UBSとスイス政府の関係とは
世界におけるスイスのポジション
日本人の私達がスイスに抱くイメージとはどういったものでしょうか。平和、中立、自然そういった単語を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。スイスは四方を山に囲まれているため、隣国との紛争も無くヨーロッパ各地で起こった戦争にも巻き込まれることはありませんでした。スイスの山々が自然の城壁となりスイスを他国から守り続けてきたのです。そのためスイスは"資産を安全に保管できる場所"と位置づけられてきました。スイスでは古くから銀行文化が根付いた理由にはそういう背景があったためでしょう。スイスは安定した政情を武器に世界中の富裕層の莫大な資産を安全に管理してきました。第二次世界大戦のナチスの財産のように犯罪が絡んだ資金を預かることもありましたが、顧客の情報と資金を何があっても守るその頑なな姿勢は時に法権力を敵に回すことも少なくありませんでした。現在では古くから培ってきた質の高い銀行サービスと信頼性で世界中の顧客の財産を預かるプライベートバンクのメッカとしてその存在感を示しています。
東西冷戦と永世中立国スイス
第二次世界大戦で勝利した連合国である、資本主義の国アメリカと共産主義の国ソビエトの武力無き戦争、東西冷戦。世界中の国々は、どちらの側につくか選択を余儀なくされました。日本は戦後統治が行われたアメリカに組することで凄まじい勢いで経済発展を遂げ一躍経済大国となりました。一方スイスは、1815年のウィーン会議以来貫いている永世中立国の立場を変えるはありませんでした。これは、スイスはどのようなことがあっても外的環境の影響を受けない安全な国として、世界中の資金の流入するきっかけとなりました。
舞台はスイスから世界へ
こういった背景を武器にスイスの銀行はより大きく成長することになります。そして1998年、チューリッヒとバーゼルそれぞれに本拠地を置く、100年以上の歴史を誇る超老舗大手銀行、スイス銀行コーポレーションとユニオン・スイス銀行が合併しUBSが誕生します。スイスの大手老舗銀行が手を組んだことで、ヨーロッパ最大の銀行が誕生し世界を舞台に活躍することになったのです。もともとどちらもプライベートバンクを得意とする銀行で、合併後もそのクオリティを下げることはありませんでした。UBSと双璧をなすスイス第二の銀行クレディスイスと共に世界有数の大手銀行と堂々と渡り合うまでに成長したのです。
スイス政府とUBSの関係
UBSは合併によりスイスだけでなくヨーロッパ最大の銀行として、世界の大手銀行の仲間入りをしました。グローバル化を進め数々の企業を買収しいつしかスイス政府の国家予算いじょうの総資産額を有するまでになりました。民間の一企業が一国の国家予算をはるかに凌ぐ資産を持つ、これはどういった意味を持つのでしょうか。スイス政府としては、UBSの経営が軌道に乗ってるうちは良いでしょうが、今回のサブプライムショックのようにUBSが巨額の損失を計上した場合、国としては自分よりはるかに多い資産を持つUBSを助けなければいけなくなります。UBSのように破綻することで世界に大きな影響を与える企業を、その企業を有する国は何が何でも守らなくてはいけません。今回のサブプライムショック後、スイス政府はUBSに対し5,300億円の公的資金による資本注入を行い、スイス国立銀行は6兆円ものUBSの不良債権を買い取りすることになりました。つまり、スイスはUBSの大株主となるわけです。
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