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タクシー400円 潜むUBERの影

 東京のタクシー初乗り料金が400円台になる見込みであると発表された。
 初乗り運賃の引き下げを申請したタクシー会社の保有するタクシー台数の合計が、国土交通省が改定の審査を始める基準である7割を超えたためで、同省は正式な改定手続きに入る。

 タクシー大手の日本交通は「初乗り1.059kmまで410円」を申請し、各社も追随した。認可されるのは2017年春の見通しだ。
 1.059kmを超えると順次メーターが上がっていき、2kmまでに現行の初乗り運賃である730円に並ぶ。その後の運賃の仕組みは同じだ。

 日本のタクシー初乗り運賃は国際的に見て割高との指摘が多くあった。
 今回の値下げにより、短い距離での乗車をしやすくすることで、高齢者や外国人旅行者などの利用拡大効果を狙うほか、急に雨が降ってきたときなどの「ちょい乗り」利用の拡大を目指す。

徐々に始まるタクシーの規制緩和

 タクシー業界の再編が進んでいる裏には、高齢化、訪日外国人の増加に加えて、業界のUBER(ウーバー)に対する警戒感も強いだろう。アメリカ発の自家用車による配車サービスのUBERは、サービス開始からわずか5年で世界68カ国以上463の都市に展開している。
 UBERのタクシーはスマートフォンのアプリで簡単に呼ぶことができる。支払いも事前登録してあるクレジットカードで行うため支払いのやりとりも不要で、目的地に到着したらスムーズに降車できる。


配車サービスの普及で
日本のタクシー業界も変わるか(画像はイメージ)。
©Barry Cronin
 それらの便利さに加え、UBERが爆発的に普及している理由は値段の安さだ。
 登録している個人のドライバーが空き時間に乗客を運び、運転した分だけドライバーに料金が支払われるので、車とドライバーの維持費はゼロに等しい。

 世界的に普及しているUBERは日本でもサービスを開始しているが、日本では自家用車でのタクシー行為は「白ナンバー(通称白タク)」とされ、規制の対象になっている。

 そのため日本では都心部でハイヤーや黒塗りの高級タクシーの配車を仲介するサービスにとどまっており、値段も通常のタクシーより割高だ。

 日本でもUBERを世界と同じように使えるようにしたのが、京都府の京丹後市だ。公共交通が存在しない地域ではタクシー規制の例外規定が認められているため、公共交通の空白地帯である京丹後市丹後町で所定の講習を受けたドライバーが自家用車で乗客を送迎する。運賃は最初の1.5kmまで480円、それより先は1kmにつき120円加算される。

 また、京丹後市では訪日観光客の誘致にも力を入れているが、現在の公共交通では言語の問題や現金のみの対応などの課題があった。今回、45言語に対応し、クレジットカード決済機能を持つUBERのアプリを導入することで、外国人旅行者の京丹後市における交通の利便性の向上も見込んでいる。

 京丹後市での営業が成功すれば、公共交通機関の不足に悩む、訪日外国人の対応に遅れを取っている地方自治体がUBERの導入を検討することは十分考えられるだろう。

急成長する配車サービスに多くの出資が集まる

 UBERを導入した世界の多くの国では、既存のタクシー会社の抵抗が根強く、日本のタクシー業界も「安全面で不安がある」等の理由から同様に強く反発している。
 一方でUBERの拡大はとどまる気配がない。UBERは先日、サウジアラビアの政府系ファンドから35億ドル(約3800億円)の出資を受けた。
 アメリカのアップルが、中国におけるUBERのライバル会社であり、中国配車サービス最大手の滴滴出行に10億ドルを出資するなど、配車サービスに国境をまたぎ巨額の資金が集まっている。
 日本のトヨタもUBERに出資を決めた。トヨタはUBERのドライバーに車両をリースすることを予定している。日本の経済界に大きな力を持つトヨタが動いたとなると、日本のタクシー会社もうかうかしていられない。

 今回の値下げで新たな手に打って出たタクシー会社。業界の今後に注目が集まる。

 後半に続く。

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