美術と経済の不思議な関係
更新日:2010年01月27日
美術品は経済に大きく関わっているということは、あまり知られていることではないのかもしれない。何故なら、芸術というのは経済と切り離されて考えられている感があるからである。
だが、世の中であらゆる売買されている商品がそうであるように、この美術品の世界にも、売り手と買い手がいる限り市場というものが存在している。芸術と経済というものは相反するものと考えられているが、芸術品も購買者がいる以上価格というものが与えられる。美術という個人の趣味や感性が優先される世界でも、市場で売買される以上例外ではない。

そして芸術活動において価格が与えられ市場が存在しているものは、おそらく美術品だけだろう。音楽や文学や詩学などの他の芸術文化活動においてはこのような機能を持たない。美術品というのは一般的にあまり馴染みのある市場ではない。美術品というのは、美術館で観て楽しむものという認識を持つ人も多く、所有しようという考えを持ち実際所有する人は少数派かもしれない。
美術と経済というのは相反するものと思われているが、果たしてそうであろうか。美術品は経済の強い国に集まるという。これは過去から現在においても変わりはない。過去においては美術品は略奪の歴史であり、資本力においてコレクションを増やしていったアメリカの美術館などとは違い、ヨーロッパの美術館は権力者による美術品の強奪の背景抜きには語れない。
もともと時代を代表する名匠の美術品、もっとも高価な工芸品は例外なくその時代の最高権力者の身辺に集まるという歴史があった。美術品は権力者によって略奪的に収集され続けてきたという結果だろう。美術品を多く所有することで力を誇示していきたいと思う気持ちがあったのだろう。そして美術品も最高権力者の庇護のもとにしか存在しなかった。そして美術品は経済の強い国に集まるが、美術品の価格というのは経済そのもの、景気を判断する指標にもなる。

不思議なもので、一昨年前などはアート市場が活況になると、アーティストの方もその動きに刺激されてか力のある作品が多く観られた。実際私が足を運んだギャラリーでも、人気のある現代アートのアーティストなどはプレビューパーティーの時点で完売ということもあった。
そして世界的大不況の現在、アート市場も一時期よりだいぶ低迷している。でも一時期的な盛り上がりを見せ価格高騰していた美術品市場においては多くの作品は淘汰され、本当に良い物だけが残る時代になったのではないだろうか。
美術品の市場というのは景気に左右されやすい市場ではあるが、本当に良い作品というのは残るもの。だから本当に実力を持った良いアーティストと、作品や作家自体が好きで購入していた真のアート好きだけが残る時代になった。
そして、これからは一握りの人達がアートを独占するのでなく、もっとアートが身近にあることが感じられる時代にはならないのだろうか。時代によりアートの形態が変化していく様にアートの市場も微妙に変化していくのではないだろうか。一時のアートバブルが去った後、この先日本のアートマーケットがどのように変化していくかが楽しみである。

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