トップ >  メイク・マネー >  「伝える」誰にでも出来る試み

「伝える」誰にでも出来る試み

「持てる者」の生き方


相続税
 スイスのプライベートバンカーに、「日本でそんなに相続税が高いなら、子供に遺産を残せないではないか。そうしたら働くモーチベーションも生まれないだろう。」と言われて、答えに窮したのを覚えている。お金を稼いで子供に残したいと世界中の人が願うようだ。しかし、遺産を残さない方針の人もいる。世界長者番付の常連のビル・ゲイツもウオーレン・バフェットも資産の大部分は寄付する方針だと伝えられている。
 
 そこには、特に若いうちに大金を手にすることは子供自身によくないという配慮がある。ウオーレン・バフェットは子供に与える適切な額は、「子供がなんでもできると思うぐらい十分な額であり、しかし何をしなくてもいいほどではない額」としている。資産を早くから渡された子供は、何をやっても達成感が得られず、何をやっても社会から評価されずに、精神的にも負担がかかり問題を起こした事例には事欠かない。過度に恵まれた子供の問題は米国で広く研究され、やる気のなさ、正当な自己評価ができない、感情が未成熟で自立が遅れる、飽きっぽく、いつも退屈しているなどの性格上の特性が挙げられている。過度に親に甘やかされて育った日本の子供の特性と共通する点が多い。
 
 他方、若いうちから子供にお金を渡すメリットもある。お金のために長時間労働をする必要がなく、子供自身が大事だと思っている価値観に従って、自由にのびのびと生きられる、両親で子育てできる、ボランティアや慈善活動など社会の為になることにフルタイムで従事できる、好きな芸術活動などに打ち込める、などが挙げられている。全く仕事をしない場合は、少なくとも何か自分の「生きるよすが」のようなものを見付けておかないと、よい人生は送れないようである。私の知人の「相続人」の中には、親やファミリー全体の資産運用を仕事としている人がいる。彼らの中には、社会的責任投資を行うことで、自分たち自身の力で社会の方向付けを行うことに意欲を見せる人もいる。こうした「持てる者」の生きがいの研究は、或る程度恵まれた日本のリタイヤー組の参考にもなろう。

遺言でまず書くこと


相続税
 日本ではまだまだお金だとか、遺産について親子でオープンに話し合う土壌がない。欧米と違い、信託により若い頃からまとまった資産を手にするケースはまれである。その所為もあるのだろうが、超資産家の子弟でも、夫婦で社交やボランティア中心の生活をするというケースはまれで、夫はサラリーマン生活をしていたりする。また殆どの資産家が資産を若いうちから子供に渡すことは勿論のこと、お金があることを子供に知らせることも躊躇する。
 
 それ故、遺す方も受け継ぐ方も準備のないまま相続を迎えることが多い。相続を期に兄弟等の相続人間の仲が険悪になるケースも多々あり、「お金がある人で幸福な人は滅多に見かけない」と明言する弁護士もいるほどである。これは、しかし、余りに人の財的資産に重きを置く結果ではないだろうか。自分の資産のなかで最大の資産は人的資源だということを認識して、まずそれを子供に伝える試みをすべきだと思う。
 
 例えば相続を争族にしない手段として、遺言を残すことが勧められている。ところが遺言ではとかく、自社株は長男に、その他の資産は長女に遺すなど事務的なことに終始しがちである。そうすると遺産を受け取る方も、自分の方が少ないとか、不公平だということになってしまう。第一に伝えるべきことは 「あなたたちのような子供を持って本当によかった、おかげで自分の人生が豊かになった。今後ともあなた達を一番大切に思う」というメッセージではないだろうか。そして「自分たちのDNAを共有している子供達、あなたたち兄弟姉妹が今後とも協力し助け合ってくれたらと願っている」という一文を入れておいてはどうだろう。「自分では一生懸命育てたつもりだけれど、意に反して迷惑をかけてしまったこともあろうが許して欲しい」という文を入れたい人も、或いはあなた達に残すお金を「できたらこういう意図で使って欲しい」と書き添えたい人もいよう。
 
