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中卒で100億円の資産を築いた組立工(前編)

金持ちになるしかなかった


大田勝美氏
大根田勝美氏(東京都内)
 1960年代当時の米国内では、街中で日本人の姿はほとんどなかった。ある日、大根田さんがNYのレストランで食事をしていると、ガラス越しに人だかりができていたという。これは、日本人を珍しがって見物していただけだった。また、「ジャップ」と呼ばれるのは当たり前で、足を掛けられたり、順番を後回しにされたり、あからさまな嫌がらせは続いたという。

 「当時のアメリカでは、日本人というだけで馬鹿にされていました。せめて表面的にでもいいから、尊敬されるためには、やはり金持ちになるしか他に方法がないのかなと思いました」

 時代はちょうど内視鏡の創世記。オリンパス在籍時から必死で勉強し、いつしか現場の医師よりも内視鏡には詳しくなっていた。独立後の1973年の収入は約1億8000万円。当時、日本の国民的英雄だったプロ野球の王貞治、長嶋茂雄の両氏が5000万円ほどだったことからも、大根田さんがいかに成功したかがわかる。

 「外国人を相手に義理人情はまったく通用しません。この男は利用価値があると思われないとだめです。アメリカ人がただ目的もなく親切にしてくれるということは絶対にありません。相手にとって必要な存在にならないと外国で成功はできないでしょうね」

 医師たちは、内視鏡に関する新しい情報を得たいがために、大根田さんが来るといつも歓待してくれたのだという。成功すれば、またチャンスは向こうから転がってくるようになっている。100億円への扉が開き始めた。

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