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自由で不自由!? ドナルド・サズマンのつくった不思議な会社【ヘッジファンドマネジャー列伝26】

 ヘッジファンドマネジャーの経営している会社はそれぞれだが、独特な経営スタイルで数字を残しているのが、S・ドナルド・サズマンのパロマ・パートナーズだ。
 抱えているヘッジファンドマネジャーの権限は強いが決定権はなく、会社はマネジャーを後援するがマネジャーたちから受け取るものは最低限。
 同じ会社でもマネジャーたちが仲良くしたり、協力し合ったりすることは禁止。会社とマネジャーはつかず離れずのなかで、最適な利益を追求していく。
 なんとも不思議な話だ。
 そのような会社ゆえ、なかなか正確な説明が難しい。


サズマン(パロマ・パートナーズのHPより)
 簡単に言ってしまえば、社員がフリーでやっているヘッジファンドマネジャーのように動く、そして組織だからこその強みをそこに追加する、サズマンはその全体をコントロールするというところだ。

 サズマンはマーケットニュートラル戦略のみに集中し、取引機会がどこにあるのかを探っている。
 そして機会を見つけると、適切な戦略を実行できる人をそこに当てがっているのだ。

マネジャーがバラバラなら投資も自然にバラバラになる

 サズマがパロマ・パートナーズを設立したときは、マネジャーとの関係は完全に独立したもので、配分も転換社債アービトラージのみだった。
 その後はイベント・アービトラージやスタティスティカル・アービトラージなどにも配分している。
 パロマが重視しているのは分散だ。それぞれの戦略を、複数のマネジャーが存在し、複数の戦略を実行している。マネジャーの数だけ取る戦略は異なる、マネジャーが好きにやれば自然と分散化は高まる。それがサズマンの考えだ。

 分散を重視し、となるとファンド・オブ・ファンズのような印象があるが、パロマはそれよりもファンドマネジャーの組織に属している感は強い。

 マネジャーには自分の考えを持ち、運用をしてもらいたいという考えから、サズマンはマネジャー同士がコミュニケーションを図ったり、情報を共有することを求めない。むしろマネジャー同士を離しておくようにしている。マネジャーの勤務先はグリニッチの本社でも、世界中どこでも構わない。

 そしてマネジャーが決めた投資対象に会社としてどのくらい配分を行うかについては、決定するチームがパロマの配分を決定することを重視している。

 ほとんどのファンドは創設者のマネジャーが配分を決定しているが、個人の判断は業績の悪化やリスクの増大を招くとして避けている。

 意思決定を行うのはリスク・マネジャーだ。質的要因と量的要因を組み合わせ、期待収益率と予測されるリスクをコンピューターがはじき出す。
 下されかけている判断に関連情報を付加したりといった手を加えることも重視する。サズマンがかつて抱えた損失は、統計や話を持ってきた相手を完全に信用した故の失敗と考えているからだ。

力を分散する意味

 その失敗とはどのようなものだったのか。1980年代にD・E・ショー・インベストメンツのデビッド・ショーとのやりとりから得た苦い教訓だ。
 そのとき、サズマンはビジネスを創造するための研究開発資金をショーに提供し、後援者となった。ショーは利益も出していたが、1998年に彼が関わっていた案件で約20%のマイナスを喫してしまったのだ。
 その案件の扱う分野は、サズマンのあまりよくわかっていないところでもあった。わかっていないがゆえに、任せてしまっていた。
 サズマンは自分の理解が及ばない、自分が制御できないところに資本を投入してはいけないということを学んだ。
 また、1人の判断ですべてを決定することのないようにすること、それの大切さを学んだのだ。

 サズマンは1960年代に証券会社に勤務、転換社債のトレーダーとして働き、資産家層に適したリターンとリスクの特性について理解した。
 当時、資産家のほとんどが運用していたのは地方債だが、サズマンは転換社債アービトラージが有利と考えるようになった。
 多国籍トレーディング会社の最高財務責任者になり、その後はニューヨークの法律事務所でパートナー向けの資金を運用した。

 1981年にパロマを設立。彼の働く、会社を動かす原動力は「知的刺激」「仕事に対するプライド」「プロ意識」だ
 会社には博士号などの学位を持ち、経験豊富なプロがたくさんいる。会社は「大家族的な雰囲気」を持ち合わせている。社員の服装等も自由だ。

「従業員には、各自の生産性が最大になるような環境を見つけてもらいたい」
 そう考えている。

 一方で、投資家に対しても注文がある。
「投資家は、誰が取引しているのか、その人はいくら報酬を受け取っているかを知る必要がある」と言う。たとえば、あなたが有名なヘッジファンドマネジャーに運用を任せたとして、実際に運用しているのはそのマネジャーの部下だったりすることは大いにあり得る。
 同意の上でそのようなことが行われるならば構わないが、投資家が知らないところで行われていた場合、投資をした人は「話が違う」と思うだろう。
 そのようなことを避けてほしいと、上記のような発言をしたと考えられる。

 運用をプロに任せることは大事だが、定期的に送られてくる運用レポートをチェックするだけでなく、運用者の実際のところをきちんと見てほしいということだ。

 そのほか、民主党の支持者としても有名で、同党の最大寄付者の1人だ。昨年は700万ドル以上を寄付したと言われている。
 現在も、ヒラリー・クリントンの選挙活動をサポートするなど活動している。

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 本記事は、2017年2月に出版された『富裕層のNo.1投資戦略』(高岡壮一郎著・総合法令出版)の草稿を、ゆかしメディア編集部が編集したものです。
 本記事の完成版はこちらでご覧いただけます。

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