カルチャーとしての秘密保持
口が軽い?日本人

スイスのプライベートバンクも、日本での展開ではこの点で苦労するらしい。「秘密保持に関する限り、日本人は全く信頼できない」と彼等は言う。とくに危ないのが、レストラントとか一杯飲み屋、それにゴルフ場だそうだ。オフィスと違い、ついリラックスして、ふらっと顧客について話してしまう。相手が悪いとそれがすぐ当人の知るところとなる。声が大きいと周りの人にも聞こえてしまい、更にリスクは高まる。実際、私のところにも「あの銀行の人、レストランでこんなことを言っていたよ、お客のこと実名を使って大声でしゃべったりしていいのかネー」というタレ込みがあった。
資産家の秘密保持へのこだわり

他方、金持ちであることを誇示する向きの人もいる。お金が出来たての頃は嬉しいし、周りの人にも知って貰いたい。しかしその嬉しさを通り越してみると、金持ちであるのを知られたり、そして有名になればなるほど、メリットよりはデメリットの方が多くなるのだろう。多分それで秘密保持に熱心になるのではないだろうか。
ルイ十三世からのカルチャー

しかし時代は変わった。現在、スイスは他のタックスヘイブン諸国共々、マネーロンダリングの温床として厳しい攻撃に曝されている。テロリストの資金源を根絶することが大きな命題となっている昨今、秘密保持とのバランスをどのように取っていくことになるのであろうか。今後の展開に注目したい。
(「週刊 金融財政事情」に掲載)

東京生まれ。米国マウント・ホリヨーク大学を経て、国際基督教大学社会科学科卒業後、国際会議同時通訳者となる。大手証券会社にて主として医薬品・バイオ企業間の企業買収に携わる。1991年、国際税務・国際投資コンサルティング会社、アルベロサクロ株式会社を設立し、代表取締役に就任する。国内外の幅広い人脈を生かし国際的視野に立ったファイナンシャルアドバイザーとして活躍。ヘッジファンド、プライベートバンク、ファミリーオフィス、資産継承、金銭教育をコンサルティングテーマとする。著書に『欧米資産家に学ぶボーダーレス時代の資産運用法』(東洋経済新報社)、『プロが教える海外資産投資-あなたの財産を有利に殖やすノウハウ』(太陽企画出版)、『金銭教育-小遣いから資産家の二世教育まで』(総合法令出版)、『わが子が成功するお金教育-よい小遣い悪い小遣い』(講談社+α新書)、『セレブのルール』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『カモにならない投資術-人生後半からの負けないお金哲学』(太陽企画出版)がある。現在はコンサルティング・資産運用に携わる他、団体の役員(国際基督教大学参与、特定非営利活動法人相続税寄付推奨会議理事、東京財団資金委員)、ロータリークラブ役員等、幅広い活動を行なっている。富裕層の会員制プライベート・クラブYUCASEE ( ゆかし)のメンバー。
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