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欧州大手グローバルマクロヘッジファンド、ブレバン・ハワードの復活劇

 2020年に入ってから欧州大手グローバルマクロヘッジファンドのブレバン・ハワードの復活が目覚ましい。

 巧みな相場に対するポジション構築により、コロナショックを利用した一段と高い成績を生み出し、5月末時点で22.6%のリターンを記録している。2018年以降の成績で比較するとブレバン・ハワード・マスターファンドは年率19.3%と、年率7.6%であったS&P500のインデックスファンドを大きく上回っている。


S&P500とブレバン・ハワード・マスターファンドの2018年以降の実績を比較したチャート。2018年の10月から12月の株の下落時と、2020年3月ごろの株の下落時に大きな違いが生じていることが分かる。


ブレバン・ハワードの低迷と復活


 しかしブレバン・ハワードのここまでの道のりは決して平たんとは言えなかった。

 2003年4月の運用開始以来、2011年まではその巧みなリスク管理手法により、リーマンショックやギリシャショックなど多くの他のヘッジファンドがマイナスになる環境においても暦年ベースでマイナスのリターンを出すことは無く、堅調に推移していた。ピーク時には運用残高は400億ドルを超え、世界最大級のグローバルマクロファンドと呼ばれ、世間の注目度も高かった。

 歯車が狂ったのはリーマンショック以降、あまりに長く続いた緩やかな上昇が続くゴルディロックス相場の中で生じた。リーマンショック以降の政府による官製相場がヘッジファンドのアルゴリズムに適合しなかったと考えられる。

 2012年以降は一桁前半のリターンが続き、2015年には初めてマイナス1.9%を記録したのだ。

 2013年10月時点で運用資産残高が400億ドルを越していたが、始めてマイナスを記録した翌年2016年には、運用残高はピーク時の半分である200億ドルを割り込み、2019年時点で70億ドルまで減ったと報道されている。

マクロヘッジファンドのリスクマネジメント力

 しかしブレバン・ハワード・マスターファンドの真価は下げ相場のリスクコントロールにあるといっていい。2018年、10月から12月はまさに市場急落といってよい環境であった。日経平均は24000円台から19500円台までわずか3か月で急落し、下落率は18%に及んだ。その様な中、ブレバン・ハワードは復活ののろしを上げ、2018年に14.2%のリターンを記録した。

 これは2015年までに多くのサブファンドを閉鎖し、2016年以降に改めて有能なトレーダーにサブファンドの開設を認め始めるというブレバン・ハワードが行った組織改革の効果が出たと見てよいだろう。

 ブルームバーグ等の報道によると一時期ブレバンハワード内ではマスター・ファンドの運用に専念するために、徐々にサブファンドを減らしていたが、近年の早い環境の変化に適応するため、改めて優秀なファンドマネージャーには独自のファンドを組成することを認め、その手法や運用アルゴリズムをブレバン・ハワード・マスターファンドに流入させることにしたのだ。

 こうした流れの中で、JPモルガンチェースやシティバンクで働いていた、アルフレッド・サイッタ氏の運用する債券中心のASマクロファンドやミナル・バスワル氏が運用するアジア債券と為替を中心のMBマクロ・ファンド、金利トレーダーであるファッシュ・ゴルチン氏が運用するFGマクロ・ファンドが運用を行っている。

ハワード氏の現場専念化

 またアラン・ハワード自身のAHマスターファンドも2017年に立ち上げ、2019年10月には共同創業者のアラン・ハワード氏が経営から退き、トレーディングに専念することも発表された。このAHマスターファンドはハイリスクハイリターンを求めて運用を開始しており、2020年に入ってから100%プラスのリターンを上げているとブルームバーグが報道している。

 アラン・ハワード氏は1980年代にソロモン・ブラザーズの債券トレーダーからキャリアを出発している。当時のソロモン・ブラザーズにはジャンクボンドの帝王、マイケルミルケン氏が収益の多くを稼いでいたといわれ、彼もその影響を多く受けたことは想像に難くない。ブレバン・ハワードの運用は債券部分のイメージが強い。また欧州ではユーロ統合により各国の国債・通貨が収斂する過程において多くの収益機会があった。そうした値動きの荒い中で技術を磨いたヘッジファンドマネージャーにとって、近年の市場は穏やかすぎたということだろう。

 2020年に入り、相場が荒れ始めると、ブリッジウォーターやルネッサンステクノロジーズ等2000年以降の代表的なアメリカ系のグローバルマクロヘッジファンドが苦戦する中、ブレバンハワードは22.6%プラスと復活の姿を見せたのである。

 一時期70億ドルまで減っていた運用残高は、2020年4月末時点で96億ドルまで回復したという。

欧州ヘッジファンド勢の復権


 2018年以降は、2000年代初めに活躍した欧州ヘッジファンド勢が復活してきている。大手株式ロングショート戦略で有名だったクリスピン・オデイ氏は2018年と2020年の下げ相場下では高いリターンを上げている。またブルークレストキャピタルを率いていた、マイケルプラット氏は2019年に50%以上のリターンを上げたことを明かしている。


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