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エグゼクティブな場で恥をかかないために 知っておきたいワインリスト

 前回記事「世界のエグゼクティブがワインを学ぶ3つの理由」で、エグゼクティブなビジネスパーソンはワインに関する知識を持ち合わせていると伝えた。

 ワインの世界は非常に奥が深い。ビジネスの場で教養として使いこなせるようになるには、短くない修行が必要だ。
 そして、決して終わりのない修行と言える。

 まずは「ワインに詳しくない人でも、とりあえずこれさえ押さえておけば社交の場で恥をかかない」というラインナップを、ワインスペシャリストの渡辺順子氏にひととおり教えてもらった。

定番の定番と、定番以外で評価の高いものを押さえる

「今は世界中で質の高いワインがつくられるようになりましたが、本場はやはりフランスです。フランスのワインを押さえましょう。
メドック格付け第1級に選ばれた5つのシャトー、称して『ボルドー5大シャトー』をまず押さえてください。

『ボルドー五大シャトー』とは、1855年のパリ万国博覧会において、フランスのボルドー・メドック地区の格付けで“第一級”の称号を与えられた4つのシャトー(醸造所)と、1973年に昇格になったシャトー・ムートン・ロスシルド、これら5つの世界トップクラス・シャトーのことを指します。

 この5つにさらに4つのシャトーを加えた『ビッグ9』という言葉も覚えてください。右岸を代表するトップシャトー、『ペトリュス』『シュヴァル・ブラン』『オーゾンヌ』そしてソーテルヌの『イケム』合わせて9つのシャトー、ボルドーを代表するワインです。

 フランスワインはボルドー、ブルゴーニュが代表的な産地ですが、ローヌ、ロワールにも素晴らしい造り手が存在します。ワインオークションではボルドーのワインの落札額を上回る高額で落札されることもあります。


ギガルのラ・ムーリヌ
 ローヌで最上のワインを生み出すドメーヌ E Guigal (ギガル)
 世界で最も有名なワイン評論家 ロバート M. パーカー, Jr.氏によって評価される、100点満点で表すワインの評価法「パーカーポイント」で100点をいくつも獲得したコート・ロティの3つのクリュ(ブドウ園)

Chateau La Mouline(シャトー・ラ・ムーリヌ)
Chateau La Landonne(シャトー・ラ・ランドンヌ)
Chateau La Turque(シャトー・ラ・トゥルク)

 を押さえてください。


ギガルのラ・トゥルク(左)と
ラ・ランドンヌ(右)
 通称『La La’s』(ララズ)と呼ばれています。 ローヌワインといえばタンニンが強くパワフルな味わいと言うイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが『La La’s』のワインはとてもエレガントでシルクのように滑らかです。年月とともにより気品に満ちた高貴なワインに熟成していきます。
 特に出来の良いLa La’s はパーカー氏も20年から30年以上寝かせてから飲むことを勧めています。

 ロワール地方は、ロワール川の流域に東西に広く分布するワインの生産地です。白ワインのメジャー品種『ソーヴィニヨン・ブラン』の世界最高の産地の1つ、プイィ・フュメ。そこでこだわりのワインをつくってきた鬼才『ディディエ・ダグノー』。
 ソーヴィニヨン・ブラン100%で作るダグノーのワインは、良い意味で期待を大きく裏切る味わいです。特に幻のワイン『アステロイド』はソーヴィニヨン・ブランのイメージを一新するだけでなく、ワインというジャンルをも超える味わいです。


ダグノー
 残念ながら彼は自ら操縦するセスナ機の墜落で2008年に亡くなってしまいました。今は亡き父のDNAを引き継いだ2人の子供が醸造・運営を担当しています。

 そしてアルザスの ドメーヌ・トリンバックが作る『クロ・サン・トュヌ』も押さえておきたいワインです。
『クロ・サン・トュヌ』はアルザス辛口リースリングの最高峰と評されています。ミネラルが豊富で非常にドライな味わいで、すべて手摘みで収穫し1本1本丁寧に作られているワインです。
 ワイン=フランス料理のイメージがある方もいらっしゃるかもしれませんが、お寿司に合わせるならまず”クロ・サン・トュヌ”を合わせてみてください。

 ワインとのマリアージュが難しいと言われる酢メシや光り物とも相性が良くその旨味を引き立てます、もちろんトロと合わせていただいても相性抜群の万能選手です」

フランス以外にも押さえておくと一目置かれるアメリカワイン

「アメリカの超高級ワイン『カルトワイン』も押さえてきたいところです。『カルトワイン』とはカリフォルニア州、主にナパヴァレーを中心に産出される超高価で高品質なワインの総称です。
 超高価な理由の1つとして、カルトワインが超少量生産なことがあります。生産量が限られていて、それでいて『カルト的な信仰者がいる』ことからカルトワインと名付けられました。

 その限られたものが、一般には出回ることがほぼ皆無でカルトワインにはいくらでも払うという人たちのところへ流通していますから、それが手に入ったとなれば、詳しい人ならば熱狂するでしょう。

 カルトワインという言葉を生み出した『スクリーミング・イーグル』『ハーラン・エステート』『シン・クア・ノン」といった銘柄を押さえておきたいところです。そのほかにも「Schrader」(シュレーダー)は特に生産量が少なく、先ほどのパーカーポイント100点を15の銘柄が獲得し最高獲得数を誇ります。
 シュレーダーは是非押さえていただきたいワインです。


シュレーダー
 たくさんあるワインの中でもこれらのワインを『飲んだことがある』となれば同じ経験をしたことのある人とは親近感が生まれ、お互い垣根がなくなるのではないでしょうか。

 また世界共通の飲みものであるワインは、好みや飲んだワインによって出会える人々が変わる最強の『コミュニケーションツール』だと思います。

 そのような別の側面からも、ワインの魅力を感じていただきたいと思います。

 今回は定番のワインから少しマニアックなワインをご紹介しました。
 5大シャトーのひとつ、『シャトー・オーブリオン』は16世紀にはすでに存在が認められていた歴史あるシャトー。一方、『シュレーダー』は創業20年にも満たないアメリカのワイナリー。しかしワインは歴史も産地も変われど何千年も昔から今も変わらず世界中のエリートを魅了してきました。これから先も選ばれた人にしか飲めないワインは造られていきます。
 プレミアムなワインを皆様のライフに少し添えていただきますと、今までと少し違った世界が広がります」

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 渡辺 順子(わたなべ・じゅんこ)

 ニューヨーク移住、フランスへのワイン留学後、2000年より世界最大オークションハウス、ニューヨーク・クリスティーズでアジア人初のワインスペシャリストとして活躍。

 2009年に退社し、ワイン・コンサルタントとして独立。ワイン投資のアドバイザー及びセラーを管理するセラーマネジメントを行う。ワインオークションハウス「ザッキーズ」の日本代表として日本にワインオークションを展開。
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