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カルチャーとしての秘密保持

口が軽い?日本人


カルチャーとしての秘密保持
 「日本には秘密保持のカルチャーがない」とある証券会社に勤めるドイツ人が断言した。「その証券会社で自分の口座を開いたら、翌日には会社の同僚皆が知っていた」と彼は言い張る。
 
 スイスのプライベートバンクも、日本での展開ではこの点で苦労するらしい。「秘密保持に関する限り、日本人は全く信頼できない」と彼等は言う。とくに危ないのが、レストラントとか一杯飲み屋、それにゴルフ場だそうだ。オフィスと違い、ついリラックスして、ふらっと顧客について話してしまう。相手が悪いとそれがすぐ当人の知るところとなる。声が大きいと周りの人にも聞こえてしまい、更にリスクは高まる。実際、私のところにも「あの銀行の人、レストランでこんなことを言っていたよ、お客のこと実名を使って大声でしゃべったりしていいのかネー」というタレ込みがあった。

資産家の秘密保持へのこだわり


カルチャーとしての秘密保持
 資産家は秘密保持にこだわる。税金とかその他の理由で秘密にする必要がある場合は勿論、なんら秘密にする必要がない場合でも、自分のプライベートな情報が漏れるのを好まない。海外の資産家の場合はもっと徹底している。私の知っている、あるブランドのオーナーは一切写真を撮らせない。プライバシーを守ることと同時に誘拐対策でもある。ある著名な資産家も絶対に新聞にでない、なんでもひっそりやるのをモットーとしている。だからチャリティーも匿名でする。影響力を行使したいときは、裏から手を回す。土地を買う時は海外のペーパーカンパニーを通して買うし、自分はその会社の株主や取締役にもならない、と徹底している。有名人の場合は、こうした算段がマスコミ対策にもなるし、第一実名が出なければ、値をつりあげられる心配もない。
 
 他方、金持ちであることを誇示する向きの人もいる。お金が出来たての頃は嬉しいし、周りの人にも知って貰いたい。しかしその嬉しさを通り越してみると、金持ちであるのを知られたり、そして有名になればなるほど、メリットよりはデメリットの方が多くなるのだろう。多分それで秘密保持に熱心になるのではないだろうか。

ルイ十三世からのカルチャー


カルチャーとしての秘密保持
 こういう人たちにとってプライベートバンクの秘密保持はアピールするだろう。なにも隠すことはなくても番号口座にしておけば、行員達に噂されることもない。特にスイスには秘密保持のカルチャーがある。以前はスイスのプライベートバンクは一切宣伝もせず、行員たちに名刺すら持たせなかったという。今では新聞宣伝までするから隔世の感があるが、それでもスイスには顧客に関する秘密を開示すれば法律により刑事罰の対象となる、確かな歯止めがある。秘密保持に関する命令を初めて出した人は、なんとルイ十三世である。それ以来培ってきたカルチャーがある。実際、ある銀行では毎日業務を終えた後、屑かごのごみまで全てシュレッダーにかけ、それを更に焼却処分にするとの事。私もスイスのプライベートバンカーにカマをかけてみたことがあるが、顧客のことについても、顧客かどうかさも言わなかった。
 
 しかし時代は変わった。現在、スイスは他のタックスヘイブン諸国共々、マネーロンダリングの温床として厳しい攻撃に曝されている。テロリストの資金源を根絶することが大きな命題となっている昨今、秘密保持とのバランスをどのように取っていくことになるのであろうか。今後の展開に注目したい。
 
(「週刊 金融財政事情」に掲載)


榊原節子様
取材協力:榊原節子(アルベロサクロ株式会社代表取締役)
 東京生まれ。米国マウント・ホリヨーク大学を経て、国際基督教大学社会科学科卒業後、国際会議同時通訳者となる。大手証券会社にて主として医薬品・バイオ企業間の企業買収に携わる。1991年、国際税務・国際投資コンサルティング会社、アルベロサクロ株式会社を設立し、代表取締役に就任する。国内外の幅広い人脈を生かし国際的視野に立ったファイナンシャルアドバイザーとして活躍。ヘッジファンド、プライベートバンク、ファミリーオフィス、資産継承、金銭教育をコンサルティングテーマとする。著書に『欧米資産家に学ぶボーダーレス時代の資産運用法』(東洋経済新報社)、『プロが教える海外資産投資-あなたの財産を有利に殖やすノウハウ』(太陽企画出版)、『金銭教育-小遣いから資産家の二世教育まで』(総合法令出版)、『わが子が成功するお金教育-よい小遣い悪い小遣い』(講談社+α新書)、『セレブのルール』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『カモにならない投資術-人生後半からの負けないお金哲学』(太陽企画出版)がある。現在はコンサルティング・資産運用に携わる他、団体の役員(国際基督教大学参与、特定非営利活動法人相続税寄付推奨会議理事、東京財団資金委員)、ロータリークラブ役員等、幅広い活動を行なっている。富裕層の会員制プライベート・クラブYUCASEE ( ゆかし)のメンバー。

◆『ヘッジファンド』から『慶応幼稚舎』まで。「ゆかしメディア」は日本最大級の富裕層向けメディアで、月間30万人以上にご利用いただいております。なお、純金融資産1億円以上の方は、富裕層限定オンライン・プライベートクラブ「YUCASEE( ゆかし)」にご入会いただけます(書類審査並びにスタッフによるインタビュー審査がございます)。 著作・制作:ゆかしウェルスメディア株式会社

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