新日鉄と住金の統合で、住金は関西財界を裏切る?
「主導権」が新日鉄にあるのは明らか

入居する住友ビルディング、右側が三井住友銀行
大阪本店営業部
「かつての住友ビルは華やかだった。住友商事、住友化学の名実伴った本社があった」。古い財界人は懐かしみ、こうも話した。「住金もいま、本社登記こそ大阪だが、役員のほとんどが東京。これで新日鉄と一緒になれば、考えられるのは銀行と同じ道だろう」
隣接する旧住友銀行本店ビルは現在、三井住友銀行大阪本店営業部になっている。堂々とした石造りの建物は、いかにも“銀行本店”だけに、実際の機能と外見の落差が、大阪の凋落を示す印象にも見え、悲しい。
住友金属は現在、国内鉄鋼では3位、統合相手の新日鉄は首位である。来年10月に経営統合すれば、粗鋼生産能力でアルセロール・ミタル(ルクセンブルク)に次ぐ世界2位となるが、住金と新日鉄のどちらが主導権を握るかは、一目瞭然だ。
2011年3月期の新日鉄の連結売上高見込みは4兆1000億円、住金は同1兆5000億円。粗鋼生産は新日鉄が3448万トン、住金が1332万トン――。