インフレターゲットと失業対策
インフレをコントロールする
インフレターゲットとは、インフレ時の物価上昇率に対して中央銀行が一定の目標を定めることをいう。もし期待インフレ率(物に対する価値を予想したもの)を中央銀行がコントロールできるなら、失業率を悪化させることなくインフレ率をコントロールすることが可能になる。期待インフレ率をコントロールするための手段として編み出されたのがインフレターゲットである。
複雑な操作
もし期待インフレ率を5%にしたいのであれば、それを予想させることにより、実際のインフレ率も5%にさせればよい。インフレ率の目標を5%に設定し、中央銀行はそれにあわせて様々な金融政策を行う。「ターゲットを公表しさえすれば期待インフレ率が変わる」といった単純なものではなく、複雑な過程を経てインフレ率をコントロールするわけである。
期待インフレ率と失業対策
期待インフレ率とは人々が将来的な物の価値を予想して動く率のことだから、期待は期待であり希望通りというわけにはいかない。インフレ対策は失業者対策をも担っている。失業者が減れば、当然収入がもらえるようになるわけだから、モノの需要が増え、インフレ傾向になるわけである。失業率の目標が数%というのは政策としては妙な話で、限りなく0に近づけるのが望ましいに決まっている。なので失業者を限りなく少なくする方向へ持っていこうとする。これは、インフレ目標を期待インフレ率より上回った率に設定する事を意味する。もしそれを人々が見抜いていたとしたら、期待インフレ率はインフレ目標を常に上回るようになる。こうなるとインフレターゲットが、その役割を果たさなくなってしまう。
疑心暗鬼によるインフレの加速
どんなにインフレ率をコントロールできたとしても期待インフレ率をコントロールできるかといえばそうではないということになる。インフレターゲットを設定しても思う通りのインフレ率にならないのであれば、中央銀行に不信感を持つ人々が増える。こうなると、インフレ率を人々の期待と同じパーセンテージにしたとしても、人々の期待インフレ率は上昇する。中央銀行への疑心暗鬼がインフレを加速させ、経済混乱を招くわけである。
インフレターゲット以上にインフレ率が上がる
人々の疑心暗鬼のためのインフレ率の上昇を防ぐためにインフレ率を前もって公表するのがインフレターゲットである。だが、前述のようにインフレターゲットを設定することで中央銀行への不信感が募り、インフレ率の上昇を招いてしまうと言う事態も考えられる。実際問題、実に難しい話であることは間違いない。
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