主役不在の1年、クリスチャン・ディオールの苦悩

新しいスターは？

　歴代のディオールのクリエイティブ・ディレクターは、創業者クリスチャン・ディオールに始まり、イヴ・サンローラン、マルク・ボアン、ジャンフランコ・フェレ、ジョン・ガリアーノの5人。ディオール亡き後、残された21歳の天才サンローランがブランドの救世主となったり、これまでには様々なドラマもあった。

　ガリアーノ退任のあとは、LVMHの当主アルノー家と、ルイ・ヴィトンのマーク・ジェイコブズと何度も交渉の場が持たれたが、話はまとまらなかった。さらに、様々な名前が浮かんでは消えていった。

　「新しい人が就任するまでに時間がかかると見られていますが、業績が良いということが逆に、今すぐにという危機意識がそれほど強く意識されないかもしれません」と、別のブランド業界関係者は言う。

　名門ディオール目下の唯一の死角は、クリエイティブ・ディレクターの一点のみ。そうした中で、新たに候補として浮上していると言われるラフ・シモンズが、ジル・サンダーを辞任した。

　もちろん、誰になるかはこの時点では不明だが、世界は新しいスターの誕生を待ちわびている。