エーザイの治験中止発表で大手ヘッジファンドでも明暗
3月20日まで9,000円程で推移していたエーザイ(4523)がアルツハイマー病治験薬の臨床試験を中止を発表し、株価の急落に見舞われたことは記憶に新しいだろう。
アルツハイマー病治験薬は製薬大手の各社にとって鬼門となっており、米ファイザーや米イーライ・リリーといった大手も撤退するなど実用化までのハードルは高い。
2019年に入ってスイスのロシュも開発の停止を公表するなど、期待感が膨らんでいた投資家が冷や水を浴びせられることは珍しくない。
エーザイも米製薬バイオジェンとタッグを組み、治療薬候補「アデュカヌマブ」の開発を進めて来ていたが、上記企業同様に、今回は一時撤退することとなった。
米製薬バイオジェンに投資を行っていたヘッジファンドは決して少なくない。有名どころで言えば、CTA戦略大手のAQR Capital Management LLCが好例である。
同社は20兆円以上の運用規模を誇る巨大ファンドだが、2016年以降徐々にバイオジェンの株式保有を増加させていた。
また、ニューヨークに拠点を構えるOrbiMed Advisors LLC(オービメッド・グロース・トラスト)が最も注力して資金を投下していた先もまたバイオジェンであった。
ファンド残高のうち11.7%を同社株式へ投下しており、株価が35%程の急落に見舞われたことを考えるとファンド全体にも4%近いマイナス要因をもたらしたことになる。
Bloombergの取材に対して現時点ではコメントを公表したファンドはないものの、上記のようなダメージを負ったファンドもあれば、米国13F filingsで公表されている情報によると急落前にしっかりと手じまいしていたファンドも一定数存在している。
Empyrean Capital Partners(エンピリアン・キャピタル・パートナーズ)は2018年の第4Qにバイオジェンの株式保有をゼロにする取引を行っていた。よもや治験中止を見抜いていたと言うことはないだろうが、ナイストレードである。
Millennium Management LLC(ミレニアム・マネジメント)も同様に大きくバイオ株式の保有を減らしていたようだ。
株式ロングショート戦略のヘッジファンドは謂わば「人の目が入る」運用になる為、著名ヘッジファンドであっても勝ち続けることは簡単ではない。今回の荒波を上手に乗り越えたファンド群がこれからの相場を同様に勝ち続けられるか、注目が集まるところと言えるだろう。
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