
・「相場は絶対に人為的には作れない」

 最後の相場は作れないという証言だが、この点は自身の影響力を考えて謙遜の意味も込めて否定的に言ったものではないかと考えられる。サイト上には「株式研究会『般若の会』は投資勧誘を目的とした会ではありません」と但し書きをつけてはいるが、インターネット上で自身のネームバリューを利用した金儲けだったのである。

 では、なぜこのような影響力を今日まで持ち得たのか。それは、加藤容疑者が手元に集めているとされる数百億円はあると目される資金力である。

◆客の株券は加藤容疑者が預かる
 あるベテラン投資家によると、加藤率いる投資集団「誠備グループ」では顧客をランク分けしており、「廿日会」(はつかかい)という最上位の30人くらいの会員たちで組織し、最低投資金額は10億円以上で集めていたという。しかも株券は常に加藤容疑者の元にあった。そして、投資家には配当金という形で毎月のように一定額が還元されていたのだという。例えばある大企業創業家出身の大臣経験者は、15億円分の資金を預けて、毎月6000万円の配当金を受け取っていたのだという。

 このエピソードを聞くだけでも、名だたる富裕層や資産家たちから絶大な信頼を集めていたことがわかる。また、生前にゆかしメディアの取材に応じた加藤容疑者の顧問弁護士だった故・田中森一氏によると、ひじょうに口が堅く、1981年に東京地検特捜部に脱税容疑で逮捕された時でさえ、顧客情報については一言も口を割ることはなかったという。政官財の人脈に切り込んでいきたかった特捜部の思惑は完全に断たれてしまった格好だ。

 その1981年の所得番付では、納税額が5億1619万円で全国37位だったほど。全盛期も市場が華やかかりし頃の80年代だった。また、ちなみに、サラリーマン長者とメディアにも報道された、タワー投資顧問の部長・清原達郎氏が長者番付で全国1位になった2004年。この年には実は、加藤容疑者も東京都千代田区の高額納税者として、久々にその名前が確認できる。加藤現る所には常に復活を待ちわびる層が一定数はいたことになる。

 ただ、相場の世界は誰かが儲ければ、誰かが必ず敗者になるということ。加藤容疑者は毀誉褒貶が激しい人物でもあった。例えば、シグ片山氏との訴訟では、兼松日産農林の仕手戦による売り抜けに失敗したことで、軍資金の10億円は焦げついてしまったからだった。誰かを出し抜く仕手戦。そこでは、味方にもなれば、一方ですぐに敵にもなる。実際には敵や良く思わない人物も数多いという。

 久々にテレビで映し出された加藤容疑者の姿はやせ細ったものだった。糖尿病を患い、病院への入退院を繰り返してきたが、一方で「年金はない」ともこぼしていた。その窮状ぶりからも今回の資金は何処から出たのか、という疑問は残るものの、伝説の相場師の手法は昔の緩い法律では通用しても、現在においては、過去のものでしかなかった。相場はいつまでもしがみつくところではない、という教訓を我々に残してくれているようでもある。

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