 その上で、自分の遺産の具体的な分配先を、或いは分配方針を書き記す。手続き上、正確を期して別途専門家に要請してもいい。この際、子供は親が生前他の兄弟にどのような特別な支出をしたかを、例え本人は忘れても配偶者がはっきり記憶しているので、そのことにも考慮しよう。また身の回りの世話の受け具合などにも配慮した旨記したい。
 
(「企業家倶楽部」2004年6月号に掲載)


榊原節子様
取材協力:榊原節子(アルベロサクロ株式会社代表取締役)
 東京生まれ。米国マウント・ホリヨーク大学を経て、国際基督教大学社会科学科卒業後、国際会議同時通訳者となる。大手証券会社にて主として医薬品・バイオ企業間の企業買収に携わる。1991年、国際税務・国際投資コンサルティング会社、アルベロサクロ株式会社を設立し、代表取締役に就任する。国内外の幅広い人脈を生かし国際的視野に立ったファイナンシャルアドバイザーとして活躍。ヘッジファンド、プライベートバンク、ファミリーオフィス、資産継承、金銭教育をコンサルティングテーマとする。著書に『欧米資産家に学ぶボーダーレス時代の資産運用法』(東洋経済新報社)、『プロが教える海外資産投資-あなたの財産を有利に殖やすノウハウ』(太陽企画出版)、『金銭教育-小遣いから資産家の二世教育まで』(総合法令出版)、『わが子が成功するお金教育-よい小遣い悪い小遣い』(講談社+α新書)、『セレブのルール』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『カモにならない投資術-人生後半からの負けないお金哲学』(太陽企画出版)がある。現在はコンサルティング・資産運用に携わる他、団体の役員(国際基督教大学参与、特定非営利活動法人相続税寄付推奨会議理事、東京財団資金委員)、ロータリークラブ役員等、幅広い活動を行なっている。富裕層の会員制プライベート・クラブYUCASEE ( ゆかし)のメンバー。
世界ランキング上位の優秀ファンドで運用するなら|ヘッジファンドダイレクト株式会社

ヘッジファンドとは?わかりやすく解説


日本最大級の富裕層向け情報専門メディア ― YUCASEE media(ゆかしメディア)
日本の富裕層、伸び率世界最大

2013年の日本の富裕層人口は、対前年比22.3%増の232万7000人となったことがわかった。伸び率は世界最大で、人口は米国に次いで世界2位だった。世界全体で富裕層人口は…

世界の富裕層に大人気!

金融資産3000万円~5億円の方限定!相場暴落・金融危機での儲け方とは?【高利回り実績のある一流海外ヘッジファンド】への投資機会を手に入れるノウハウをあなたにも

HF報酬ランキング、2年連続1位は

ヘッジファンドマネージャーの2013年の報酬ランキングが発表され、1位は前年に引き続き2年連続でアパルーサ・マネジメントのデビッド・テッパー氏となった。報酬額は…




世界ランキング上位の優秀ファンドで運用するなら|ヘッジファンドダイレクト株式会社
世界ランキング上位の優秀ファンドで運用するなら|ヘッジファンドダイレクト株式会社

HF報酬ランキング テッパー氏が2年連続3度目

デビッド・テッパー

ヘッジファンドマネージャーの2013年の報酬ランキングが発表され、1位はアパルーサ・マネジメントのデビッド・テッパー氏となった。報酬額・・・

ノーベル財団の資産運用は株からヘッジファンドへ

大村智

ノーベル賞賞金の出所であるノーベル財団の資産運用が2013年に引き続き2014年も15.8%と好調である。ヘッジファンド比率を大幅に増…

HSBC脱税ほう助は、ただの香港経由スイス移し?

HSBC

英金融大手HSBCが富裕層顧客の巨額の脱税をほう助していた情報がICIJの調査によって明らかにされた。スイス部門が200か国以上…

世界ランキング上位の優秀ファンドで運用するなら|ヘッジファンドダイレクト株式会社

RSS情報 RSS feed


フォローする Twitterでフォローする