「パナマ文書」 米ペーパーカンパニーの実質所有者の開示を制度化
ICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)が4月に調査報道して一部を公開した、パナマなどを介したタックスヘイブンを介した取引の大量の内部文書「パナマ文書」。パナマの大手法律事務所モサック・フォンセカのアドバイスによって設立された数々のタックスヘイブンのペーパーカンパニーだが、その数は20万社以上にも上る。資料は1150万件、データ量は2.6テラバイトにも及ぶ膨大なもの。

公開では米国人の名前も出てくるようだが、それを前にしてオバマ大統領は「世界中の通常の慣行」として合法だと認めているものの、「資金洗浄、脱税、汚職、テロ資金を容易にするために使用されることがある」との認識を述べた。
そこで、租税回避や資金洗浄(マネーロンダリング)に使用される恐れがある国内のペーパーカンパニーについて、利用を取り締まる措置を講じていくことを発表した。そこで最大のネックとなるのは匿名性。ペーパーカンパニーや銀行口座は、サイナーと呼ばれる名義人と、実際の受益者となる人物が別であることが多々あり、識別していくために、法執行を強化していく必要があるとしている。米国内ではネバダ、デラウェア、サウスダコタ、ワイオミングなど実質的なタックスヘイブンが存在しており、パナマ文書公開が、オフショア資金を米国内に「誘致」する策とすれば、開示案は、犯罪性のある資金をいかに排除していくかの防御策となる。
すでに現政権下では、米司法省によって税法を犯した100以上の米国内の口座保有者をあぶり出したり、約5万4000人のタックスヘイブン口座の情報を開示させ、総額で80億ドルの罰金を課したことも明かしている。
日本関連では9日、内閣官房参与の加藤康子氏、楽天の三木谷浩史氏の名前を、ICIJ加盟社の共同通信社が明らかにしている。ペーパーカンパニーのリストの残りは、米東海岸時間の9日午後2時、日本時間の10日深夜未明に公開となる。
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