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世界の富裕層が住むシンガポールのメリット

 年収10億円、資産1000億円のアジア大富豪50人以上を顧客に持つ、シンガポール在住の国際税理士、石田秀明(ヘンリー・イシダ)氏に、今、シンガポールに投資、移住することのメリットなどについて、ライターの星野陽子氏が聞いた。石田氏は2008年からシンガポールを拠点として活動している。

なぜ富裕層はシンガポールに移住するのか

 シンガポールは資源もない小国であるのに経済的に急成長を遂げた国で、世界各国から移住している著名投資家を含む富裕層や大富豪が多い。日本からも多くの投資家や富裕層がこの国に移住、投資などを行ってきた。なぜシンガポールは大富豪や富裕層を惹きつけるのか。


インタビュー風景
「シンガポールでは、考え方が合理的で、公平な社会が実現されています。がんばったら報われる。がんばらなかったらシンガポールから出ていくしかない。

 ビザの発給にしても合理的です。低賃金労働者と中間層の労働者とハイクラスの労働者に異なったビザを用意し、自国の成長のために外国人を選んで入国させています。

 低賃金労働者と技術導入のためのハイクラス労働者に対してはビザの発給を簡単に行いますが、中間層の労働者に対しては容易にしません。そのようにして自国の労働者の雇用を守っているのです。

 また、日本では許認可が厳しくて買うことができない、世界中の優れた金融商品を買うことができるという、自由な金融行政も魅力的ですね。日本では国内の企業を守るために参入障壁が高いのですが、世界には利回りの高くていい金融商品がたくさんあります。それらを比べて良い商品を買うことができるのはいいですね。

 そういう環境にいるためか、国民の金融リテラシーも高いです。政治はクリーン。他のアジア諸国ではありがちな賄賂がありません。公務員は高い給与に満足しており、処罰が厳しいため、賄賂を受け取ることに何のメリットもないからです。勧善懲悪が徹底しています。

 税金は法人税が17%で他の諸国に比べると低い。ただし誰しもが、シンガポールに法人を作って低い法人税率を享受できるわけではなく、法人から給料が毎月6,000シンガポール・ドル(約50万円)以上取れない社長にはビザは発給されません。消費税は7%で日本に比べると低いです。

 移住した投資家にメリットがあるのは、海外資産運用です。たとえばシドニーに不動産を買ってインカム・ゲインを得て、それを売ってキャピタル・ゲインを得たとしても無税。一定期間住んでいれば相続税もありません。

 一方、経費に関する考えは徹底しています。経費で落ちないものがあります。たとえば社長の車は経費で落ちません。日本では社長が『4ドアの中古のベンツ』を経費で落とし節税にも使うために購入したりしますが、そのような抜け道がありません。車が経費で落ちるのは運送業のみです」

シンガポールに移住するのはもう遅い!?

 稼げる人たちにとってはメリットの多いシンガポールだが、今から日本人がシンガポールに移住するメリットはあるのだろうか。
「仕事をがんばってたくさん稼ぐのであれば移住のメリットはあります。先に述べたシンガポールの強みを享受できるほか、ASEAN諸国へのアクセスもいい。

 お子さんがいらっしゃるのであれば、お子さんが欧米と同等の教育水準で国際感覚を養う環境が整っていますし、子どもは英語と中国語が話せるようになりますよ。シンガポールは日本の小学校6年生ぐらいで全国統一試験があります。これは『その後の人生が決まる』と言ってもいいほど大切な試験です。そのような事情もあり英才教育が盛んです。

 ただシンガポール経済は成長しきっており生活コストも高く、このところ、移住のメリットは薄れてきました。世界における駐在員の生活コストが、今ではシンガポールが一番高いほどです。



石田秀明氏
 私自身のことをお話しすると、世界最大級のコンサルティングファーム、プライスウォーターハウス(Pw)を退職して、会計事務所を自宅で開業したものの、そううまくはいかず、一時的にPwのクライアント企業にお世話になっていました。

 そのときに『金持ち父さん、貧乏父さん』(ロバート・キヨサキ著、筑摩書房)と『トム・ピーターズのサラリーマン大逆襲作戦①、②、➂』(トム・ピーターズ著、CCCメディアハウス)を読んで影響を受け、完全に給料というパイプラインを断ち切って、大阪に会計事務所を立ち上げました。

