アメリカでの一部業務停止命令、UBSがしたこととは?
富裕層の頼れる金庫番プライベートバンク
古くから銀行文化が根付く土地、スイス。中でも特に盛んなものがプライベートバンキングです。プライベートバンキングとは、一部の富裕層を対象とした非常にクオリティの高い銀行サービスで、その性質から全貌ははっきりとはしていません。世界のほんの一握りの富裕層の莫大な資産を預かり、顧客本位のサービスを徹底しどんな状況下に置かれても顧客の資産と立場を守るプライベートバンクの逸話として最も有名なのが第二次世界大戦のナチスの話ではないでしょうか。ナチスが戦時中ユダヤ人から没収した財産のほとんどをスイスに預けたとして戦後賠償のため、預金の引き出しが請求されました。しかしスイスの銀行は頑なに拒み最後まで顧客の資産を守りました。その資産がどういう経緯で預けられたかはともかく、顧客の信頼を絶対に裏切らない、それがプライベートバンクなのです。
プライベートバンクと犯罪
顧客である富裕層からしてみれば安心して資産を預けられる銀行として重宝されていますが、預け入れられている資産に犯罪が絡んでいる場合でもプライベートバンクは秘匿性を重視するため、国家権力や法制度と対立することも少なくありません。前述のナチスの話でも分かるとおり、顧客の資産を守るために法を犯すこともあります。実はUBSもプライベートバンキング業務でとある事件を起こしアメリカで問題となりました。
UBSがアメリカ国内でプライベートバンク業務停止処分
2008年7月、UBSがアメリカで行っていたプライベートバンク事業で顧客の脱税行為を幇助した罪で、アメリカ国内におけるプライベートバンク事業を一部業務停止することを発表した、とロイター通信が報道し金融界を驚かせました。スイス生まれの銀行ではありますが、グローバル化を推進する革新的な銀行であるUBSは、世界各国に拠点を置き活動を行っています。ある国では法に触れない行為でも、ある国では罰せられるということも少なくありません。UBSは、プライベートバンキング部門の顧客であるアメリカの富裕層の資産を、アメリカ国外の法律を利用し脱税行為を幇助したのです。その国は、スイスと非常に関係の深い隣国リヒテンシュタインで、ここに隠し口座を開設し顧客の莫大な資金を預金させました。リヒテンシュタインはスイス同様、ナンバーアカウントと呼ばれる隠し口座が多く存在し、その全貌はベールに包まれています。
業務停止は繰り返される?
今回の事件は、一部業務停止ということで収束はつきました。UBSはアメリカ国内におけるプライベートバンク事業の撤退は完全否定しており、表向きはこれからも法に触れることの無い事業を展開していくとしています。今回と同じ手段を用いて脱税を行うことはまず無いとは思いますが、顧客の希望を叶えるため方法は違えどまた法律に触れる事業を行う可能性は否定し切れません。そして再び業務停止処分になることもあるかもしれません。実は、UBSと双璧をなすスイスの大手銀行、クレディスイスも日本で違法行為を行い業務停止処分の命令を受け、日本でのプライベートバンク事業から完全撤退しました。
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