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資産運用の決め手、ポートフォリオの具体例

 「資産運用の結果の9割は資産配分で決まる」と言われている。実際に、世界最大級の運用会社であるバンガードのレポート(Vanguard’s Principals for Investing Success)でも、資産配分が91%を占めるという研究結果が出ている。ポートフォリオの紹介は様々な記事でされているが、海外の著名なファンドマネジャーが提唱したポートフォリオなどをまとめた記事はほとんど世に出ていないようだ。

 本記事では、世界的に有名なポートフォリオの具体例について紹介する。海外の資産運用サイトであるポートフォリオチャート(Portfolio Charts)で紹介されている18のポートフォリオについて、簡単に特徴と資産配分、リターン、リスク、シャープレシオについて記載している。データ期間は1970年から2020年4月となっている。
 なお、シャープレシオとはリターンをリスクで割ったもので、この数値が高いほど効率の良い運用ができていることを意味する


1. 60-40ポートフォリオ


 世界で最も歴史があり有名なポートフォリオ。インデックス投資を世界で初めて開発したアメリカのバンガード社の創設者ジャック・ボーグル氏が普及させた。より細かく資産配分するケースもあるが、世界株式と中期米国債に60:40の比率で投資するというのが最も一般的である。これが、その他のポートフォリオと比較する基準になる。





2. 最もシンプルなポートフォリオ


 元神経学者でありアメリカの投資顧問会社「Efficient Frontier Advisors」の創業者であるウィリアム・バーンスタイン氏が著書『The Intelligent Asset Allocator』で取り上げている、もっともシンプルなポートフォリオ。株式75:債券25とかなり株式の割合が高くなっており、リスクが高いことが特徴だ。





3. オールシーズンポートフォリオ


 米国で自己啓発作家として著名なトニー・ロビンズ氏が2014年に『MONEY Master the Game: 7 Simple Steps to Financial Freedom』で発表した。現代の投資環境を踏まえバフェット等著名な投資家にインタビューしていく形式で、ニューヨークタイムズ紙でナンバーワンのベストセラーとなった本だ。
 ポートフォリオの特徴は世界最大のヘッジファンド会社「ブリッジウォーター」の創業者レイ・ダイオ氏のオールウェザーポートフォリオを、一般の投資家向けに簡略化したものである。経済を4局面(経済成長期・経済停滞期・インフレ期・デフレ期)に大別し、どんな場面でも適応できるとしている。債券の比率が高いためリスクが7.9%に抑えられており、比較的安全な運用ができるポートフォリオだ。





4. パーマネントポートフォリオ


 パーマネント(恒久的)な資産配分として、大統領候補にもなったハリー・ブラウンが『Fail-Safe Investing: Lifelong Financial Security in 30 Minutes』で提唱したポートフォリオ。4つの資産を当分で保有し続けることで、どんな時にも対応できるとしている。
 経済を4局面に分けており、発想はかなりオールシーズンポートフォリオに近いポートフォリオだ。キャッシュと債券で50%を占めているため、同じ4資産に等配分する「最もシンプルなポートフォリオ」よりリスクが格段に抑えられていることがわかる。





5. リックフェリーのコア4ポートフォリオ


 10億ドル以上の資産を管理するPortfolio Solutionsの創始者であるリック・フェリー氏は、著書『All About Asset Allocation』等でいくつものポートフォリオを提案している。その中でも一番クラシックなのが、このポートフォリオだ。
 資産を分散させることでコストも高くなり、維持が大変になると主張し「少数の優れた資産を保有する」ことで投資効率が上がりリターンも高くなると話している。また、年齢によって債券の比率を変更することで、長期間の運用も可能なポートフォリオであるともしている。





6. 7-12ポートフォリオ


 投資信託とポートフォリオを専門に研究しているクレイグ・イスラエルセン博士が2010年に著書『7Twelve: A Diversified Investment Portfolio with a Plan』で提唱した。
 名前の由来は、投資対象を12本のファンドと7つの資産(国内株式・世界株式・不動産・資源・米国債券・世界債券・現金)で運用することから来ている。資産を12等分し、バランスよく投資しているポートフォリオと言える。





7. 理想的なインデックスポートフォリオ


 投資顧問会社「Investor Solutions Inc」の代表であるフランク・アームストロング氏が2003年に出版した著書『The Informed Investor: A Hype-Free Guide to Constructing a Sound Financial Portfolio』で推奨しているポートフォリオ。
 株式と不動産70:債券30の比率で最も効率の良い資産配分をすることで、他のポートフォリオよりリスクを高めた運用ができるとしている。





8. コーヒーハウスポートフォリオ


 名前だけ見るとカフェやコーヒー生産国に投資するように思えるが、そうではない。投資対象が7つしかないため、「一杯のコーヒーを飲む間にポートフォリオを設定できるほど簡単なポートフォリオ」という意味を込めて名付けられたそうだ。
 公表したのは、アメリカの資産運用会社「Soundmark Wealth Management」の創設者であるビル・シュルタイス氏。過去10年以上にわたってプラスの収益を生み出すファンドから選定された。株式の中でバリュー株に投資することで、リスクを低減している。





