中卒で100億円の資産を築いた組立工(前編)
チャンスの神様の前髪を掴め
大根田さんの中学時代の教頭の口グセに「チャンスの神様」というものがあったらしい。誰の前にも出現するのだが猛スピードで通り過ぎていく。しかも、前髪はフサフサなのに後ろ髪はツルツル。つまりチャンスは一瞬で過ぎ去って行き、逃がしやすい。大根田さんに訪れた最大のチャンスの一つに、後に唯一無二の相棒となったルイス・ペル氏の出現したことがあった。「俺は超一流のセールスマンだ。これからは俺がお前の商品を売ってやる」
身長1メートル90を超え、体重100キロはあろうかという大男。初対面のクセに随分と態度がデカく感じる。ボストンの内視鏡学会で大根田さんに会うために、NYのウォール街からわざわざ来たのだという。「こいつは何かを持っている」と感じたそうで、後日正式に契約することになった。だが、ペル氏は大根田さんの想像をはるかに超える利益をもたらせてくれることになる。
「何でわざわざ作った会社を売らなければいけないんだ、とも言われましたが、アメリカではみんなそうしています。それはペルがいたから出来たんですけどね」
会社とは経営するものではなく、売却するもの。日本人には少し理解しがたい部分はあるかもしれないが、ペル氏の勧めもあって、大根田さんはその後、次々と会社を育てては売却していった。現在100億円とも言われている資産を築くことができたのは、ペル氏のアドバイスでもあった。
もし、あの時、相手にしなかったら…。大根田さんにとって、ペル氏自身が最大のチャンスの神様だったことを後で知る。

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