インドの大富豪
金持ちも楽ではない

夜はK氏の自宅に招かれたが、米国でも見かけたことがないほどの大邸宅で、ガードマンたちが銃を片手に忙しく警備にあたっていた。迎えに出たK氏は、今度は綺麗な身なりだった。絵や調度品の落ちついた贅沢さがK氏の人となりを物語っている。K氏夫人も含めた、八人の夕食会での会話が振るっていた。まずその中の一人が自らの運命を記した古文書が収められたところに行った時の話をした。自分からは何一つ言っていないのに、両親の名も自分の職歴も言い当て、これから誰と結婚するかまで知っていたという。日本では、「アガスティアの葉」という本で紹介されているが、このような、訪れる人の一生を記した古文書の集積所は、インド内に五、六箇所あるらしい。
スーパーパワーと健康

私達皆、そして特にシニアになった資産家は、健康に多大な関心がある。実際資産のコンサルティングをしていても、かなりの時間は健康のことを話題にしているように思う。克明な便の話、スイスで若返りの注射をしてもらう話など、色とりどりである。また、資産家とくに経営者は、絶えず重要な判断をせまられる。そして問題の性格上、誰にも相談できず一人悩むことも多い。その為か、経営者にはスーパーパワーを信じる人が多い。いいかえれば、信じざるを得ないほど辛い孤独な決断を日々迫られているともいえる。ナポレオンにもお抱えの占星術師がいたという。日本のさる大経済人にもお抱えの占い師がいた。
そう云えばインドの資産家のK氏のパーティーでの話題もスーパーパワーと健康の話に終始していたな、と改めて納得した。
(「週刊 金融財政事情」に掲載)

東京生まれ。米国マウント・ホリヨーク大学を経て、国際基督教大学社会科学科卒業後、国際会議同時通訳者となる。大手証券会社にて主として医薬品・バイオ企業間の企業買収に携わる。1991年、国際税務・国際投資コンサルティング会社、アルベロサクロ株式会社を設立し、代表取締役に就任する。国内外の幅広い人脈を生かし国際的視野に立ったファイナンシャルアドバイザーとして活躍。ヘッジファンド、プライベートバンク、ファミリーオフィス、資産継承、金銭教育をコンサルティングテーマとする。著書に『欧米資産家に学ぶボーダーレス時代の資産運用法』(東洋経済新報社)、『プロが教える海外資産投資-あなたの財産を有利に殖やすノウハウ』(太陽企画出版)、『金銭教育-小遣いから資産家の二世教育まで』(総合法令出版)、『わが子が成功するお金教育-よい小遣い悪い小遣い』(講談社+α新書)、『セレブのルール』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『カモにならない投資術-人生後半からの負けないお金哲学』(太陽企画出版)がある。現在はコンサルティング・資産運用に携わる他、団体の役員(国際基督教大学参与、特定非営利活動法人相続税寄付推奨会議理事、東京財団資金委員)、ロータリークラブ役員等、幅広い活動を行なっている。富裕層の会員制プライベート・クラブYUCASEE ( ゆかし)のメンバー。
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