9. スウェンセンのポートフォリオ


 イェール大学基金の最高投資責任者であり、27年間で10億ドルを239憶ドルに殖やしたデイビッド・スウェンセンが、個人投資家向けとして提唱したポートフォリオ。不動産を多く組み入れているのが特徴だ。また、スウェンセンは注意点として「特定の資産に30%以上投資しない」ことを挙げている。





10. アイビーポートフォリオ


 英国のファンドマネジャーであるメバネ・ファーバー氏が、ハーバード大学とイェール大学の寄付金の投資戦略を解説した本『The Ivy Portfolio』で登場したポートフォリオ。株式と不動産60:債券とコモディティ40の比率で、トレンドやリスクにより機動的に資産のリバランスが行われる。





11. 3ファンドポートフォリオ


 インデックス型ファンドを世界で初めて個人投資家に提供したバンガードの創始者であるジャック・ボーグル氏の名を冠した「ボーグルヘッド投資」という投資法がある。
 バンガードの3つのインデックスを保有するだけで最高にバランスの取れたポートフォリオを構築できるとするものであるが、そこで推奨されているのがこの3ファンドポートフォリオだ。ボーグルは米国以外に投資する必要はないと考えているため、米国外の資産は20%に抑えられている。





12. ラリーのポートフォリオ


 「Buckingham Strategic Wealth」の代表ラリー・スウェドロー氏が2014年に著した『Reducing the Risk of Black Swans: Using the Science of Investing to Capture Returns with Less Volatility』で推奨されたポートフォリオ。
 債券を70%組み入れることで全体のリスクを抑えながら、ハイリスク・ハイリターンの株式に投資することで株式の値上がり益も狙えるポートフォリオといえる。





13. メリマンのポートフォリオ


 シアトルの投資顧問会社の代表であるポール・メリマン氏が「究極のバイアンドホールド戦略」と称して、2014年に発表したポートフォリオ。
 従来の大型株中心の成長株ポートフォリオにバリュー株、小型株、不動産を追加することにより相場急落のリスクを回避できるとしている。





14. ‛臆病者’のポートフォリオ


 記事を掲載した雑誌の名前から「スマートマネーポートフォリオ」とも呼ばれるこのポートフォリオは、元神経学者でありアメリカの投資顧問会社「Efficient Frontier Advisors」の創業者であるウィリアム・バーンスタイン氏が1996年に発表した。
 「臆病者」の言葉の意味は、資産を多数に分散しリスクを回避するということから来ている。構成としては株式と不動産60に対して債券40という比率だが、株式部分を7つに細分化し、資産分散していることがわかる。





15. ゴールデンバタフライポートフォリオ


 インターネット上でTylerと名乗る匿名の男により提唱されたポートフォリオ。バタフライの由来は株式40%と債券40%を羽、金20%を頭に見立てている。株と債券はそれぞれ二分化されており、すべて20%ずつの配分になっている。
 シャープレシオが高く、リスクの低い効率的な運用ができるポートフォリオと言える。





16. 風車ポートフォリオ


 ゴールデンバタフライと同じく、匿名の投資家によって作られた新しいポートフォリオだ。従来の投資手段を活用し、幅広い資産クラスに投資するという目的のもと設計されている。
 円グラフの見た目が風車のようであることから、こう名付けたそうだ。株と不動産の比率を65%と増加させ、代わりにキャッシュを保有することでリスクを整えている。





17. サンドイッチポートフォリオ


 またユニークな名前のポートフォリオである。株式と債券で残りを挟んでいるように見えるため、こう名付けられたのだろう。このポートフォリオは、経済学を学び、42歳でセミリタイアしたビジネスマン:ボブ・クライアット氏が考案したものだ。著書『Work Less, Live More: The Way to Semi-Retirement』の中で紹介されているが、緻密な計算やシミュレーションのもとに構成されたポートフォリオだという。





18. 世界株式


 最後に、世界株式のみに投資した場合のシミュレーションを掲載した。他のポートフォリオとの比較でみていただきたい。『The Simple Path to Wealth』を著したJL コリンズ等といった個人投資家の多くは、すべての資産を世界株式で運用する。平均で年率8%のリターンを得ているが、どのポートフォリオよりもリスクは高いという結果になっている。





終わりに


 資産配分の組み合わせは、無限大に存在する。「全ての人に最適なポートフォリオ」は、絶対に存在しない。ポートフォリオを評価する上では自分が運用するうえでの目標(ゴール)、取れるリスク、期間、換金性など、様々な点から考えて最適な資産配分を行うことが重要だ。

「自分が長く続けられる資産配分」で投資を行うことが、長期でのパフォーマンスにつながる。

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参照サイト:Portfolio Charts(portfoliocharts.com)
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