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長年勝ち抜いている「普通の男」マーク・キングドン【ヘッジファンドマネジャー列伝24】

 百戦錬磨、歴戦の強者といった感じのクセの強いキャラクターが揃っているヘッジファンドの世界において、例外と言っていいくらい、「普通」な人物が、マーク・キングドンだ。
 その運用スタイルはばくちをしない堅実そのもので、リスクを減らして着実に成績をあげていく。彼の経営する会社も「俺が俺が」がなく、チームが勝つことを重視する。

 キングドンは語る。
「私たちに資金を任せてくれた投資家、ここでの仕事に自分の資金とキャリアをかけてくれた従業員に対して、私は責任を負っています。
 ヘッジファンドマネジャーという職業の性質上、お金を稼ぐことは絶対ですが、私にとってお金とは、スコアを記録するための単なる手段でしかありません。資産規模が気になることもあるかもしれませんが、それは目標ではありません。
 今の言葉と相反するように聞こえるかもしれませんが、投資とは“ゲーム”だと私は思っており、ゲームとしての投資を楽しんでいます。このゲームは、知的で感情に訴えるチャレンジなのです。
 私は勝つことが好きだし、その勝利をチームメイトと共有することができたらなおさら楽しいでしょう」


キングドンの会社のホームページ
 その“ゲーム”ではどのような戦略を採用しているのか。
「私たちはマクロトレーディングに対立するものとして、株式投資を重視しています。マクロは主観的決定の色合いが強いですが、株式投資では特定の会社を見張っていれば、ほかの投資家よりも多くの情報を得ることができ、それにより客観的な情報に基づいて判断できるということがあります」

 企業価値、ファンダメンタルズのトレード、業況判断などのテクニカルなものがキングドンのトレーディング手法の基礎となっており、それらを広範囲なマーケットと個別なマーケットと個別銘柄に適用している。

 銘柄選択のときの基準となるのは、企業価値(資産と収益ベースの両方)、収益力、相対価格モメンタムだ。マネジメントの質、財務力、市場流動性も重要と考えている。
 株式を売却するのは目標価格に達したか、選択基準が大幅に悪化したときだ。通常、最低でも30%のクロスリターンを期待しており、ポートフォリオには約200のポジションがある。

「株価の判断基準の1つがチャートですが、最近のチャートの使い方は、昔とは異なります。
 会社の強みと弱みを反映したものとして信頼するのではなく、支持と抵抗を判断するのに利用するのが効果的です。チャートは単なるツールであると考えており、それで多くのことがわかるとは考えていません」

キングドンのシンプルなルール

 キングドンの特徴的な点は、徹底的なファンダメンタル研究を行うことと、トレーディングに関する確固たる規律を定めていることだ。その規律の強固さ、組織力の強さが運用の好成績につながっている。
 キングドンは運用の際、以下の4つのルールを守っている。

ルール1.損失を少なく抑えること
ルール2.ルール1を忘れないこと
ルール3.証券とその業界についてウォール街がどのような変数を考慮しているのか見破ること
ルール4.損失を投資に変えようとしないこと


 そのほかにも「投資する前に『間違っているのではないか?』と疑ってみる。流動性を重視する」といったことを大切にしている。

 レバレッジはまったくと言っていいほど使用しない。
「悪いリターンにレバレッジをかけたところで、よくなるものではない」
 それが彼の持論だ。

 ファンドはアメリカの資産家向けファンドと、海外を対象にしたものがあり、どちらにおいても彼が大事にしているのは「回復力」であり、仮に損をしても速やかに取り戻せるような力のある銘柄を好む。

 また、彼のみが成果をあげるのではなく、社員のヘッジファンドマネジャーが成長してもらえるよう、マネジャーたちには大きな権限が与えられている。

 ラングドンは投資家にも、自分に合ったヘッジファンドマネジャーを見つけることの大切さを伝えている。投資家の考えとヘッジファンドマネジャーのポリシーが合わなけば、満足のいく投資結果は得られないからだ。

動かないことも大事な戦略

 ラングドンが会社を設立したのは1983年、資金は200万ドルだった。
 開始直後は大きなリターンを出しているという印象を持ってもらうためにも、利益をあげるためにどんなことも行った。
 だがその後、安定したパフォーマンスを発揮するために、リスクの少ない方針を取り入れた。
 リスクを調整し、そのうえで最も大きなリターンを出すこと、それが目的となった。

 キングドンは、年によっては、完全に投資する必要はないということを理解した。彼は言う。
「幸せとは求めないときにやってくるものです。投資も同じで、ひたすらに攻めるのではなく、取引の機会を待っていると成功につながります」
 キングドンは、待つときはとにかく待つ。

「投資において、じっとして動かないのは、最も難しいことです。パスカルも『人間にとっても最も難しいのは、部屋で静かに座っていること』だと言っています」
 市場がよくないなか、とにかく待つことにした年の終りに、20%のリターンを獲得した。

 小さい頃から競争好きで勝つことが好きだったキングドンは、16歳になった頃には投資の世界で働き始めていた。
 コロンビア大学を優秀な成績で卒業し、ハーバード・ビジネススクールではMBAを取得。
 AT&Tの年金基金グループに就職し、ヘッジファンドに8年間在籍した。

 ファンドが充分に大きくなった今は、新規の募集も行っていない。
 大きくなりすぎると様々な弊害が生じ、投資家に充分な利益の還元ができなくなるからだ。

 キングドンの生活は非常にバランスが取れている。テコンドーを学ぶほか、家族と一緒に旅行やゴルフを楽しむなど、その生活スタイルはまったく無理がない。

 投資スタイルも、思想も生き方も極めて普通。それがラングドンの強さだ。

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 本記事は、2017年2月に出版された『富裕層のNo.1投資戦略』(高岡壮一郎著・総合法令出版)の草稿を、ゆかしメディア編集部が編集したものです。
 本記事の完成版はこちらでご覧いただけます。

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