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石油を暴落させたあの国の次の手が日本にも大きく影響?

 前回記事「誰も本当はわかっていなかった、原油価格暴落の政治的な理由」はとても大きな反響があった。
 原油価格下落の理由は非常に政治的なものであり、表にはあまり出なかったものの、今回の原油価格の調整により大きな利を得たのが、アメリカだ。

 石油というとサウジアラビアやイランのような中東の国で多く産出するイメージがあるが、実はまったくそのようなことはない。

 アメリカは今や、世界第1位に匹敵するレベルの産油国だ。アメリカの郊外を車で走ると、写真のような地面を掘っている機械を見かけることがよくある。

 アメリカの大地のいたるところで石油の採掘が行われているのだ。そしてサウジアラビアと、それに次ぐのがロシアだ。これらの国々の合計で全世界の産油量の4割を占めている。


 経済評論家、加谷珪一氏の著書『戦争と経済の本質』(総合法令出版)によると、アメリカが「世界の警察」という役割を担うようになったのは割と最近で、それまではむしろ欧州などの争いごとに関与しない、孤立主義的な政策をとっていた。

 そんなアメリカがなぜ世界の警察的な動きをするようになったのか? 石油のためだ。中東の治安維持に協力し、その見返りに国内で使用するための石油を安定して確保する。そのために世界中に軍を派遣し、戦争を解決し、時には戦争も起こしてきた。

 アメリカが国内で自分たちの使用する石油を確保できるようになったならば、もう無理をして中東に労力を割く必要もない。また最近はシェールガスの開発も進み、石油に代わるエネルギーも目途が立ってきた。

 その矢先、サウジアラビアが「シリアとイエメンの内戦を鎮圧するため、また政敵であり商売敵のイランとロシアを叩くため、手を組んで石油の価格を下げたい」と持ちかけてきた。これはアメリカにとって渡りに船だった。

 アメリカはメジャーな産油国だが、輸出に力を入れているわけではないので石油価格が下がってもダメージはほとんどない。石油が安くなると開発しているシェールガスが採算に乗るラインが高くなるが、多少開発のスピードが鈍くなる程度だ。アメリカも同意した。

ライバルの弱体化に次々成功!

 原油価格が下落したことで、どうなったか? サウジアラビアをはじめ中東産油国の苦境は前回書いたとおりだが、ロシアも大きな打撃を被った。

 ロシアは2013年には年間約5000億ドルの輸出を行っており、そのうち約2500億ドルは原油だ。原油価格が100ドルから40ドルになるだけで、ロシアの輸出額は3割以上減少、金額ベースでは毎年18兆円もの損失になる。

 また、このタイミングでロシアはクリミア侵攻に伴う経済制裁を各国から受けており、ロシアの通貨ルーブルは暴落した。市民レベルでも今後について不安が広がり、それをかき消すようにテレビでは「ロシアは強い」といった情報を日々流しているという。ロシア経済は苦境に立たされている。

 ロシアなみか、あるいはそれ以上に原油価格下落の影響を受けたのが、ベネズエラだ。反米を掲げ、独裁政権が社会主義的な政策を推し進めてきたこの国家は、輸出の95%以上を石油が占めている。原油価格が高い頃は輸出で儲けたお金で国内に対しては理想とする政策を次々に進め、国外に対しては強気な反米の姿勢を鮮明にしていた。

 原油価格の下落で、状況は180度変わった。国内経済は一気に逼迫し、200%を超えるインフレが進んだ。それとともに社会主義政策は次々に行き詰まるようになり、石油輸出国でありながら、石油を輸入するという謎の事態を迎えている。
 反米を掲げる独裁政権は事実上崩壊した。

 長年のライバルであるロシアは力を落とし、反米国家は崩壊した。原油価格の下落で、アメリカの得たものは大きい。

アメリカが狙う、次の手の準備

 原油価格下落で、アメリカは充分に得るものを得た。国内で必要な石油は自給自足できる。そうなればサウジアラビアだけに肩入れする必要もない。
 イランと良好な関係を築くことのメリットも見えてきた。アメリカ政府は国内の企業にイランとの取引を促していることも分かっている。

 原油価格が下がったままなら、ライバルや目の上のたんこぶはますます弱体化してくれる。
 仮に上がったとしても、シェールガス開発に力を入れ直すだけだ。

 さらに、アメリカはアラスカで産出する石油を日本に輸出することを狙っており、その政策がアメリカの議会で承認されたという情報も入ってきた。

 アメリカは石油が非常に余っており、これ以上産出してもタンクに保管できないレベルまできているという。今までは石油輸入国だったアメリカが、今度は石油輸出国になる日も近い。

 中東とアラスカでは日本からの距離はほとんど変わらないが、中東からのルートは南シナ海など島や国々が入り組んでいる海を抜けていく必要があるのに対し、アラスカから日本は太平洋をほぼ直進だ。輸送日数は大幅に削減するだろう。
 そうなれば日本に入ってくる石油価格はさらに安くなるかもしれない。

 多くの国の苦境を横目に、アメリカはしたたかに笑っている。

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