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大手ヘッジファンドD・Eショーの運用手法とは

 D・Eショーはコロンビア大学の技術者、デイビット・ショーにより1988年に設立されたヘッジファンドである。世界最大級のヘッジファンド、ルネッサンステクノロジーが旗艦ファンドであるメダリオンの運用を開始したのと同じ年に運用を開始した。

 創業者のデイビット・ショーが金融業界に携わったのは、モルガンスタンレー社のクオンツシステムの開発に参加したことがきっかけだった。

 ここでデイビット・ショーは市場の価格のゆがみに関するシステム開発を行うこととなる。

 市場には、企業の情報の反映と異なる、需給要因による価格変動がある。例えば大手年金基金が資金需要のために大量の個別株式を売った場合、企業業績と関係なく株価が下落することとなる。

 このような場合、同じ業種の株価の相対価値を追っていれば、同じ業種の中の特定の株式のみ業績以外の理由で、下落していることが分かる。特異な値動きが生じた場合は、下がった銘柄を買い、動いていない銘柄を空売りすることで、市場リスクを抑えたまま、リターンを狙うことができるのだ。

 デイビット・ショーはこのような価格の歪みのアノマリーをJPモルガンで研究することがきっかけとなり、ヘッジファンド運用への道を歩んでいくことになる。

 一般的な金融機関は金融派生商品について、ブラックショールズ方程式を代表とする、正規分布を前提とした価格を計算する。しかし1987年ブラックマンデーではオプション価格が正規分布しないことが明らかになっている。

 デイビット・ショーは金融派生商品の価格の算定は正規分布を基本としないものを前提とするべきという判断から、モルガンスタンレー社を退職し、自分の名前を冠したヘッジファンドを設立することになったとみられている。

 ヘッジファンドD・Eショーは転換社債アービトラージ戦略など主に価格のゆがみに着目した運用で、運用実績を出していった。90年前後のの日本は特に価格のゆがみが大きく、取引を活発に行っていたようだ。

 1997年にD・Eショーはバンク・オブ・アメリカと提携することになる。バンク・オブ・アメリカは債券レラティブバリュー戦略を本腰を挙げて開発することにしたようだ。これは1994年にソロモンブラザーズ出身のジョン・メリウェザーがロングターム・キャピタル・マネジメントを設立し、高いリターンを上げたことに起因するようだ。

 ロングターム・キャピタル・マネジメントはノーベル経済賞学者の、マイロン・ショールズとロバート・マートンをチームに引き入れ、債券市場の価格の歪みから、年率40%以上のリターンを挙げていたのだ。

 これに触発されたバンク・オブ・アメリカはD・Eショーとともに、債券のヘッジファンド運用を進めることとなる。歴史を振り返ると、非常に不幸なタイミングではあったが、1997年に発生したアジア通貨危機と、その煽りを受けて1998年に発生したロシア財政危機により、ロングターム・キャピタル・マネジメントは破綻。同時期にD・Eショーとバンク・オブ・アメリカは大きな損失を被ることになる。これによりバンク・オブ・アメリカは$ 570万ドルを失ったとされる。D・Eショーもほかの戦略で出た利益のほとんどが、この債券アービトラージ戦略の穴埋めに使われ、大きな挫折を味わったようだ。

 騒動が収まった2002年頃から少しずつ債券アービトラージを再開することになるが、それ以降、D・Eショーは比較的様々な投資対象への分散投資を進めることとなる。

 2003年にはベンチャーキャピタルも開始し、未上場企業への投資から破綻企業への投資を開始、その後は再保険や不動産までと業務範囲を拡大させている。

 その後アジアに対して事業を拡大、2006年にはインドに事務所を設立し、2007年に香港事務所を、2010年に上海事務所を開設していくこととなる。


主な運用手法

アクティブ・エクイティ 定量的な株式運用
エクイティ・アービトラージ独自の定量的裁定取引
システマティックな先物取引マクロ経済データなどに基づいた定量投資
資産担保証券投資 モーゲージ担保証券のような幅広い資産担保証券への投資
コーポレートクレジット戦略世界の社債市場への独自の分析による投資
エネルギートレーディング世界的なエネルギーの非効率性から収益を上げる
再保険投資災害保険へ2次流通市場への投資
再生可能エネルギー開発 太陽光発電および風力発電プロジェクトに投資し、開発し、運営


 1988年の会社設立当初は、小さなオフィスとわずか2,800万ドルのシードマネーでスタートしたヘッジファンドが、今や運用残高は500億ドル(5.6兆円)を超え、世界でもトップ10に数えられるヘッジファンドへと成長した。

 D・Eショーはほかにもアマゾン創始者のジェフ・ベゾス氏はアマゾン創業前に勤めていたことや、元財務長官であるローレンス・サマーズ氏が顧問を務めたことがあるなど、話題には事欠かない。

 先日、中国での免許取得を発表したが、今後アジアでもその存在感は増していきそうだ。


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