写真で届ける世界遺産(ドイツその6、かつての世界遺産ドレスデンは復興が進んでいます)

 ドレスデンはエルベ川に面し、中世には商業都市として発展しました。16世紀以降はザクセン王国の首都として栄え、バロック様式の宮殿や教会が立ち並びましたが、第2次世界大戦の空襲で一夜にして市は壊滅しました。

 1990年の東西統一後、街の再建が進んでいますが、「芸術と文化の都」が甦るのは、もう少し先かなという印象を受けました。

 ベルリン中央駅からEC特急で2時間かけてドレスデン中央駅にやってきました。駅から15分程、歩けばツヴィンガー宮殿、ドレスデン城、フラウエン教会の見どころが集まる地区に入ります。

 最初に訪れたのが、ツヴィンガー宮殿ですが、ここには数学物理学博物館、それからアルテ・マイスター絵画館、武器博物館があります。

 写真は数学物理学博物館、18世紀の建築家ペッペルマンの最高傑作といわれますが、現在の建物は建築家ゼンパーによりイタリア・ルネッサンス様式にて増築されました。



 ここが、アルテ・マイスター絵画館、同じくルネッサンス様式。10ユーロを払い、ラファエロ、フェルメール、レンブラントなどの名画を鑑賞しましたが、残念ながら写真撮影は禁止でした。


 絵画館の中で見たフェルメールの2作品は以下の絵画です。取り持ち女(この絵を「やり手婆」と訳してる本もあります)。


 窓辺で手紙を読む女。


 筆者はフェルメールが生涯でかいた35作品のうち、今回の2作品を含め23作品を鑑賞しました。残りは12作品ですが、ゆっくりと廻るつもりです。

 アルテ・マイスター絵画館で16世紀から18世紀の名画を数多く鑑賞し、再び歩き始めました。

 ここはツヴィンガー宮殿の隣に建つ、ザクセン州立歌劇場(ゼンパーオペラ)です。大戦で破壊されましたが、40年後の1985年に再建されました。前方の騎馬像はこの劇場の発注者、ザクセン王ヨハンだそうです。



 次は州立歌劇場の前で撮った写真ですが、左がカトリック旧宮廷教会、そして右が有名なドレスデン城です。

 ドレスデン城の1階部分にはザクセン王家の宝物館になっている「緑の丸天井」があり、金銀、宝石、琥珀をちりばめた財宝が見れるそうですが、時間指定の入館券が必要とのことで、見学はパスしました。



 そしてドレスデン城の北東側には長さ101メートルの壮大な壁画がありました。「君主の行列」という名前で、2万5000枚のマイセン磁器のタイルに描かれています。総勢93名が描かれていますが、騎馬に乗ったアウグスト強王以外は、誰が誰だかよくわかりません。でも戦災を奇跡的に免れた壁画だけに、見る価値は十分にあります。


 最後の写真はフラウエン教会です。戦前、ドイツ最大のプロテスタントの教会として、建てるのに6118日かかり、僅か一晩で全て破壊されてしまったという教会です。

 1994年に再建が始まり、完成したのが2005年なので、まだ最近のことですが、昔の姿にほぼ近い形で甦えったそうです。この教会の周囲の建物もドイツ風で、均整がとれ、きれいでした。



 ドレスデンはエルベ川沿いに広がる渓谷が、豊かな自然とバロック建築の調和する美しい景観として知られ、2004年に世界遺産に指定されましたが、ドレスデン市が交通渋滞の緩和を目的に、エルベ川両岸を結ぶ新しい橋の建設に着手したため、2007年に景観を損なうとして世界遺産の指定が取消されました。

 しかし、ドレスデンの市内には美しい見どころが多いので、いずれはエルベ渓谷を抜きにしても、再び世界遺産に指定される日がくるのではないかと思います。

 ベルリンから2時間かかりますが、日帰りの観光地としてお薦めできる都市でした。

よかったらシェアしてね!
目次
閉じる