 ある顧客がシンガポールに進出するというので手伝ったのですが、なかなか現地の知り合いの会計事務所に引き継ぐことができないということがありました。

 やはり進出の手伝いをするのであれば、自分がシンガポールに行って呼び寄せた方が日本の企業が成功すると思い、「流れ」でシンガポールにも拠点を持つこととなり、その後に移住することになったのです。ラッキーだったと思います。

 シンガポールに拠点を置いて事業投資や税務などの相談を受ける中で、自分が経験しないとわからないと思い投資も実際にやってみて、実践してみてその必然性もわかりました。複数の収入源を持つのが大切だということも。

 シンガポールではそのような経験をしたり、大富豪達と貴重な時間を過ごしたりしてきましたが、物価が上昇したり、中間層の外国人への規制が厳しくなっている状況下において、私はシンガポールに居続けるつもりはなく、環境に順応しないといけないと思っています。

 これからいいかもしれないと個人的に思っているのは、エストニアと英国のロンドンです。
 エストニアは北ヨーロッパの小国ですが経済環境が整っており、スカイプが生まれたIT国です。会社設立や銀行口座開設がインターネット上でできます。

 ロンドンは、英国のEU離脱でポンドが下落しましたが、2年後ぐらいには英国は伸びるのではないでしょうか。法人税率が20%から18%に下がる予定などもあります。逆張りでチャンスだと私は考えているのです。
 これらは私の仮説ですが、投資をやる以上、自分の頭でよく考えて仮説を立てて動くのが大切ではないでしょうか」

 シンガポールやアジアの大富豪のお金に関する考え方について聞いた後半に続く。後半記事はこちら

●インタビュー・構成
 星野陽子(インタビュアー、著者、不動産投資家)
 東京都出身。外資系メーカー、シティバンク勤務を経て、イスラエル国籍のユダヤ人と結婚。子ども2人に恵まれるも離婚。在宅で翻訳の仕事をフリーランスとして行いながら、シングルマザーとして子どもを育てた。
 東欧からの移民の子で資産ゼロから財産を築いたユダヤ人の義父から不動産投資を学び、投資物件(6億円)などの資産を築いた。著書に『ユダヤ人と結婚して20年後にわかった金銀銅の法則50』『ユダヤ人大富豪に学ぶ お金持ちの習慣』『貧困OLから資産6億をつかんだ金持ち母さんの方法』がある。

◆『ヘッジファンド』から『慶応幼稚舎』まで。「ゆかしメディア」は日本最大級の富裕層向けメディアで、月間30万人以上にご利用いただいております。なお、純金融資産1億円以上の方は、富裕層限定オンライン・プライベートクラブ「YUCASEE( ゆかし)」にご入会いただけます(書類審査並びにスタッフによるインタビュー審査がございます)。 著作・制作:ゆかしウェルスメディア株式会社

 石田 秀明(いしだ ひであき)
 国際税理士。海外での名前はヘンリー・イシダ。1961年大阪生まれ、シンガポール在住。
 税理士事務所、大学院経済学修士課程を経て、プライスウオーターハウスに勤務。外資系クライアントの税務会計、国際税務に従事。あわせて外資系コンサルティングファームの時間管理術をマスター。

 会計事務所業界激戦マーケットのなかで税理士事務所を開業し、戦わなくていいマーケットである外国芸能人・アスリートの日本での興業に関する税務業務に進出。2008年セリーヌ・ディオンの来日公演では出演料受取口座の開設支援など、多くの有名芸能人のチケットボックスの会計管理を行う。

 2008年シンガポールに会社を設立し、国際的に活躍する日本人のための海外事業コンサルティングや投資コンサルティングを開始。2012年にはシンガポールに移住。8割失敗すると言われる海外進出や海外投資を成功させている稀代のシンガポール居住日本人。現在、著名韓流芸能人の国際投資顧問を引き受けるほか、規制の多い金融業界のなかで日本人が自由に国際投資をできるインフラの構築と投資マインド教育をミッションとして活動している。
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