世界最大のヘッジファンド・ブリッジウォーターの憂鬱と希望

偉大過ぎる創業者の悩みは常々時代への引継ぎだ。それはオマハの賢人であるウォーレンバフェットと同じように、世界最大のヘッジファンドである、ブリッジウォーターの創業者であるレイダリオもまた然りである。

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デビッド・マコーミック氏がペンシルベニア州の上院議員選へ立候補へ

元陸軍歩兵のデビッド・マコーミック氏がCEOになってからおよそ2年。デビッド・マコーミック氏がペンシルベニア州の上院議員選へ立候補することになり、ブリッジウォーターは彼の代わりにニル・バーディー、マーク・ベルトリーニの2人の共同CEOを後任に指名した。これは2017年にレイ・ダリオ氏がCEOを退任し、2019年にデビッド・マコーミック氏の単独CEOになるまでの間の、共同代表制を復活させた形だ。

ヘッジファンド業界の重鎮が政界に進出することは、高まる規制議論に業界の立場から適切な意見を述べることができるという点で希望となりうるが、その優秀さ故にCEOを退任することは、今後のファンド運営に新たな課題を残すこととなった。

実態としては若いベルトリーニ氏を老練なベルトリーニ氏が補佐する形となりそうだ。

フィナンシャルタイムズの報道によるとニル・バーディー氏は2015年にブリッジウォーターに入社したばかりで、それ以前はイスラエルの国連ミッションのアドバイザーや起業家として活躍していた。2014年にウォートンでMBAを取得しているが、40歳のバーディー氏は、イスラエル国防軍に所属し、少佐まで昇進したこともあり、ブリッジウォーターに入社するまでは金融の経験はなかった。

一方65歳のマーク・ベルトリーニ氏は2017年にCVSに買収される前の医療保険会社Aetnaの最高経営責任者であった。ベルトリーニは、2019年にブリッジウォーターの社内取締役会の独立取締役に就任し、その後、共同会長になったという経歴であり、その経験を買われる形での就任といえそうだ。

2頭体制による経営判断のスピードと慎重さ

レイ・ダリオ氏が率いるブリッジウォーターが世界最大になった理由はいくつかある。一つはその戦略の頑強性にあるといえるだろう。ヘッジファンド特有の市場リスクを徹底的に除いた「ピュア・アルファ」と真逆の市場リスクを市場サイクルに応じて組み上げていく「オールウェザーファンド」である。両戦略は常に補い合ってきた。

しかし近年の長期にわたる金利低下や、政治的な株高へのコンセンサスは、ピュア・αよりもオールウェザーファンドのほうが好成績が続く結果となっている。

今後はピュアαの収益の復活が重要な課題として残っている。第一世代といわれるヘッジファンドのほとんどは時代への引継ぎをあきらめ、個人資産を運営するファミリーオフィス化している中で、ブリッジウォーターが次世代への引継ぎがうまくいくかに、ヘッジファンド業界も注目していることだろう。

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