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コロナと大統領選で主役に?米国のヘルスケア投資

 医療崩壊が現実味を帯びてきた。OECDによるとイタリアの人口1000人あたりの病床数は3.2で、ドイツ(8.0)などの半分以下の水準だ。日本でも医療従事者の感染が拡大していたり、沖縄県の玉城知事が医療体制の脆弱さから沖縄への渡航を自粛するよう呼びかけるなど、他人ごとではない。 米国の大統領選挙でも、医療制度に関する施策が注目される。

 こんな環境だからこそ、ヘルスケア投資を紹介したい。ヘルスケアとは、日々の生活を支える医療に関連する分野のことで医薬品や機器、サービスに渡る様々な分野がある。バイオテクノロジー、ダビンチなどの手術支援ロボット、遠隔医療サービスなど話題にも事欠かない分野だ。具体的な企業としてはジョンソン&ジョンソン、ファイザー、ユナイテッドヘルスなどが挙げられる。

 株価の推移は、以下の通りだ。安定して動いており、特に2013年ごろ~2016年にかけて市場平均を大幅に上回っていることがわかるだろう。今年に入ってからは、NYダウを10%以上アウトパフォームしている。本記事ではアメリカのヘルスケア事情と、見通しについて解説する。





アメリカのヘルスケア事情


 まず、アメリカのヘルスケアの実態を見ていこう。アメリカでは日本のような国民医療保険がなく、多額の治療費がかかる。1回の手術で何百万円かかるという話もある。下は2017年の世界の医薬品市場の地域別シェアだが、なんと北米だけで世界の48%を占めるのだ。


※EFPIA-PharmaFigures2018より作成

 その額も圧倒的だ。2位に中国に5倍以上の差をつけている。日本と人口は3倍程度しか違わないのに、医療費は6倍以上多い。単純に、1人当たり2倍超の医療費を払っていることになる。





 更に、アメリカは「肥満大国」と呼ばれるほど肥満率が高い。WHOのデータでは日本の4.5%に対してアメリカは31.8%だが、2019年のハーバード公衆衛生大学院の研究では、10年後には国民の50%以上が肥満と判定されるという結果が出た。カロリーの高い食べ物の普及や、ファストフード等の食品価格の下落が理由として考えられる。







※IQVIA「Top 10 Pharmaceutical Markets Worldwide, 2018」より


オバマケアとヘルスケア株


 国民皆保険制度の存在しない米国では、医療技術の発展により保険料の高騰が起きており、無保険者が増加していた。オバマ政権では、医療制度改革によって無保険者を削減してすべての人に医療アクセスを保障することに加え、医療費を抑制しつつ、医療サービスの質の向上を目指すとした。いわゆる「オバマケア」である。2010年に成立し、2014年から最低限の医療保険に加入することが義務付けられた。加入しない場合は罰金を取られる。保険会社側も、加入希望者を加入させることが義務付けられた。


※米統計局より

 上の表のとおり、オバマケアにより無保険者は減少したが、既往疾患歴があり、今まで保険に加入できなかった人も加入したことで保険料が高騰した。処方箋医薬品の需要も増えたが、薬価は上がりにくくなった。オバマケアの撤廃を訴えたトランプ氏が大統領になったことにより、ヘルスケア株は値上がりを見せている。


■米大統領選とヘルスケア

 トランプ大統領は保険料負担の増加などからオバマケアを批判している。一方、バイデン氏はオバマケアの拡充による無保険者の救済を公約にしている。新型コロナウイルスの治療費は2万~3万ドルとされ、トランプ大統領は無保険者でも無料で治療を受けられる制度を整えるとしているが、まだ不透明な状況だ。選挙の行方を占う上で、大きなテーマになるだろう。


これまでのヘルスケア株


 簡単に、近年のヘルスケア株の流れをみていく。

①2008年~2010年
 1990年代に登場した薬の特許切れ懸念と、オバマケアの悪影響懸念により低調な推移。

②2000年代中ごろ
 遺伝子などの研究が進み、「次世代シーケンサー」と呼ばれる装置が誕生。それまでは人間の遺伝子を読み取るのに13年かかっていたのに対し、わずか数日での解析ができるようになった。

③2011年~2016年ごろ
 多くの新薬が登場し、がんやアルツハイマー病など難しい分野でも治療薬が開発され、既存薬の改良もすすんだ。


※米食品医薬品局(FDA)より

④2017年~
 トランプ大統領が就任。「薬価は高すぎる」などの発言でヘルスケアセクターへの不透明感が続いているが、具体的な締め付けはまだみられない。


ヘルスケア株の今後


 ヘルスケア投資の特徴として、景気に左右されにくく安定して業績が推移していく点がある。他の株式と同様にコロナショックにより値下がりしたが、回復力も強い。先進国では高齢化に伴う医療費の増加、新興国では人口・所得増による医療費の増加、さらにバイオ医薬品の発展などが見込まれる。

 日本での医薬品を販売する際は公定価格が定められるが、アメリカでは医薬品メーカーが自由に薬価を設定できる。通常価格の低いジェネリック(後発)医薬品についても、製造する会社を買収したり、製造権を買収することで競合を無くし、価格の引き下げを止めるといったことがよく見られる。

 トランプ大統領も薬価を引き下げたいようだが、まだ製薬会社に対して強く出られないようだ。医療保険市場に民間の会社が深く入り込んでおり、国民皆保険制度の仕組みを構築するのは非常に困難だ。不透明感もあることは確かだが、どんな規制が入ったとしても社会に必要とされ成長していく分野ではないだろうか。


ヘルスケア投資をする方法


 ヘルスケア投資をするにあたり、具体的な方法を3つご紹介する。

①ヘルスケア関連の株式

 アメリカのみに上場している企業がほとんどだ。証券会社で購入できるため、手数料の安いネット専業の証券会社が良いだろう。取扱いは各社で異なるため、自分の買いたい株式を取り扱っているか調べることも必要だ。以下で、2つ例をご紹介する。

1.ファイザー


 世界トップクラスの製薬会社。2017年、2018年には世界最高の売上高だった。1990年代に他社を圧倒する薬を数多く発表し、ITバブルも相まって株価は急上昇。2000年以降は、他社の買収により急速に規模を拡大している。




2.アラガン


 美容医療関連医薬品・医療機器の開発を主に手掛ける会社。2014年にアクタビスに買収されたが、買収されたアラガンの名が引き継がれた。ファイザーも買収を仕掛けたが撤回、2019年にアッヴィにより630憶ドルで買収されるとの発表があった。このように、M&Aが多いのもヘルスケア業界の特徴だ。




②ヘルスケア投資を行う投資信託

 個別銘柄でなく、ヘルスケア全体に投資をする場合は、基本的に投資信託になる。少し手数料は高くなるが、様々な投資信託が出ている。銘柄を決めて、取扱いのある証券会社から購入する。具体例としては、三菱UFJ国際投信の「グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド」、野村アセットマネジメントの「野村 ピクテ・ヘルスケア・ファンド」等がある。

③ヘルスケア投資を行うヘッジファンド

 こちらは少し特殊な方法だ。日本の証券会社では買えない商品であり、海外の優れたファンドマネジャーが運用するもの等がある。ヘッジファンドについての詳細はこちらでご紹介している。


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