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サブプライムで600%150億ドル儲けたポールソン【ヘッジファンドマネジャー列伝⑨】

 金融危機で数多くの銀行や団体が崩壊の危機に直面するなか、「金融史に残る最高のトレード」とまで呼ばれるトレードを成功させた人物がいる。
 2007年末までに150億ドルの利益を生み出したこのトレードにより、アメリカの連邦議会は、ヘッジファンドがどのように金融市場に影響を与えているかを学ぶことにした。そして、このトレードを成功させた人物の、規制や税制改革に関する提案に耳を傾けることにしたのである。

 その人物の名は、ジョン・ポールソン。フォーブスが発表した億万長者番付で108位、資産額は86億ドルだ。
 議会での発言を求められたのは彼以外にジョージ・ソロスやジム・シモンズ、ケン・グリフィンなどがいたが、ポールソンの発言がもっとも強い注目を集め、彼が口を開くと、議会の場にいた人だけでなく、CNBC、ブルームバーグ、議会を中継しているCスパンを通じて多くの人が耳を傾けた。

 議会の場で、ポールソンはこう発言した。
「アメリカの金融システムが抱える問題は、その支払い能力にある。全般的に金融機関は資本不足にあり、有形の株主資本を持ってしても借り入れが多く、悪化状態にあるバランスシートを支えるには不十分だ。


アメリカ連邦議会で宣誓をするポールソン
(左から2番目)/Getty Images
 驚くべきことに、アメリカの10大銀行の有形の株主資本の平均は、有形資産の総計のわずか3.4%に過ぎない。それに対し、レバレッジは30%にもなる。この問題を解決するには、民間及び政府が資本を集め、銀行のバランスシートを強化する必要がある」

 その後も彼の提言は続き、最後は「政府が厳選された金融機関の上位優先株を買うことで、納税者に最大の保護を提供すべき」と締めくくった。アメリカ政府の不良資産救済プログラム(TARP)はこの提言を採用し、優先株を中心に購入するように再設定された。

元FRBのグリーンスパンも盟友

 ポールソンが口を開けば、人々は自然と彼の言葉に耳を傾ける。
 生き馬の目を抜くような人物が多いヘッジファンドの世界において、例外とも言えるほどにポールソンは非常に社交性が高く、彼の元には多くの人が集まってくる。投資家もそれ以外の人々も、運用成績のよさのみならず人として彼に大きな信頼を置いている。

「友人たちが助けてくれるからなんとかやっていける」
 そんな言葉を口にするヘッジファンド・マネジャーも、彼くらいのものだ。実際、彼には金融に、経済に強い影響力を持つ友人が多々いる。FRB(アメリカ連邦準備制度理事会)の元会長のアラン・グリーンスパンもその1人だ。

 グリーンスパンはFRB在任中より、退職後はクライアントを3つまでしかとらないと決めており、その2つは資産運用会社が決定し、残り1つはヘッジファンドにしようと考えていた。選ばれたのがポールソンの会社で、2008年1月、グリーンスパンはポールソン・アンド・カンパニーの顧問に就任した。

 グリーンスパンはポールソンについてこう語る。
「彼は相対リスクを判断する能力、そして自分が下した判断を利用する能力に優れている。失敗することもあるが、そりゃ失敗は誰でもするものだ。彼は投資の規律を守り続けているので、失敗の可能性よりも成功を続ける可能性のほうが格段に高い」

ほかの投資家が引くところでしかける

 ポールソンは、自身のことを「リスクアービトラジャー」だと言う。リスクアービトラージとは、「ほかの投資家が手を引くところでしかけること」だ。
 ポールソンが特に得意な分野は合併、倒産、企業のリストラやスピンオフなど株価に影響を与えるような長引く訴訟である。

 アービトラージの機会を見つけるのに、科学的知識は必要ないという。ポールソンは大衆と同じように、ウォール・ストリート・ジャーナルの一面を見て大きな合併や破産申告について知ることが多い。それでもきちんと利益を出せるのは、潜在的なリターンと取引にまつわる様々なリスクの両方を評価できる能力と、特別な専門知識を持っているからこそだ。

 彼は、成功の要因はマーケティングの知識にあると語る。成長は商品を増やしたからではなく、同じ商品を改良したからだと。

 非常に複雑で、運用には専門知識も必要だがよいものを見つけられればリスクそのものは少なく大きなリターンを導き出せるものに手をつける、それがポールソンの運用方法だ。

 2001年、9.11後のマーケットの崩壊による悪影響で多くのファンドが打撃を受けても、2001年、2002年と利益をあげている。

サブプライム問題でなぜ大儲けできたのか?

「史上最高のトレード」と呼ばれるトレードは、どのようにして行われたのだろうか。ポールソンはそれまでの自身の仕事を通じて、債券の空売りという技術を習得していた。実際の価値以上の信頼を得て額面で取引されていて、かつ債務不履行になりそうな債券を見つけるのは難しいが、それを見つけることさえできれば、少ないリスクに対してリターンが大きい。ポールソンはこの分野に切り込み、次々と成功を収めていった。

 これらのトレードを通じて、ポールソンが懸念点と思うようになったのが、金融機関によって過剰なまでのレバレッジが使われていることだった。

 株主資本と比べて最大手銀行のレバレッジは30~40倍、多いと50倍というところもあった。このような高いレバレッジでは、小さな損失が出るだけで資本は一気に吹っ飛んでしまう。


トランプ候補とポールソン(右)
Getty Images
 それと同時に、住宅不動産市場もバブル状態だとポールソンは感じていた。日本のバブル同様、不動産価格が上がりすぎている。

 どうしてこれほどにも上がるのか、調べた結果、住宅ローンは「プライム」「ミッドプライム」「サブプライム」に分かれていることがわかった。

 特にサブプライムの市場は大きく、「1兆ドルもの証券化されたサブプライムローンが発行されており、この分野は崩壊する可能性が高いという結論に至った」とポールソンは言う。

 そこでポールソンはサブプライム証券に集中し、空売りすることで予想が外れたとしてもリスクは極めて小さく、予想が的中すれば並はずれた業績を残せると考えた。
 250億ドルほどサブプライム証券をあらゆるファンドで購入、それらの証券の価値が下がってくるとポールソンの会社は次々に現金化、2007年末の時点でこのトレードから合計150億ドルの利益を得て、ポールソンの会社はその年600%もの上昇を記録。
 会社の運用資産は2006年の65億ドルから、280ドルまで増えた。

 その後はポールソンの会社でパートナーを務めていた女性ヘッジファンド・マネジャーのサマンサ・グリーンバーグ氏が独立するなどし、ポールソンの会社も損失を出したりもしている。

 ここ最近はヘッジファンド・マネジャーの報酬ランキングに彼の名前はないが、それでも、多くの信頼できる仲間に支えられ、ポールソンは強い存在感を放つヘッジファンド界の大御所であり続ける。

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 本記事は、2017年2月に出版された『富裕層のNo.1投資戦略』(高岡壮一郎著・総合法令出版)の草稿を、ゆかしメディア編集部が編集したものです。
 本記事の完成版はこちらでご覧いただけます。

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