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迫る英国民投票 焦点は、経済への影響は

 いよいよ23日(日本時間では24日)に迫ったイギリスの国民投票。ここで改めて、焦点を整理しよう。

国民投票実施の背景

 今回国民投票が行われることになった原因は、イギリス国内で、EUに加盟しているゆえのマイナスが大きいという声が高まってきたことだ。
 その大きな理由の1つが移民だ。EUに加盟していると、加盟国同士で「国境を越えた自由移動の原則」があるため、欧州内の移民を制限することができない。そして、欧州移民は自国民と平等に扱う義務が生じる。

 新規EU加盟国のルーマニアやブルガリアからの移民が大量にあり、2015年はイギリスへの移民純増数33万3000人のうち18万 4000人がEU出身者だったことが明らかになった。移民は社会保障の手厚いイギリスを目指し、移民が増えると社会保障を負担するために国民が支払う税の負担は増していく。

 さらに、IS(イスラミックステート)のテロリストを含んだ「自称難民」が大量に入国しようとしていることもある。EU離脱派は、EU内での移動の自由を認める権利のせいで、イギリス国民はEU諸国の労働者に仕事を奪われ、国内の賃金や公共サービスが圧迫され、さらに危険に冒されていると主張する。

EU離脱を訴えるジョンソン前ロンドン市長
©Christopher Furlong

 市民レベルの影響も大きい。移民が殺到した結果病院は常に混雑するようになり、提供されるサービスの質も低下している。

 同じことは学校や商店などでも起きており、「原因をつくっている人たちがいなくなるならば離脱も考えるべき」としている人は少なくない。

 現地在住の日本人、谷本真由美氏は「個人としては、離脱を望んでいる」とゆかしメディアの取材に答えた。

EU残留を望む声、離脱を望む声

 EU離脱を求める声に対し、イギリスのキャメロン首相はイギリスがEUにとどまるべきであり、EUの改革を行っていくことで現状をよくしていけると訴えている。



EU残留を呼びかけるキャメロン首相
©Christopher Furlong
 一方で、カリブ海のタックスヘイブン(租税回避地)における租税回避行動が明らかになった「パナマ文書」の漏洩によって、首相の父がパナマで運営していたオフショア信託の株を一時保有していたと認めるなど、キャメロン首相への風当たりは強い。

 前ロンドン市長のジョンソン氏など、イギリス国民からの人気が高い政治家にも離脱を訴える人は多い。
 EUを離脱すればイギリスは自分たちが国境を管理する権限を取り戻し、経済に長期的な打撃を与えることなく同国への移民数を年間10万人未満に抑えることができ、治安も維持できる。

 また、金融も経済も自由度が高くなるのでイギリスに有利。それが離脱派の主張だ。

 先日はEU残留を主張していた下院議員のジョー・コックス氏が、離脱派に殺害される事件も発生した。
 イギリス王室のエリザベス女王は離脱を望んでいるとされ、先日は関係者に「イギリスがEUにとどまる理由を3つ教えてください」と問いかけたと現地新聞は報じている。
 国民投票はイギリス中を巻き込んだ、死者も出る騒ぎとなっている。

イギリスの世論調査も実勢をつかみ切れていない

 世論調査によると、全体的に離脱派と残留派は拮抗していて、年配層は離脱を望む声が多く、若年層は残留を望んでいるという。
 若年層は生まれたときからイギリスがEUに加盟しており、EUの一員であることを当然に考えているため、EU加盟のメリットが失われるのをマイナスに考える傾向にある。

 それに対し年配層は、イギリスがEUに加盟したことによるマイナスを経験してきた人が多く、「かつてのよかったころのイギリスに戻ろう」という動きが見られる。

 高所得者、低所得者で考えが分かれているかというと、そうも言いきれない。前述の通り市民のレベルでは離脱のメリットもあるため、では離脱が優勢で高所得者層は経済的なデメリットを考えて残留支持か、とも言えないところがある。

 EU加盟による規制の大きさは歯磨き粉の成分やバナナの形などにも細かく及ぶため、ビジネスをするうえでそれらの不自由を強く感じている人たちもいるからだ。

 日本では有権者の年齢が上がるほど投票率も上がる傾向があるが、それはイギリスも同じで、年配層の票が多いと離脱の可能性が高まることになるが、世論調査通りにいくとは言い切れない。

 世論調査によっても残留派がリード、離脱派がリードと、調査機関によって差がある。そもそも世論調査がどこまで把握できているのかにも疑問符がつく。
 昨年に行われた総選挙でも、世論調査では労働党が政権をとる可能性が高そうであるとしながらも、結果は保守党の圧勝だった。
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