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末期がんを完治!? 副作用ゼロの治療法②

 気になる治療費はどうなっているのか。
「自費診療のため、保険治療に比べると相当の費用はかかってしまいます。しかし、現在は当初に比べて薬剤費をかなり下げることに成功しました。これによって、今までであれば経済的な負担から十分な投薬を行えなかったのが、必要量の薬剤を効果的に使えるようになってきました」



「現在の治療対象は末期がんの方がほとんどですが、将来この遺伝子治療が正規治療として認可されれば、早期がんの方でも治療の選択肢の1つとして選べるようになることを期待しています。

 私は外科医ですので、がんが完全に取り切れるのであれば、手術で切除するのがベストであると考えます。しかし、乳がんで乳房の切除を拒否された方のように、患者さんが自らの価値観やニーズに合わせてがんの治療法を選べる、そんな時代もいずれ訪れるのではないでしょうか。

 また、がんを予防する目的でも、遺伝子治療を用いることができるようになるかもしれません。また、この治療で用いられるRNA干渉という治療技術は、がんに限らずほかの病気にも応用できる可能性があります」

“人の尊厳を取り戻す”がん治療を

「末期がんの患者さんを取り巻く現在の医療環境は“人の尊厳を失わせる”ものだと思っています。他に治療法がないので副作用の大きい治療を継続せざるを得ない、まだ、何らかの治療を受けたいのに緩和ケアしか選択肢がないと突き放される、患者さんの肉体的負担や精神的ダメージはかなり大きいものです。“医師から見捨てられた”と感じる時、その絶望感はかなりのものでしょう。

 また、末期がんの治療として医師は『延命』を治療のゴールと考えますが、末期がんであっても患者さん自身はあくまでも『治ること』が治療の目的です。医師と患者との間に大きな意識の溝があるのです。

 延命は、あくまでも生存期間を延ばすに過ぎません。生活の質はほとんど重視されないきらいがあります。治療の副作用による生活の質の著しい低下、長期の入院など、それらを支えるご家族にも多大な負担が強いられます。 

 この遺伝子治療は、生活の質を落とさずにがん治療を実践することを目指しています。そしてあくまで治療のゴールは延命ではなく根治ないしはがんとの共存です。不本意な肉体的・精神的負担を強いられずに希望をもって受けることができる治療、それが私の目指している“尊厳あるがん治療”です」

この先に必要なのは「コミュニケーション医療」

 遺伝子治療はまさに夢の治療法と言えるが、阿保医師は、がんが治せる病になる可能性がある一方で、「がんにならない生き方を見極めていく」ことのほうがより重要と語る。どういうことだろうか。
「仮にがんが簡単に治せるようになったとしても、がんになりました、はい薬、とするのではなく、『大切なのは、がんにならないよう生き方を振り返って見直すことですよ』と言うのも必要なのではないでしょうか。
 ヘビースモーカーが咽頭がんに、大量飲酒者が食道がんになりやすいように、がんになる場所というのは、体に強い負担を強いているところであると言えるからです。

 遺伝子やゲノムの解析が進み、がんの原因や個々人の体質に合わせて治療がカスタマイズされる時代がいずれ訪れるでしょう。
 がんが発生しないよう、予防医療に取り組むことがより大切になると思います。

 病気を治すことだけではなく、皆さんが病気にかからないようにする、そのために患者さんとしっかりとコミュニケーションをとって予防のための対策を練る、これからの時代ではそのような医療が求められるようになるのではないでしょうか」


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阿保義久 [北青山Dクリニック院長]

東京大学医学部卒業。腫瘍外科・血管外科医。2000年に北青山Dクリニックを設立。下肢静脈瘤の日帰り根治手術・椎間板ヘルニアのレーザー治療・痛みのない内視鏡検査・進行がんに対する革新的治療―がん遺伝子治療まで、質の高い医療サービスの提供に励んでいる。著書に『アンチ・エイジング革命(講談社)』、『下肢静脈瘤が消えていく食事(マキノ出版)』、『尊厳あるがん治療(医学舎)』などがある。
北青山Dクリニック がん遺伝子治療センター
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