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医師が教える「一流の睡眠」の基準はたった1つ

「ぐっすり眠れない」
「寝つきが悪く、ベッドに入って何時間経っても眠れない」
「いくら寝ても疲れが取れない」
「夜中に何度も目が覚める」
「昼間にどうしても眠くなる」

 睡眠に関する悩みを抱える人は多い。現代人は全体的に睡眠が不足しており、仕事中に眠くなって効率が落ちてしまうという人も多いだろう。

「睡眠は個性です。人によって悩みも解決法も違うのです」

 そう言うのは書籍『一流の睡眠』の著者にして医師・経営コンサルタントの肩書を持つ裴英洙氏だ。


裴英洙氏の著書
 裴氏は語る。
「『みなさん『何時間寝るのがよい』という、一般的に理想とされる睡眠時間、生活スタイルにしようと考えるのですが、睡眠に関しては他人に合わせる必要はありません。100人いれば100通り、人によってまったく違って構わないと思います。

『睡眠はこうでないといけない』という理想を皆さん掲げられるのですが、難しく考えることはないのです。『よく眠れているか?』という問いに対して『YES』と答えられれば、本人にとってのよい眠りです。そして、『よく眠れているか』を判断する基準はたった1つ、『翌日の日中に眠くないかどうか』です。

 睡眠時間は7~8時間がいいとか、日付が変わる前に眠るのがいいなどといわれますが、頑張って8時間寝ても、翌日の仕事中に眠かったら、それは好ましくない睡眠ということになります。

 翌日に眠くならなければ、睡眠時間は何時間でもかまいません。5時間しか寝ていなくても、疲れがなく、翌日に眠くならなければ、それがその人にとってよい睡眠時間です。

 5時間睡眠で充分ならば、無理して7時間寝る必要はないですし、その2時間は別のことに有効活用できるわけです。

 むしろ、不必要な睡眠をとると、睡眠サイクルが崩れるので、翌日以降に悪影響が出てしまいます」

睡眠は『2週間』を軸に考えよう

「『短期軸で睡眠を判断しないほうがいい』と私はお伝えしています。すごく忙しかったなどの理由で、1日や2日眠れない日が続いても、あまり気にし過ぎる必要はありません。

 睡眠の軸は『2週間』が1つの目安です。2週間ほど自分の睡眠に真摯に向き合うと、どのくらい寝ていれば翌日に眠くないのか、どのくらいの時間に眠れば翌日は快調なのかなどが、ある程度正確にわかります。

 できれば2週間が理想ですが、3日でも傾向はわかるものです。何時に寝て翌日は何時に起きたのか、目覚めた後の気分はどうだったか、そして翌日の仕事のパフォーマンスはどうだったかといったことを、つぶさに記録するのです。そして、ベストな睡眠時間や、何時にベッドに入るべきかといった、行動の『最適解』に当たりをつけるのです。





 人間は『寝だめ』はできません。平日の寝不足を休日に解消する、いわば睡眠の『借金返済』はできますが、週末に、平日よりも過剰に長く眠ることは、あまりお勧めできません。なぜかといえば、睡眠には『バランス』があるからです。
 平日は4時間しか寝ていないのに、土曜日の朝は昼過ぎまで10時間眠るような生活は、眠りのバランスを崩します。今度は、土曜の夜に眠れなくなって、日曜の夜に睡眠不足で、睡眠バランスが崩れたまま翌週を迎えることになりかねません。
 睡眠リズムを崩さないためには、平日と休日の睡眠時間の差を2時間以内に抑えるのがよいでしょう。

 睡眠に限らず、食事や運動など、身体に直結する生活習慣に言えることとして、『バラつきが大きい』ことは、体によい影響を与えません。

 仕事ならば、『今日は打ち合わせ5件、明日はデスクワークに集中』とか『平日は仕事に集中、休日は仕事のことは一切考えずに趣味に没頭する』などと、メリハリをつけることが効率につながることがあります。
 しかし、『昨晩遅くにドカ食いしたから、今日はすべての食事を抜く』とか、『最近運動不足だから、今日はジムで5時間ハードトレーニングをした』などという過剰な生活の変動は、体に望ましくないのです。毎日少しずつ、変化を加えていくのがよいとされています」

横たわっているだけで休息効果がある

「『眠れないんです』と私のところに来られる患者さんは、非常に多くいらっしゃいます。ストレスを抱えているなどの理由で速やかに眠れず、みなさん必死になって『寝よう、寝よう』とします。
 実はその『眠らなければいけない』という強迫的な意識が、眠れなくなる原因になってしまうのです。

『寝る』と一口に言っても、『眠る』と『横たわる』の2つの効果があります。いわば、眠るのは脳のメンテナンスであり、横たわるのは体のメンテナンスだと考えてください。

 眠れなくても、横たわるだけで体は休められるものです。人間は疲れたら自然と寝るものですから、横たわっても眠れないならば、それは体がまだ眠らなくていいと判断しているということです。

 たとえば、横たわるだけで、体の重要臓器である肝臓への血流は増えます。肝臓は、アルコールを分解するだけでなく、体にとって毒性のある物質を解毒してくれる臓器です。
 肝臓をはじめとした臓器も疲れるのです。体を横たえることで、内臓や体の隅々まで血流が流れやすくなります。

 ですから、無理に寝ようとしなくても、横たわっているだけで淀みが解消し、様々なよい効果があります。『寝なきゃ』と自分にプレッシャーをかけるよりも、横たわることで体をリラックスさせているくらいに思っていてください。そう思えれば、自然に眠りにつけることもあるはずです」

 良質な睡眠に関する考え方はわかったが、日中、どうしても眠いときは出てくるもの。そのようなときにどう対処したらよいかもお聞きした。
 その記事はこちら

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裴英洙(Hai Eishu)

医師・医学博士、MBA。ハイズ株式会社代表取締役社長。
1972年奈良県生まれ。 金沢大学医学部卒業、金沢大学大学院医学研究科修了。金沢大学医学部卒業後、金沢大学第一外科(現・心肺・総合外科)に入局し、大学病院や基幹病院を中心に、主に胸部外科(肺がん、心臓病など)に従事し、日々手術に明け暮れる。

その後、金沢大学大学院に入学し、外科病理学を専攻し医学博士を取得。さらに、病理専門医を取得し、市中病院にて病理医として病気の最終診断にかかわり、年間1万件以上の重大疾病の診断をこなす。

また、医師として働きつつ慶應義塾大学大学院経営管理研究科(慶應ビジネス・スクール)にて医療政策・病院経営の第一人者の田中滋教授に師事。同ビジネス・スクールを首席で修了。フランスグランゼコールESSEC大学院交換留学。
ビジネス・スクール在学中に医療機関再生コンサルティング会社を設立。多数の医療機関の経営支援、ヘルスケア企業の医学アドバイザー業務などを行なっている。 現在も医師として臨床業務をこなしつつ、臨床の最前線からのニーズを医療機関経営に活かすハンズオン型支援を行なう。

著書に『一流の睡眠 『MBA×コンサルタント』の医師が教える快眠戦略』『10の仕事を1の力でミスなく回すトリアージ仕事術』『なぜ、一流の人は『疲れ』を翌日に持ち越さないのか』(ダイヤモンド社)、『医療職が部下を持ったら読む本』(日経BP社)などがある。
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