プライベートバンカーの条件
日本の企業カルチャー

あるプライベートバンカーがこぼした。「日本人のバンカーたちは全くキャラクターがないからナー」芸術にも無知だし、どこを突っついても自分の意見らしきものが一向に出てこないという。教養はさておき、たしかに日本の企業カルチャーには個性を排除する空気がある。あの人は「クセがある」というのはけっして褒め言葉ではない。しかし、今からの社会では「個」がキーワードだ。
プロセスチーズ的な人間

今までの長いサラリーマン生活や、行政の保護という熱処理にあってクローン化してきてしまったのかもしれない。しかしそんなキャラクターのない人間なら、一度ならともかく、二度会ったってしょうがない、付き合ってもしょうがないということになる。特に、自身キャラクター豊かなオーナー経営者はそう言う。プロセスチーズ的な人は、事務処理はできても、プライベートバンカーとして息の長いお付き合いをすることも、ましてや新規に顧客を獲得することなどは、とても望めない。
キャラクターは、熟成すれば人間力となって、人を惹きつける。それは国境を越え、時には言語すら超えるように思う。というのも、あまり英語が話せない日本人でも外国人達の尊敬を一身に集めるのを目撃したことがある。その人の英語のレベルは[You Good"," Me Bad]程度だった。でも目の動きとかジェスチャーで、もしかしたら、ただ座っているだけで人間力が発揮されたのではないか。
金融機関のキャラクター

かつては世界に大手を振って進出した日本企業も、サービスの実態をみれば、優等賞は全く貰えていない。「このサービスをやらせれば世界一」というものがない。やはり金融機関自身にも、キャラクターが求められているのではないだろうか。いやそれだけではない。日本自体、いつからとはなしにキャラクターのない、ぼやけた存在になってきてしまってはいないだろうか。今一度、自らの根源を確認し、日本が世界の文明にどういう貢献ができるのか、改めて自らのキャラクターを再認識することが必要であると思う。
(「週刊 金融財政事情」に掲載)

東京生まれ。米国マウント・ホリヨーク大学を経て、国際基督教大学社会科学科卒業後、国際会議同時通訳者となる。大手証券会社にて主として医薬品・バイオ企業間の企業買収に携わる。1991年、国際税務・国際投資コンサルティング会社、アルベロサクロ株式会社を設立し、代表取締役に就任する。国内外の幅広い人脈を生かし国際的視野に立ったファイナンシャルアドバイザーとして活躍。ヘッジファンド、プライベートバンク、ファミリーオフィス、資産継承、金銭教育をコンサルティングテーマとする。著書に『欧米資産家に学ぶボーダーレス時代の資産運用法』(東洋経済新報社)、『プロが教える海外資産投資-あなたの財産を有利に殖やすノウハウ』(太陽企画出版)、『金銭教育-小遣いから資産家の二世教育まで』(総合法令出版)、『わが子が成功するお金教育-よい小遣い悪い小遣い』(講談社+α新書)、『セレブのルール』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『カモにならない投資術-人生後半からの負けないお金哲学』(太陽企画出版)がある。現在はコンサルティング・資産運用に携わる他、団体の役員(国際基督教大学参与、特定非営利活動法人相続税寄付推奨会議理事、東京財団資金委員)、ロータリークラブ役員等、幅広い活動を行なっている。富裕層の会員制プライベート・クラブYUCASEE ( ゆかし)のメンバー。
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