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富裕層のための海外銀行口座

厳しくなった非居住者の口座開設


海外銀行口座
 日本だけで資産運用するには限界があり、さらにリスクを完璧に分散することはできない。そこで、海外口座の開設にチャレンジということになるわけだが、あらかじめ注意しておきたい点がある。日本の財務省は2006年から2007年にかけて、海外の金融機関宛に、マネーロンダリングの観点から、日本人の海外口座開設に歯止めをかけてほしい、という内容の「お願い」をした、と言われている。
 
 遡って、シティバンクのプライベートバンク部門が04年9月に受けた金融庁の行政処分によって、日本から撤退を余儀なくされたのもマネーロンダリングの事件がきっかけだった。タイの「バンコック銀行」在日支店も05年11月18日に金融庁から行政処分を受けた。
 
 正確に言えば、海外口座の開設そのものは問題ないのだが、現金の持ち込みなどに関しては相当厳しくなっており、たとえばタイなどの場合、どの金融機関でも多額の現金を持ち込んで預金することはNGだ。日本に帰国してから、送金することを求められる。海外口座を開設するために海外に行くからといって、多額の現金を持って行くことは避けたい。
 
 そもそも日本の金融行政は、金融機関に対する行政の規制が厳しく、投資家に対する保護制度は緩い、という他の先進国とは真逆の方針を貫いて来た。その結果、プライベート・バンキングや外資系銀行の進出が進まない。財務省の「お願い」はそんな日本の金融行政の矛盾を露呈しているものだ。

オフショアバンクの口座開設には相当の英語力が必要


海外銀行口座
 日本から郵送などで口座開設の手続きをするには、海外のルールに従って書類を揃える必要があるために、何かと面倒だ。とはいえ、税金が低く、規制が少ない「オフショアバンク」に口座を開く際には、郵送で開く以外に方法がないケースも多い。
 
 オフショア(offshore)というのは、もともとは「沖合い」という意味だが、沿岸から離れた場所という意味が転嫁して、金融用語では税金の安い、そして様々な規制の少ない地域のことを指す。英領バージン諸島やマン島、ジャージー諸島、ケイマンなどが有名だが、法律の適用状態が本国の英国よりも緩やかになっており、数多くの金融機関が進出している。
 
 もともとはプライベート・バンキングの籍があることで、以前からは知られてはいるが、最近では投資信託にオフショアが組み込まれることが多く、そういう意味ではオフショアバンクそのものは金融業界では不可欠なものになっている。特に、現在も金融業界に対して金融庁や財務省などの官僚支配が続いている日本では、金融業界に対する規制が数多く残っており、こうしたオフショア地域にある金融機関に口座を開くと何かとメリットは多い。

日本人にはさらに高いハードル


海外銀行口座
 ただ、問題なのは金融庁の「お願い」などの影響によって、日本人に対してはかなり口座開設のハードルが高くなっていることだ。オフショアバンクは、大きく分けて香港、シンガポールなどのアジア系と英領マン島、ジャージー島といった欧州系に分けられるが、アジア系がかなり厳しくなっており、欧州系も同様に厳しくなっている。日本人に対してはよく電話による確認などが行われるため、語学力が相当必要になると考えたほうがよさそうだ。また、金融機関によっては、資金を送金するたびに電話での確認が入るために、語学力は相当問われると思ったほうがいい。
 
 ただし、オフショアバンクのサービスや金利は、プライベート・バンキング並みだ。プライベート・バンキングは3億円とか5億円の金融資産が必要だが、オフショアバンクなら100英国ポンド(Lloyds TSD、約2万4000円)とか7500米ドル(Abbey Inter national、約90万円)といった最低預入金額で、オフショアバンクの口座が開設できるのだ。
 
 2007年9月から日本でも実施されている「金融商品取引法」で、顧客のレベルに合わせた営業が義務づけられているが、オフショアバンクなどではそうしたシステムが厳しく守られている。自分の資産額や投資経験は正直に申告した方がいい。
 
(『海外金融商品&預金・証券口座徹底ガイド』に掲載)

取材協力:岩崎博充(いわさき・ひろみつ)
 1952 年長野県生まれ。金融・経済・国際問題を専門とする経済ジャーナリスト。雑誌編集者等を経て、1982年より独立。経済、金融などに特化したフリーのライター集団「ライトルーム」を設立。著書に『「団塊老人」は勝ち逃げできない』(扶桑社)、『海外預金口座の解説活用徹底ガイド』(日本実業出版社)、『インフレ襲来!資産崩壊に勝つ投資術』(アートデイズ)、『「格付け」市場を読む』(光文社新書)などがある。

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